リトアニアの法則
「俺、ポニーの飼育係になるんよ! これ、もー決定しとるし! 」
以前 嬉々として自分より先に進むポーランドは、にわかに振り向いたのちそう言い放つ。
特徴のある目を輝かせ、両サイドに分けた前髪が昇り始めた朝日を淡く反射する。
彼の手にはペンキの入ったバケツ缶とハケがしっかりと握られており、時折気まぐれに
勢いよく振り回すのでその度に慌ててたしなめる。その鮮やかなピンク色の塗料は、ポニーの運動場を囲う柵を彩るためのものらしい。
おそらく牧歌的になるであろう風景に目の覚めるようなその色はどうかとも思うが、ポーランドがそうしたいのだから仕方がない と彼は思う。
・・・・・・あの校長の傍若無人な振る舞いが学園全体の掟というのなら、自分のそれはきっと
この相方を見守ることなのかもしれない。 今までずっと、そうしてきたように。
「リトリトリトーっ! こいつら、マジ可愛いすぎるしー!! 」
耳に届く悲鳴にも似た歓声に、リトアニアは溜息をつきながらも微笑んで、歩みを速める。思ったより運動場は広く、早くペンキ塗りに合流しないと授業に間に合わないかもしれない― そして、それ以前に
ポーランドが、へそを曲げないうちに。