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こらぼでほすと 再会6

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「俺は、そのつもりだけどね。」

「明日に響かない程度で、お願いします。」

「難しい注文だけど、努力します。」

 ゆっくりと口付けを楽しんで、それから、花束を解いて、ベッド一面に花を巻く。

 キラのために、アスランが用意した花の上で、咽返るほどの花の香りに酔いつつ、ふたりで、ひとつになる。それが、いつものふたりのイベント。





 キラはぴばパーティーは、夕刻近い時間開始と、招待状には認められていたが、知り合いやホスト、スタッフなんかは、午後一番から、ぞろぞろと集まってきた。

「ほら、受け取れっっ、小僧。」

 三蔵が、キラに投げつけたのは、板チョコだ。それも一枚。パチンコで負けてきたらしい。

「キラー、オメデトー。」

 ばふっと抱きついて、ちゅっと頬にキスしてくれるのは、アイシャだ。リクエストのぱふぱふハグにオマケつきだった。さらに、クッキーでできたお菓子の家をくれた。

「キラくーん、今年はこれよ。」

 マリューが、頭にすぼっと被せたのは、ネコ耳のカチューシャだ。お誕生日なので、ラクスから麻の涼しそうなスーツを着せられていたキラには、なかなか似合う代物だ。

「これ、俺とレイからです。」

 シンとレイが差し出したのは、涼しそうな水色のゼリービーンズで、さらに、レイが、携帯用の歯磨きセットも付け足していた。

 そんな感じで、知り合いがやってきて、いろんなものをくれるのが嬉しくて、キラは、ニコニコとしている。ちなみに傍で手を繋いでいるのは、歌姫様だ。キラは一日貸し切りだと、アスランから奪い取った結果だ。もちろん、朝から寝室に乱入して、二番目に、キラにお祝いを言ったのは、言うまでもない。


 一通りの挨拶が終われば、別に、これといった用件はない。今、来ている上得意のお客様といっても、ほとんどが、身内みたいな人間ばかりだ。たぶん、夕刻にイザークの母親を、イザークがエスコートしてくるだろうから、気を使う相手は、それ以降に現れるだろう。夕刻までは、かなり好き勝手にして、それから一旦、ホストたちは着替える。全員が生成りの麻のスーツで色も統一させて用意した。シャツやネクタイは各人に合わせてコーディネートはされている。キラは、薄い藤色の入った麻のスーツで、それから、新人のマイスターたちは、少し桜色が入った麻のスーツだ。上得意へのマイスターたちのお披露目も、ついでにやっておこうという歌姫様の魂胆だ。



「八戒、悪いんだがね。・・・・・ちょっと頼めないかい? 」

 モニタールームから出てきたヒルダは、ぐりぐりと肩を回して八戒に、気功波を頼んだ。ここんとこ、暗黒度アップの歌姫様に付き合っていたから、かなり身体は草臥れているらしい。

 居間で、休憩していた八戒も、その様子に苦笑して、頷いた。今回の仕事は、みな、大忙しで、さすがに疲れた。ヒルダたちは、三人のマイスターたちの捜索から、やっていたのだから、そりゃ疲れただろう。

「簡単に、で、よろしいですか? 」

「ああ、ちょいとやっとくれ。おや、キラ坊やは、もう飽きちゃったみたいだね? 」

 窓から、ヒルダが覗くと、それまで、ラクスと大人しくタープの下にいたはずのキラは、グランドピアノで、レイにピアノを教わっている。もちろん、ラクスも、そこにいるが、手は繋いでいない。

「別に、主役だからって座ってるような堅苦しいイベントじゃありませんからね。」

「そういや、あんたの亭主は? 」

「うちのは、放牧中です。」

「あはははは・・・放牧? いいねぇー、その手綱の掴み方は。惚れ惚れするよ、八戒。」

「ありがとうございます。じゃあ、あちらで? 」

 ああ、と、八戒の誘導で、寝椅子へと誘導されて、ヒルダも大人しく従った。今夜は、たぶん、エザリアも依頼してくるだろうから、八戒は、あまり当日は動くつもりはない。



 バーカウンターのほうは、夕刻までは、別のバーテンダーが担当するので、トダカも、のんびりとタープの下でお茶を飲んでいた。

「とうさーん。」

 声をかけられて振り向いたら、シンが、アイスティーを片手に、自分のとなりの席に座るところだった。

「いいのか? シン。キラ様は、あそこだぞ? 」

 ピアノで、「猫ふんじゃった」 を、レイとラクスと弾いているキラを、トダカは指差した。

「たまには休憩しないとさ。あのさ、とーさん。来月の第三日曜って用事ある? 」

「いや、何かあるかな? アマギ。」

 もちろん、トダカは、独りではない。背後には、親衛隊の誰かがいる。基本的にアマギが傍に控えている。「別にありません。」 という返事を聞くと、トダカが、「だそうだ。」 と、シンに返した。

「じゃあ、その日に実家に帰るからさ。一緒に、メシでも食おうよ。」

「ああ、別に構わないが? なんだ? 金欠になる予定でもあるのか? 」

 もしかして、こづかいが足りなくなるから、実家でメシとでも言ったのか? と、トダカは思ったが、「ちげぇーよ。たまには、だよ、たまにはっっ。約束したからな。」 と、シンは、ぶっきらぼうに答えて、また席を離れた。

「あの、トダカさん・・・」

 離れて行ったシンを目で見送っているトダカに、シンが指定した日が、何の日であるか、アマギが、こっそりと耳打ちした。すると、みるみるうちに、トダカは、真っ赤になって、それから嬉しそうに笑い出した。



 夕刻より、ちょっと前に、マイスター組も着替えて、庭へ顔を出した。なんせ、年長者が、まだ昼寝しないと保たないので、その時間は遠慮していたからだ。アレルヤたちだけで出て行け、と、ロックオンは命じたのだが、刹那もティエリアも動かないとなると、アレルヤだけで、出て来るのも悲しいから、全員で昼寝が終わるのを待っていた。

「うわぁー盛況なんだねー。」

「これが、個人の誕生日パーティーってのが、俺には理解できねぇーけどな。」

 お揃いの薄い桜色の麻のスーツに、それぞれのMSの色の開襟シャツという格好で、ぞろぞろと庭を見物する。もちろん、右側には、刹那がロックオンの腕に懐いているし、左側にはティエリアがいる。どうしても離れたくないらしい。日が暮れる前に、静かに生の演奏が始まり、『吉祥富貴』らしい雰囲気になる。

 みんなあーと、キラの声がして近寄ってきた。その腕を掴んでいるのは歌姫様だ。こちらは、キラのスーツに合わせて、薄紫のオーガンジーがふんだんに使われたイヴニングドレスだ。

「キラ、誕生日おめでとう。俺たちのことを助けてくれてありがとうな。」

 言葉だけでも、と、ロックオンは、感謝していることは告げた。アレルヤとティエリアも、うんうんと頷いて同意する。

「ありがとーーーだって、刹那が可愛いからね。」

「刹那が悲しむことはしたくないのだそうですよ、キラは。」

 ちゃんと歌姫様が、通訳してくれるので意味が判るのが、有難い。それから、と、夕刻よりやってくる上得意の客たちに、マイスター組を、お披露目しますから、と、オーナーらしいオーダーも申し渡された。
作品名:こらぼでほすと 再会6 作家名:篠義