10分創作ログ
お題:クリスマスイブの夢
ひどい夢を見た。蒼ざめた顔でそんな事を言う。そりゃそうだろうと思った。何せ、こっちが釣られて起きるくらいだ。周りでは、まだ酔いつぶれた友人たちが寝入っている。起きているのは彼と自分の二人だけだ。
どんな夢だと問いかけるのは容易い。だけれど、聞いても元親は覚えていないと言うのだろう。ただ、ひどい夢を見たとだけ。繰り返す。
「……落ち着きなよ」
「おう……」
沈んだ声。元親の手は震えてさえいる。
「夢だよ」
「分かっちゃあいるんだ」
慶次は深く嘆息した。誰かの名前を読んでいた。いつも同じ名前だ。だけれど、いつか戯れに尋ねたら怪訝な顔をされた。覚えてはいないのだ。
覚えていないのに、今でも嘗ての友を呼ぶ。