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【銀魂】九兵衛×東城1【女体有】

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パカリ。
白い殻から零れた黄色い塊が白米の上へと落ちる。
その途端どろりと黄身が崩れるのを見て東城はひくりと眉を吊り上げた。
崩れた黄身を見て、彼の傍で食事をしていた柳生四天王他三人もひくりと眉を動かす。
東城が暴れだすのではないかと身構えたが、彼は暫く卵を睨んでから小さくため息をつくのみだった。
今日の使用している卵は東城自身で新鮮なものを買ってきたのだから人のせいにはできないのだ。
賞味期限も当分先だったはずである。


「ふむ、なにやら不吉ですね」

「卵の黄身が割れたくらいで何が不吉か」


北大路がケチャップのかけられた白米を頬張りながら言う。
東城は白米にしょうゆをかけてぐちゃぐちゃとそれを掻きまわした。


「新鮮な卵を買ったはずですし、慎重に割ったというのに黄身が崩れる‥‥。
 これはひょっとすると何かの暗示やもしれませんよ。もしや若の身に何かあるのでは!?」

「東城さん、黄身が割れたくらいでいちいち若に危険が迫ってたら俺達の身が持ちませんよ」

「いやそうに違いない!私がこうしている間にも若の背後に不吉な影がっ」


西野の言葉も耳に入れず、東城は「若ぁぁぁぁ!」と叫びながら片手に茶碗を持ったまま部屋から飛び出していった。
北大路は小さくため息をついてから侍女の女を呼び、東城の朝飯を冷蔵庫へしまうように言いつける。
東城が九兵衛の元に行く時は、大抵すぐに戻ってこない。それを知っていたからだ。


「若ぁあ!ご無事ですかぁああああ!がふっ!!」

「朝から騒々しい、静かに食事くらいとらせないか」


顔面にとんできた味噌汁の蓋をもろに食らい、東城は襖をも吹き飛ばして庭へと吹き飛んだ。
自室で静かに朝食を食べていた九兵衛はもぐもぐと白米を噛みしめながら眉を顰める。


「し、しかし若、朝から何やら不吉な予感が‥‥若の御身に何かあるやもと」

「不吉な予感?」

「新鮮な卵の黄身が割れたのでがほっ!!」

「そんなくだらない事で‥‥」


食べ終わったお新香の皿で二撃目を受けた東城が地面に這いつくばる。
呆れ顔の九兵衛は茶碗の中の白米も綺麗に箸で取り除いた後、残った味噌汁を全て腹の中に収めた。
箸を茶碗の上に置いてから両手を合わせて食事を終える。
東城は負けじと起き上がり、九兵衛の元へ走ってゆき、その肩を両手で鷲掴む。


「くだらないとは何事です!私は若の事が心配で心配でしゃーないんですよ!!」

「僕に触るなああああああああああ!!」

「げべらぁ!!」


背負い投げをされ、再び庭へと吹き飛ばされる東城。
地面にぶつかった衝撃で吹き出した鼻血を右手で押さえながら、東城は細い瞳に涙を浮かべる。
好いても好いても相手からはいつも冷たい態度ばかりだ。


「わ、若、何故なのです!何故、幼いころよりお傍でお仕えしていたこの東城にも心は開いてくださらぬのですか!
 ていうか北大路とかよりも私の方が扱い悪いですよね!?私が一番若のお傍にいるというのに!」

「男には触りたくないし、お前が嫌いだから」

「私はこんなに若の事を大切に思ってるのに!?」

「あ、今ので余計に嫌いになった」

「殺生なぁああああ!!」


涙をだーだー流す東城に、九兵衛が今度は座布団をぶつけようとした時だった。
突然爆音のような大きな音が屋敷中に響く。
その瞬間、九兵衛も泣きわめいていた東城もすかさず腰の木刀に手をやり辺りを見回す。
見れば柳生家の玄関からもくもくと煙がたちのぼっているではないか。


