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踊る、風紀委員戦線

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「あれは一体、何あるか?! 」

「なんと・・・・・・今度は是非、巨大ブランコに乗って頂かなくては・・・・・・」

「ブランコの起源は俺なんだぜ! 」

「巨大ブランコ、まじパネェ的な? 」

「うっわどうしよ、スカートの丈 戻さなきゃ・・・・・・! 」



登校してきた生徒たちがざわつく中、既に幾人かは身動きのとれない『お縄を頂戴した』状態にあった。
それは電光石火の如く駆け回り、グラウンド上を席巻する
“白い何か”の成す輝かしい功績。

「HAHAHAHA-! 彼ってばすごいんだぞ、まるで映画の猛獣使いみたいじゃないか! 」

「だからネクタイはちゃんと締めろっていつも言ってんだろ!
笑ってないで逃げろよバカぁ! 」

服装のなっていない生徒たちがその標的となり、あられもなく逃げ惑う― が、各々が4つの足を持つ『委員』たちに適う筈もない。
それぞれがその胴周りに、リーダーであるスイスが嵌めている腕章と同じ柄のものを付けている。一見可愛らしい腹巻のようにしか見えないが
それを指摘した者の命はまず無さそうだ。

彼らはこの校内の風紀を今一度正すべく、スイス直々に任命された風紀委員・・・・・・先日学園にやってきた、5匹の仔ヤギたち。
小さな体躯に似合わず、目標に向け猪突猛進してくる彼らの様はまるで猛獣のような威を纏っており、あの風紀委員長の指揮下にあることが見て取れる。

「ベルン! バーゼル! そやつらの前方に回り込んで確保するのである! 」

スイスの号令に2匹は機敏に反応し、瞬く間に被疑者らを取り押さえた。それは特別な軍事訓練を受けたかのような、一切無駄のない動き。
残る3匹もグラウンドを駆け回り、次々と下る指揮の元 果敢に奔走している。
幼いながらも使命感に燃え、校内の秩序を守るべくストイックに任務を遂行するその様は、まるでスイスの分身といっても過言ではない。
当の彼も忠実な委員たちと共に駆け回っており、時折ライフルを構えお馴染みの銃声を響かせている。

端整な顔立ちをした青年が仔ヤギたちと戯れる― 端から見ればそう形容しても多少、差し障りない状況の筈なのだが
生徒たちにとっては紫煙にまみれ火薬の匂いが立ち込める、鬼気迫る審判のような光景だった。

―ただ、教室内から胸をときめかせつつその始終を見守っていた妹に限っては、そうではないのかもしれない。



『兄さま・・・・・・とっても、素敵です・・・! 』



生まれ変わった風紀委員会の寸分の乱れもないチームプレーに生徒たちは始終、圧倒されるがまま。
校則に反し捕まった者は もれなく放課後に委員長直々のありがたいお説教と更生の為の『訓練』を受ける権利を得、項垂れて各々の教室へと向かう。

・・・・・・もう、己の思いのままに服装を楽しむ時代はもう終わったのだ と誰しもが未だ陽の高いうちから、もの哀しい感慨に耽るのだった。

作品名:踊る、風紀委員戦線 作家名:イヒ