エコロジスト≒ノスタルジスト
【 エコロジスト≒ノスタルジスト 】
『・・・・・・・・・また、であるか』
その時スイスは机に頬杖をつき、目の前に在る空っぽの席を眺めていた。
午後の授業の始まりを促す予鈴、本鈴はとうに鳴り響いた後で、既に教室内では5時限目が始まっている。
今月に入って3回目ではないか と思い至ると同時に、無意識に頭上からポコポコと怒りの蒸気が上がった。
確かに成績は悪くないのかもしれないが、時間を守れないというのは学業ができる以前の問題でありなんとも情けない・・・・・・それともまた、校内の何処かで道に迷っているのだろうか。しかし
どちらにしても遅刻には変わりなく、見苦しいことにも変わりはない。
まさに今 黒板の前で教鞭をとり、貼られた資料を差し示す最中のこの温和な教師でも
いい加減に、堪忍袋の尾を切らすのではないだろうか。
・・・・・・オーストリア。
貴様、一体いつ戻るつもりなのだ。
作品名:エコロジスト≒ノスタルジスト 作家名:イヒ