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君という世界で息をする

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それは、本当に他愛もない、だけど実は心の奥底の不安を携えた、質問だった。
それを僕は、イザヤさんにぶつけた。


『僕は貴方と一緒にいて、迷惑をかけていませんか?』、と。

するとイザヤさんは少しだけ目を見開いて、僕の頬にたどたどしく触れたかと思うとぎゅうっと抓ってきた。

『っ……イ、イザヤ、さ……?』
『――ミカド、』

有無も言わさないようなその低い声音に思わず身体が硬直する。
滅多に聞かない、少なくとも自分に対しては向けられることのなかったその声。
向けられる相手は襲ってきた敵だとか、イザヤさんが大嫌いなシズオさんだとかで。
だけどそれが今、自分に向けて放たれている。
それほどまでに僕は、イザヤさんを怒らせてしまったのだろうか。
一体何が、どうして。

『あ、の』
『何で、どうしてそんなこと言うの?迷惑とか…そんなこと』
『ぇ、だ、だって…僕はイザヤさんの瞳に光を与えられないから…』

“停電中”の身である僕は、ただ命を吸い取るだけの存在でしかない。
――そう、まるで“寄生虫”だ。
それがただ申し訳なくて、僕は


『……す』
『ぇ、?』
『俺が、俺がそいつを殺してあげる。そんなくだらない事をミカドに言う奴なんて俺が』
『イ、イザヤさ…?』

低い声だった、怖くて背筋が震えるような声だった。
だけどその奥深くは凄く悲しくて、寂しいもので。
どうして、そんな声で言うんですか?
どうして、


そんな、そんな泣きそうな声で、言うんですか?


『迷惑とか…そんなわけないだろ。俺にはミカドがいればそれでいい、目が見えなくたって君がいればいい』
『…でも、でも』
『君を失うくらいなら、世界なんて暗いままでいい。次こんな事言ったら許さないよ……だからお願い、』


俺の傍から、消えないで。


低い声、怖くて背筋が震えるような声は、泣きだす直前の子供のような声へと姿を変える。
いつの間にか頬を抓っていた手も離されており、細いようで逞しい腕が僕の首に回され抱きしめられる。
ほんの少し頬がひりひりと痛んでいたけれど、それよりも何よりも心がじくじくと痛んだ。


(変なの)
(離れられるのを怖がっていたのは、僕のほうだと思っていたのに)


(でも、イザヤさん。僕は、僕は何時か――)