「若、屋敷の奥に」


爆音を聞きつけてやってきた北大路ら三人が先に玄関へと向かっていく。
東城は三人の後についてゆこうとした九兵衛を引きとめようとする。


「頼もう!!柳生家に決闘を申し込む!!」


玄関から怒号のように響いてきた声に二人は顔を見合わせた。
廃刀令のこのご時世にも柳生流を習うべく柳生の道場の門を叩く者は多い。
しかし一部の天人はどうにもそれが気に入らないらしく
事あるごとに文句をつけられる事が多々あった。
今回も蛾の天人達に「剣術に関しては我々の星の方が上だ」と喧嘩を売られ
柳生のサバイバル式皿割り合戦で勝負をする事になった。
五対五の柳生四天王と九兵衛、五人の蛾の天人との勝負。
一時間もしないうちに柳生四天王は相手の皿を四枚割っていく。


「全く、人様の家の門を爆破しといてこの程度か。やってられないな」


まだ一人も相手にしていない九兵衛がつまらなそうな顔をして木刀の鍔部分でこんこんと肩で叩く。
彼の隣に立つ東城もいつもの調子ならば「彼らの星の大使館に請求書を出しましょう」くらい言うのだが
今日は何故だがやけに真剣な顔で辺りを見回している。


「どうした東城」

「いや、朝からどうしても不吉な予感が拭えないもので」

「たかだか卵だろう、気にするんじゃない」

「はぁ」


東城は納得がいかないような顔をしながら気のない返事をする。
そこに残る最後の一人が二人の前に現れた。


「東城、僕がやる。今日はやけに血が騒ぐんだ」


木刀を構えながら九兵衛がそう言う。
東城は不吉な予感もあり、一瞬だけ眉を顰め心配そうに九兵衛の横顔を見たが
すぐに一歩下がり、自分には戦う意思はないのだと示す。
それを満足そうに見てから九兵衛は天人に向かって走り出した。
相手の天人が振った木刀を小柄な身体を生かし華麗にかわしながら高く跳び
九兵衛は相手の胸につけられた皿を狙って木刀を突き出す。
相手の天人は前にかがみ木刀の皿への直撃を避けた。
しかし背に木刀の突きを受けてしまい、痛みに相手は前へとよろめく。
九兵衛は天人の背後に着地し、すかさず振り返り木刀を振るった。
その時、天人が握っていた木刀の中から真剣を取り出した。


「!」


びゅっと後ろに払われた刀身をギリギリのところで避ける九兵衛。
木刀を模した鞘の中に隠されていた真剣を使い
天人は九兵衛の皿ではなく首を狙って刀身を横に振る。
東城は加勢しようかと木刀を握り締めたが、九兵衛が再び高く跳んだのを見てそれを止めた。
九兵衛の木刀が相手の脳天に直撃すれば勝負は終わりだ。
しかしそう思った瞬間、九兵衛の背後の茂みからすでに皿を割られていた天人が真剣を持って飛び出してきた。
それを見た東城は反射的に駆け出し、九兵衛のもとに向かう。


「若!」


天人の刀が歩の右肩を貫通する。
それと同時に東城は握り締めた木刀を相手の喉へと思い切り打ち込んだ。
九兵衛も目の前に居る天人の頭に力の限り木刀を振り下ろし、相手を気絶させる。
東城に吹き飛ばされた天人は木に身体を打ちつけ、そのままずるずると倒れ気を失った。
東城が呻きながら崩れるようにその場に膝をつく。
九兵衛は血相を変えた顔で振り返り、東城の傍にしゃがんだ。


「東城!」

「若、ご無事ですか。お怪我は」

「僕はなんともない!肩を刺されたのか!?」


右肩を押さえる左手か鮮血に塗れ、東城の着物も真紅に染まっている。
焦ったように九兵衛は周囲を見回し声をあげた。


「誰かいないのか!北大路、南戸、西野!」


九兵衛の声にすぐに三人は駆けつけてきた。