なにより嫌う束縛をなによりも愛した
曖昧な態度で言葉で、唆さないで。
貴方と私の思いの重さなら、天秤はきっと私の方に傾く。
『貴方が好きなのは、なに?』
だから、確かめさせて。
貴方が私を好きなのか。
──私はもう、傷つくのは嫌なの…。
【なにより嫌う束縛をなによりも愛した】
戸籍を入れ換えたのは、つい先日のこと。
今時珍しくもない、式を挙げず届け出をするだけの淡白婚。
それでも満足していた二人に胸に蟠りが出来始めたのは何故だろう。
最初、彼女はマリッジブルーだと思った。
六ヶ月、そんな短期間の、スピード結婚。仕方ないと、割りきっていた。
だけれど、最近その胸の痞が日に増して大きくなっていた。
そしてそれも、日が経つごとに何が原因か、彼女は理解した。
原因、それは…夫である折原臨也の不可思議な行動にある。
その1・いきなり『部屋を別々にするべきだ!』と言ってきた。
「一応聞くけれど…急にどうしたの」
「急じゃないよ。これは前から考えてたことなんだ」
何時になく真面目な顔で言うものだから、その迫力に負けて私は頷いた。
作品名:なにより嫌う束縛をなによりも愛した 作家名:煉@切れ痔