fall in
けれど、当然というか土方は未だ赤いままの顔を隠すように視線をそらして、がさがさした声で沖田が望むとのとは全然違うことを宣った。
「とにかくお前は今日明日謹慎だからな。」
「は?……は?」
負け犬の逃亡前の決め台詞のごとくそれだけ言って土方はさっと部屋を出て行った。とんでもない爆弾を沖田に投下して、自分だけ逃げるみたいにそそくさと。
残された沖田の方は、たまったもんじゃなかった。寒中水泳などという衝撃的な初体験をも上書きするまさかの展開にどう反応したらいいのかわからない。
「信じらんねえ…」
口元を抑えて、おもわずそんな言葉を漏らしてしまうくらいには沖田の方も動揺していた。
土方と、ほとんど入れ違うようにして入ってきた山崎が部屋の中央にぽつんと座った沖田を見て小首をかしげる。
「沖田さん、顔赤いですよ」
まさか熱でも出たんですかねえと表情を曇らせた山崎に、沖田は全力で肯定を示す。混乱したままの今はまだ、そういうことにしておいてほしい。