キョン古log集
「古泉、お前いるか。」
そう言われ差し出されたのは色とりどりの飴。何故僕に、と思いながらもその中の一つにあった恐らく苺味だと思われる色の飴を手に取りお礼を良いながら口に含む。予想通りと言うべきか。やはり少し濃いめの赤い飴は苺味で口に含んだ途端甘みが広がった。その甘さに自然と口が綻んでいるのをだらしないとでも思ったのだろうか、彼はやや呆れた様な表情をしていた。
「どうしたんですか?こんな沢山の飴。」
「昨日妹に貰ったんだが俺はこんなには要らないから配って回ってただけだ。お前にあげたのはついでだぞ、ついで。」
その口ぶりからいうと涼宮さん達には恐らく昨日渡したのだろう。昨日は閉鎖空間が発生したのでバイトを理由に活動には参加しなかったのだ。それでも僕にくれたというのは嬉しいものがある。彼はついで、と言っていたが彼の性格でいえばきっと必ず僕にくれたに違いない。彼をじっと見詰めながら考えていれば顔を顰めて「何だよ、」と聞いて来る。「何でもありませんよ。」と返し僕は飴を舐めることに没頭した。
小さくなれば噛んでしまう人も結構いるようだが僕はなくなるまで舐める派である。その方が味が続くからだ。きっと彼は前者なのだろう。やる事がないのか飴の袋をいじって遊んでいる彼(ちっとも楽しそうではないが)を見る。そうしていれば何故かため息を疲れ「まだ舐めてんのか、飴。」と言われた。
「えぇ、まぁ。」
小首を傾げて返せば彼は案の定嫌そうな顔をし(それは朝比奈さんがやるからこそ意味があると前に言われた気がする)「長い。」、そう呟くと突然引っ張られ口づけをされた。そして「甘い。」、と一言。
「・・・唐突すぎませんか。」
「長いんだよお前は。さっさと噛め。」
嗚呼やはり彼は飴を噛んでしまう派なのか、と思っていれば再び口付けられる。彼が角度を変えてキスしようとすればその口付けはもっと深くなる。いつしか飴は消えていて、諦めたかのように心の中で苦笑し僕は目を閉じた。
fin.