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キョン古log集

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 休日の太陽すらまだあがっていない早朝。僕は何をするまでもなく自室の窓ガラスに手を合わせ立っていた。視界に入ってくるのは荒れ狂う雷雨に打たれ悲痛な叫びを上げている窓ガラスに窓の隙間から入ってくる雨水と風から逃げる様にゆらりとはためいている白のカーテン。遠慮なく入ってくる雨水のせいで部屋の一部が濡れ、自分も少し濡れていることは分かっていたが僕はそれに動じることはなくただじっと見ていた。

 目を瞑れば悪夢しか見ることはないこの思考をどうにかして止めようと(最近ではそれも諦めつつあるが)気だるげに起き出し何も考えずにいれば何時の間にか時間は経ち雨が降り出したちまちそれは雷雨となったのだ。

 幸いな事に今日はSOS団の活動は無い。多少の雨なら我慢できるものの、これほどの雷雨となれば外出するのは少し気が滅入る。それに彼ならば必ず文句の一つや二つ言うに違いない。まぁ彼女からすればこのぐらいの天気は何ともないかもしれないし彼女からの召集が掛かれば出向かない訳にはいかないだろう。そして人の良い彼も何だかんだ文句は言いつつ来る。そう確信出来ることに僕らしかぬ苦笑を漏らしたがこの部屋には僕しかいないので問題ない。
 気付けば僕は、携帯に手を伸ばしていた。


 休日のまだ寝ていてもいいと思われる早朝。酷い雷雨に自然と目は覚めてしまいこんなに五月蝿くては眠れない、と早々に起き出したが何もすることがなかったのでぼうっと窓越しに見える雷雨を眺めていた。たまたまきっちりと窓は閉めてあったので(普通ならばこの季節、窓を開けないと暑くて寝ていられない)雨がこの部屋に侵入してくることはなかったがいつものように開けていれば大変な事になっていたかもしれない。否、なっていたことだろう。

 今日は幸いな事にハルヒからの召集はかかってこない。これほどの雷雨だ、今更召集をかけるなんてことは流石のハルヒでもしないと思いたい。そうすれば久々に土曜日という休日を一人で過ごす事ができる。まぁだからといって外に出掛ける気には全くなれないし親に遣いを頼まれても断るぐらいの天気の酷さだ。
 やる事は寝る、食う、ゲーム、テレビ、漫画。この5つ以外にないだろう。勉強?そんなものは古泉辺りがしていればいいことだ。もしかしたら国木田も勉強をするかもしれない。谷口は論外だ。きっと奴は俺と似たり寄ったりのことをしているかまだ寝ているに違いないだろう。

 そこまで考えていると急に携帯が鳴り始める。こんな早朝に誰だ、と思いつつもディスプレイを確認するとそこには『古泉一樹』と書かれていた。

 無意識の行動ほど怖いものはないと僕は今、改めて認識する。気付けば手の中には携帯があり、どうしたものかと思っていると無意識に指は彼の電話番号を入力していた。自分の無意識の行動に呆れつつも此処で切ってしまえば単なる悪戯電話に過ぎない。まだ寝ていることを願いつつも、もし出た場合はどう会話を切り出そうかと頭の中で考えている内に彼は電話に出た。

「おはようございます。僕です。」

『画面見りゃ分かる。それよりだな、お前は人が寝ているかもしれないという事を考えてから電話したらどうだ。』

「それはすいませんでした、寝ているなら起きないと思っていたもので。」

『・・・まぁいい。それより、何の用だ。』

「いえ。特に用はないんですが、」

『なら切るぞ。』

 彼のその言葉に微笑を浮かべながら、僕はさっき考え付いた言葉を電話越しの彼に伝える。

「話相手を、してもらえると嬉しいと思いまして。」

fin.
作品名:キョン古log集 作家名:kei