mariage
「もし、この先俺がアンタを同じ様に想うことがあるとするなら、そん時には・・・・。」
「その時には?」
真意を探ろうと交わされる視線ははずされることはなく、また逆に気おされそうな強さを秘めていた。
「俺が、口説く!」
大佐の珍しいほどの呆れ顔のあとに笑い声が響いた。
「━━OK・・・君に口説かれる日を心待ちにしているよ。」
アルフォンスは自分が采を投げたこともあり、行く末が気になっていた。
でもまさか聞き耳を立てているわけにも行かず。
2階の大佐の書斎で動向を伺っていると、なにやら喧嘩を始めたらしい。
「もー、何やってるんだよ兄さんは・・。」
仲直りしに行ったんじゃないの。
そもそもそう簡単に自分の気持ちを吐露する性格でもないことは重々承知してはいたが。
どう結論を出すにしろお互いの感情をぶつけないことには解決の糸口はないのだ。
こと、恋愛沙汰という特殊状況ではあったが。
大佐の気持ちを考えれば、どっちつかずのままよりも絶対にいいはずなのだが。
「なんでそこで拳がぶつかり合うのか・・。」
もともと兄さんは頭で考えるより先に行動する方だけど。
ほんとわかんない。
まぁ、僕が大佐に告白されたとしても混乱するだろうから気持ちはわかるけどね。
そして暫くして静かになったと思ったら今度は大佐の笑い声がこだました。
「何?一体何が・・?」
明日、詳しくその辺を聞いてやろう。
今はまだそれでいい。
一夜明けて朝早くにエルリック兄弟はイーストシティを飛び立った。
お祭りの終わりギリギリに旅に出たエドワードから大佐へ報告書とともに添えられた一品があった。
中身は蜂蜜のお酒とメモ。
そのメモを読んだ大佐は部下が見ても幸せそうだったらしい。
“━━━━俺の代わりにしておけ。”
春はもうすぐ。