孤独の先に
――そうっだたのか……やっぱいきなり「なにしてるの?」はないよね……
軽く落ち込んだ。
「でも本当に限輝には感謝してるの、ありがとう」
「そ、そっか。とにかく良かったよ」
面と向かって言われて少し照れながら言う。
「でもね、ここに来るのは今日が最後なの……」
不意に悲しそうな顔をした美幸が口を開いた。
「え? ……なんで」
不意打ちの言葉に驚きのあまり声をだした。
「ほら、限輝も私も過去のトラウマから立ち直ったし……」
困った顔をしながら言った。
――言えない理由があるのかな?
「それだけかな?」
思わず口にしてしまった。
さらに困った顔をした美幸。
「え? ――私来年受験生だし……」
「高校での勉強が楽勝なのに?」
その答えに焦りだしてしまった。
「……実は引っ越しを……」
「もういいよ、何か事情があるんでしょ?」
「……うん、ごめん」
美幸は顔を伏せていた。
「でもこれが永遠の別れじゃないよね?」
「うん……」
「じゃあ待ってるから」
笑顔で言った。寂しいけど信じているから。
美幸はなにか考えごとをしていた。
それを見て言葉を待った。
「ねぇ、別れる前に聞くけどさ、私たち……友達だよね?」
「僕はそう思ってるよ」
何を言われるかと思ったけど、友達…確かに僕たちの関係は微妙だしどう思われるか不安だったけど、籠塚さんも友達と思ってくれていたみたいだ。
そして籠塚さんから突然の提案だった。
「だ、だったら――名前で……呼ぼうよ」
「え? それって名前で呼ぶてっこと?」
驚いて気の抜けた声で言った。
「うん。だって私は呼び捨てだし、そっちは名字でさんが付いてたし……」
だんだん声が小さくなった。
「えーと美幸さん?」
なんだかすごく気恥かしく思いながら言う。
「――さんは、いら……ないよ」
消えそうな声で言う。
「よ、呼び捨てはちょっ――」
美幸が限輝をじっと見ている。限輝はどの道かないそうもないと感じ、諦めた。
だが恥ずかしさから言葉に詰まった。
「わ、わかったよ……み、美幸」
それを聞いた美幸は嬉しそうに笑っていた。
「じゃ、じゃあ……またね、限輝」
「またね、美幸」
それから一年と四か月ほど。
限輝はクラスメイトや家族とのコミュニケーションを取るようにしていた。今までなにもしなかた分何かやろうとして生徒会長なった。
別れてから三カ月で参考書の最後に手紙があった。それには来れなくなる理由が書かれていた。
学校で倒れた時の検査で手術が必要だってわかたっけど、私が嫌だって言いはったら医者の人が本人が嫌がってるから無理やりはできない、手術はまず半年ほど待ってくれてそれまでに体力を減らさずできるだけ増やしてって言ってくれたの。
けど私はこれからもどうせ1人なら別にしなくていいかもって思ってた。だけど限輝に会って話して変わっていった、生きたいと思った。だから手術を受ける決心がついたんだ。
心配かけたくなかったから手紙をかいたけど、できれば再会を待っててほしいな
美幸
――年下にどれだけ気を使われてるんだろうな、情けない。まあ再会は信じてるから会ったときにでも聞くか僕ってそんなに頼りないかとね……
生徒会、ボランティア活動、勉強と忙しいけど美幸のおかげで今は充実した生活をおくれるようになった。今頃はどうしてるかな?
あ、今は感傷に浸っている場合じゃなかったな。
今日は入学式で生徒会長として話をしないといけないといけないし、緊張するなー。
新入生代表挨拶が終われば次に、生徒会長挨拶がある。
『新入生代表挨拶 新入生代表籠塚美幸』
「はい」
代表の名前が呼ばれ返事があった。
――ん? カゴヅカミユキ……
壇上に上がっていく人物を見た。
「え? え~~~~~~!」
あまりの驚きに声を出してしまい周りがこっちに注目した。
美幸はこちらを見て笑っていた。
――まさかこんな再会の仕方になるなんて。
限輝は恥ずかしさよりも驚きと嬉しさの方が強かったため、そんなことを考えていたが、そのことにより生徒会長挨拶で言おうとしていたことが何処かへいってしまった。
――あれなんて言おうとしてたんだっけ?
思いだそうとしていたら美幸の話は終わってしまった。
『――――新入生代表 籠塚美幸』