twitter log #04
仏英クリスマス週間
①
さみしかったかと問うても返事がないので肩を竦める。全く素直じゃない恋人は、俺の腕にすぽりとおさまっているくせこちらの背に手も回そうとはしない。「…アート?」けれどふと、コートのボタンが外されていることに気付いて声を上げた。彼の細い指が躊躇いもなくするりと忍び込んでくる。/fe①
1223 23:21
②
行きつけのブティックで買ったコートには幾つも内ポケットが付いている。その中のひとつに何かを押し込んで、「プレゼントだ」アーサーが悪戯っぽく笑った。そうしてすぐに離れ、奥の部屋に歩いて行ってしまう。首を傾げながら取り出してみると、入っていたのは小さなカードだった。/fe②
1223 23:21
③
ツリーの飾りから値札を剥がす。あとは一番上に星を飾れば完成だ。子供を肩車して飾り付けをする、なんて必要のない小さなサイズ。机の上にあるそれを眺めてイギリスは少しだけ微笑む。小さなツリー、小さな幸せ。それでもこんなに満ち足りた気持ちになれるのは、共有する相手がいるからだ。/fe③
1225 22:24
④
砂糖細工の天使を見つめ、造形の細かさに嘆息する。朝から作り始めたケーキはもう仕上げの段階だった。フランスは注意深く飾りを乗せていき、最後に全体を眺めて自らの成果にひとつ頷いた。これならきっと、イギリスも喜んで舌鼓をうってくれるだろう。恋人のことを考えれば自然と頬も綻んだ。/fe④
1225 22:24
⑤
ベルの音に玄関のドアを開けば、クリスマスカラーの包装紙に包まれた箱を持ったフランスが立っていた。彼は片手を胸に当てて礼をし、「お招き頂き光栄です」悪戯っぽく笑う。芝居がかった言い方にこちらも口元を緩め、「お手をどうぞ」囁いて彼の手を引いた。さあ、パーティの始まりだ。/fe⑤
1225 23:02
⑥
酔いが深まる中、テーブルの上のリボンに目が留まった。真赤なそれを手に取ると、隣に座るフランスが怪訝な顔で見てくる。その膝に乗り掛かり、リボンを手渡した。「結んで、フランス」プレゼントだと囁けば、唐突に口付けられて喉が鳴る。ああ、外の冷気など考えられない程頬が熱い。/fe⑥
1225 23:03
リクエスト週間
①独にょ仏
豊かな胸を誇示するような衣装で駆け寄ってくる恋人の姿に頭痛がする。「その格好は何だ?」微妙に視線を逸らしながら尋ねれば首を傾げ、「ルッツが好きかと思って」朗らかに笑う。一体彼女の中で自分はどんなイメージなんだと思ったが、胸を押し付けられてはもう何も言えなくなった。/独にょ仏
1229 00:10
②英にょ西
健康的な脚が目の前ですらりと組まれて、中々あざといなと感心する。けれど表情は変えず、「見えてんぞ」紅茶を飲みつつ指摘すると、見てんのやろと女は笑った。ソファの向こうからローテーブルを跨いでやってきた女がどすんと膝の上に座る。首の後ろに手が回ったのを合図にキスをした。/英にょ西
1229 00:10
③後天性女体化(2)
目の前に立つイギリスに違和感をおぼえて首を傾げた。彼自身も何か言いたげに俺を見つめていたが、結局何も言わないままにじわりと涙を滲ませる。突然のことに驚いて、宥めるように抱きしめればやけに軽く腕が回る。あれ、と思ったところで、「……女になっちまった」イギリスが小さく囁いた。/fe①
1230 19:52
④後天性女体化(2)
よく見れば確かに服の寸法が大分だぶついている。支えた肩も不安になる程に華奢だった。しかし誰より混乱しているような相手を放っておく訳にはいかず、頭を撫でて浮かんだ涙を舐めとってやる。――途端安心したように体の力を抜く姿に、庇護欲と、何か得体の知れないものが浮かんだ気もした。/fe②
1230 19:53
⑤普洪(1)
鏡の向こうで男が笑う。「女の支度は細けえよなあ、ほんと面倒くさそう」こちとら気張って化粧から何からしているというのに酷い言い草だ。その上女の支度をまじまじと見ている辺り根本的に気配りが足りない。しかし何を言っても無駄かと思い、仕上げに紅を乗せつつそっとため息を吐く。/普洪①
1230 23:30
⑥普洪(2)
出来たかと聞かれ、おざなりに頷いて返事をする。その時目線を上げたことで、男がじっとこちらを見つめていることに気が付いた。何かと思えば武骨な手が伸びて、「これでいいんじゃねえ?」背後から満足気な声が届く。曲がった髪飾りを直されたのだと気付いた瞬間、不覚にも頬が熱くなった。/普洪②
1230 23:30
作品名:twitter log #04 作家名:はしま