兄さまひっし
自由テキスト【 兄さまひっし 】
○ 月× 日。
校長のいつもの気まぐれにより、この度我が校に数種の動物たちがやって来る運びとなった。
我輩としては、仮にもこの学園を取り仕切るリーダー的存在であるのだから、そういった軽率な振る舞いは断固として、謹んで貰いたい一心である。
今回はその動物たちの中にヤギが何頭か含まれているとのことで、いつの間にやら我輩がその世話をする流れとなってしまっていた。
確かに自宅で飼ってはいるが、こちらの都合などまるでお構いなしといった具合だ。
気がついた時には『飼育係(ヤギ)』の役職に見事納まっており、本日の放課後から早々に世話に赴くこととなった。
しかもその際のホームルームの進行役は日直のオーストリアで、こちらの意見など聞く耳も持たずほぼ独断で、強引に採決してしまった・・・・・・まったく腹立だしく、いけ好かない奴なのである。
リヒテンは手伝うと言って快く引き受けたものの、我輩はやはり納得がいかない。
こういったことは公平に皆の意見をくんで決定することであって、とにかく決めてしまえば良いということではないのだ。ましてや
相手は生き物であるのだから尚のこと、慎重に慎重を重ねた議論を以ってして挑むべきであって―