もう一つのお日様
「あったかい、とっても。そして優しい」
まるで、お母さんみたいだ、と。
むず痒そうに笑ってみせた。
そんな彼を、白蘭を愛しいと思うのは、彼を愛している証拠。
だから私も、彼に伝えられたように。
素直な気持ちを言葉にして返した。
「私にとっても貴方はお日様です」
そう言うと白蘭はびっくりしたような顔をして。
また私に変だと失礼な言葉をかけてきた。
だけれど今度は、不貞腐れたような顔ではなくて、私の好きな笑みで。
「ユニちゃんの方が二枚くらい上なのかもね」
諦めたように肩を竦めると、何を思ったのかテーブルを乗り出す。
その行動には私も予測していなかったために少しだけ戸惑った。
だけど本当は分かっていたのかもしれない。
「びゃく、っん」
だって、いつの間にか瞼を閉じて彼の口付けを受け入れている自分がいる。
そして瞳を開けてみれば、そんな私に優しく微笑んでいてくれている彼がいた。
そして、
「…やっぱり、僕もユニちゃんも一枚ずつ上手なのかな」
なんて、少しズレたことを言うからぷっと笑って。
それから彼も私と同じように笑ってくれました。
「ユニちゃん」
その笑顔はあたたかくて、やさしくて。
まるで、お日様のようだった。
けれどそれは、私だけの。
たった一つのお日様。
外だけではなくて、心の中までも暖めてくれる、小さくも大きな、白蘭のお日様でした。
fin.