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【銀魂】九兵衛×東城1【女体有】

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北大路は肩から血を流している歩を見ると、驚いたように目を開く。


「東城殿、ご無事か」

「ええ、肩をやられただけですのでたいした傷ではありません。
 奴らめ神聖なる柳生の決闘法に真剣を持ち出してきやがりましたよ。
 可愛い若に傷でもついたらどうしてくれんだ、くそ野郎」

「それだけ言えるなら大丈夫だな。傷を見せろ」


ぶつぶつ文句を言う東城の着物を上半身だけ脱がせる。
刀身の貫通した右肩は出血が止まらない。だが、命に関わるような傷ではなかった。
北大路は東城の着物を縦に裂き包帯代わりにして傷を止血する。
それぞれ気絶した天人の様子を見ていた南戸と西野が口を開く。


「こいつらの処分はどうすんだ」

「若に手を出したからにはタダでは済まさんのだろう?」


それを聞いて東城は振り返りながら二人に指示を出した。


「真撰組に突き出しますよ。天人とはいえ、柳生家に手を出したのだから処分はできるでしょう。
 南戸はその天人を拘束して逃げられないように見張っていてください。
 西野と北大路はまだ屋敷の中にいる残りの三人の捕獲をお願いします。
 それと、若は念のため自室で‥‥若?」


東城はしゃがんだまま俯いている九兵衛を見て首を傾げた。
九兵衛の身体が僅かに震えているのを見て、東城ははっとする。


「若、ご気分が優れないのですか?す、すぐに医者を」

「‥‥っ、‥‥か」

「え?」

「そんな青い顔をして指示なんて出している場合か!馬鹿者!!」


般若のような顔と張り上げられた怒声に東城は縮み上がった。
九兵衛の怒声に周りの三人もぽかんと口を開けて二人の様子を見る。
次の瞬間、九兵衛は自分よりも遥かに身長と体重のある東城を肩に担ぎ上げた。


「わ、若!?何してるんですか!重いんですから、降ろしてください!」

「煩い、怪我人が喋るな!」

「私が怪我をしたのは肩ですから一人でも歩けます!」

「黙れ!!」

「は、はい!」


男以上に強いとはいえ九兵衛も年若い女。
その女性に軽々と担ぎ上げられ医務室へと連行されていく東城を北大路、南戸、西野の三人は唖然と見送っていた。
二人の姿が見えなくなったところで、西野の口から空気が噴出す。


「ぶはははははははは!!」

「若、本当に逞しくなって‥‥」


滑稽な歩の姿に大笑いする西野の横で、北大路と南戸は遠い目をしてそう呟いた。













その日の夕方。九兵衛は東城の部屋の前の縁側で、襖に背を預け膝を抱えて座っていた。
燃えるような赤い夕陽をしばらく眺めていると静かに襖が開かれる。
そこから出てきた医者は九兵衛の存在に気づくと、にこ、と笑った。


「傷も縫いましたし、もう大丈夫ですよ。
 無茶さえしなければ普通に生活してくださっても支障はありません」

「本当か?」

「ええ。上手く急所を外したんでしょう、神経もそんなに傷ついていませんでした。
 勿論剣術はしばらく禁止ですが、外出も自由にしてくださって構いませんし」


九兵衛は医者に礼を言ってから、開けっ放しだった襖から部屋に入る。
そこには顔色も戻り、布団の中で上半身を起こし北大路と何か話をしている東城の姿があった。
東城は九兵衛の存在に気づくと話を止め、いつものように微笑を浮かべる。


「もう大丈夫なのか」

「はい。ご心配おかけして申し訳御座いません」

「‥‥そうか」


九兵衛はそれでも晴れない表情だ。
東城はそれを見て、また口を開いた。


「若、どうぞ御気になさらず。大した怪我ではありません。
 それにこの東城は、輿矩様より若の身の安全を守るようにも言いつかっております故」

「‥‥」

「それより、若の方こそ大丈夫でしたか?」

「何?」

「いや、思いっきり私の事担いでたじゃないですか、男なのに」


九兵衛は東城の言葉の意味を理解した途端、ざっと全身から血の気を引かせた。
予想はできていたし慣れてはいるががその拒絶反応には東城も泣きたくなる。
言わないほうが良かったか?と思った瞬間には、東城は隣の部屋まで投げ飛ばされていた。


「若、流石に怪我人にそれは‥‥」


黙って成り行きを見守っていた北大路が口を開く。
九兵衛は、あ、と更に顔から血の気を引かせた。
自分を庇う為に怪我を負った男を、いくら大嫌いだからといってこの状況で投げ飛ばすのはいけない。
九兵衛は慌てたように数歩前へ歩んで東城に申し訳なさそうに言った。


「す、すまない東城」

「い、いえ、私の方こそ余計な事を‥‥」


そう言いながらも東城は怯えるように九兵衛から少し後ずさり、
彼のその行動に九兵衛はショックを受けた。
大好きな若といえども、流石に怪我をしている時にまでの暴力は東城でも怯えるらしい。
嫌いだなんだと言っても小さな頃から一緒にいる東城に九兵衛は信頼を置いている。
そんな彼の小さな主に対する拒絶は、九兵衛にとっては初めての事だった。しかも謝ったのに怯えられている。
ガーンという文字が目に見えそうな程にショックを受けて固まっている九兵衛に北大路が声をかけた。


「若、先程輿矩様がお話があるとおっしゃっていました。今回の件について聞きたい事があるそうで」

「どうせ無事か大丈夫かと聞かれるだけだ。パパ上の子煩悩に付き合う義理はない」


平静を取り戻したように取り繕いながら九兵衛が冷たく言う。
北大路は主の言葉に困ったように眉を寄せ、奥にいる東城に視線を向けた。
北大路の視線を受けて東城は九兵衛に言い聞かせるように言う。


「‥‥若、輿矩様も敏木斉様も若の御身が大事なのですよ?
 親を安心させて差し上げるのも子の役目です。親孝行は必要です」

「だが」

「私はもう大丈夫ですから、行ってきて下さい。ね?」


諭すように言う東城に九兵衛は眉を顰める。
そして何か考えるように視線をぐるりと彷徨わせた後、不満そうに口を開いた。


「東城、僕は明日妙ちゃんと遊ぶ約束があるんだ」

「ええ、一時に待ち合わせなんでしょう?存じております」

「教えてないのになんでだ」


いつもながらの東城のストーカーっぷりに九兵衛はまた彼を投げ飛ばしたくなった。
が、そこはなんとか耐えて見せる。そして柔らかな笑顔を浮かべて言った。


「明日はお前もついてこい、僕の世話役なんだからな」

「‥‥承知致しました」


いつもの調子に戻った九兵衛を見て、東城は微笑んで頭を下げる。
その従順な様子に満足そうに九兵衛は鼻を鳴らして部屋から出て行った。


「若は何だかんだでお前の言う事は聞くよな」

「若がいないからってタメ口に戻らないでください」

「いいじゃないか別に。幼馴染なんだしな」

「年下のくせに」

「ここまで成長すればもう年齢は関係無い」

「弱いくせに」

「そのうちすぐに追い越すさ」


東城の言う事言う事に飄々と答えていく北大路。東城はぎろっと北大路を睨む。
睨まれた北大路は降参とでも言うように軽く両手をあげる。
そして微笑を浮かべながらぽんとあげていた片手を東城の頭の上に置いた。


「ま、何しても大事に至らなくて良かった」

「‥‥斎」