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すずき さや
すずき さや
novelistID. 2901
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glamorous striker

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「もしかして想像しちゃったりして」
「しないっスよ。つか、何をっスか」
「その時点でいろいろ想像しているんじゃないの?」
「ガミさんみたいにそんなこと考えないっす」
「俺が一体どんなことを考えていると赤崎は思ってるわけ?」
 挑発するように石神はにやにやと赤崎に向けて笑いかける。周囲では噛みつかんばかりの表情の赤崎を見て若いな、と面白がる視線を向けていた。
 その中で佐野だけが赤崎を止めなければ、と思いながらはらはらと状況を見つめる。
 むきになって反論しかねない赤崎を石神がこれ以上、茶化すようなことを言ったらどうなるのだろうか。
 一触即発の空気に何か起こる前に自分が止めるべきか、と佐野が考えあぐねていると突然背後から声が上がる。
「あー悪い。俺と堺は帰るわ」
 振り返ると丹波は堺の肩を抱いたまま、手を振っていた。
「悪酔いさせたと言うことで。ごめんなさい」
 そう言って片手でわびるように手刀を切る動作をする。肩を組んでいる堺は納得のいかない表情を浮かべていた。
「俺は酔っていない!」
「俺が酔っているの。だから帰るの!」
「お前だけ帰れよ」
「だから、俺はお前に家まで送って欲しいの」
「最初からそう言え!」
「分かった。ごめん」
 言い争っている二人を遠巻きにテーブル組は眺めている。
これ以上この場に堺を置くことは賢明ではない。その雰囲気を察して口々に「お疲れ」と言う声が上がった。
「気をつけてください」
「送りオオカミにならないでくださいよ」
石神からのヤジに丹波はベーっと舌を出して応戦する。
「なんねーよ!馬鹿」
「丹波さん、信用できないよ」
「襲われないで」
「まっすぐ帰れよ」
「だから、俺は世良じゃねえって!」
 口々に勝手なことを言って手を振る面々に丹波は苦笑しながら手を振り返す。
「悪酔いなんてしていない」
「分かった分かった」
「俺は酔ってない」
「うんうん。でも、帰ろうな」
 抗議する堺をなだめながら丹波は無理に引っ張って店の外へ連れ出そうとドアを開ける。
 酔っている、酔っていない、と口論しながら二人は姿を消した。



 出て行った二人を無言で見送ると残されたメンバーは一人を除いて一斉に大きなため息をついた。
 一人、ため息をつかなかった緑川は全員の顔を見渡す。
「うらやましいと思ったら負けだぞ」
「うわ……そんなことを言いますか」
 思わず杉江はひきつった顔を向けた。涼しい顔をした緑川は「あ。スギの本命は違うからいいのか」としれっとつぶやくと、ぐうの音も出せず押し黙った。
「いい加減その手の話題はやめますか」
 石神が手を打って話題を切り上げるとどこか安心した空気が流れた。
「堀田君、俺らも帰ろっか?」
 軽い口調で声をかけて来た石神に顔を向ける。
「うーん。そうですねぇ」
 堀田は顎に手を置き歯切れ悪く答える。視線の先で赤崎は赤い顔をしたままうつむいている。真面目な赤崎には刺激が強すぎたのかな、と気の毒に思えて来た。
「赤崎も一緒に帰るか?」
「えっ?」
「送っていくぞ」
「平気でっス」
 意地を張る赤崎を見て、ついつい苦笑を浮かべてしまう。
「俺、あっちで飲み直します」
 そう言って、赤崎は立ち上がるともう一つのテーブルに向かう。アルコールのせいで少し足元が危うい気がするが大丈夫だろうか。
 背中を見送っていると赤崎は「俺もこっちで飲みます」と、言いながら若手の集まるテーブルに近付いて行った。
 清川と世良が笑顔で振り返って「おー、赤崎。よく来た」と暢気な声を上げて席を作っている。
 赤崎は椿の隣に腰を下ろすと安心したように口元を緩めていた。
 世良に向けて何か余計なことを口にしないかと展開を心配する堀田の考えをよそに隣にいる石神は完全に飽きてしまったようだ。暢気に大あくびをしていた。
「大丈夫。大丈夫」
 心配のかけらもない様子で石神は堀田の背中を叩く。
「赤崎が世良に絡まないといいんですけど」
「過保護だなぁ。堀田君は」
「何かあると今後に差しさわりが……」
「そんな優等生ぶっちゃって」
 固いことばかり言う堀田の口ぶりに石神は笑いながら何度も背を叩く。
「若者は若者同士でぶつかり合って相互理解を高めるもんだよ、堀田君」
「あの、ガミさ……」
 何か言いたげに口を開き変える堀田の唇に指を当てる。
「そんなに心配なら店に残って若者を監視しよう」
 石神は悪戯っぽい笑みを浮かべて堀田の肩を抱くとカウンターの席へ足を向ける。
「ここからなら、ばれずに監視できるよ」
「ってか、監視って何ですか」
 人聞きの悪い、と眉をひそめる堀田を無理に座らせる。
「ほら、よく見えるだろ?」
「まぁ、そうですね」
 堀田は仕方なくうなずきながら若手の集まるテーブルに視線を向ける。意外と赤崎の横顔は楽しそうだった。
 やはり、年齢が近い者同士といる方が緊張が解けていい表情になっている。
 なぜ、無理に年長者の集まるテーブルに座っていたのだろうか。アルコールの勢いを借りて背伸びをしたかった、と言ったところだろうか。
 堀田は頬杖をつきながら眺めていると水割りを差し出される。
「あ、すみません」
「そんなに、若手ばっかり見てないで。俺を見てよね、堀田君」
 石神の言葉に思わず笑ってしまう。堀田につられて石神も笑顔を見せる。
「堀田君の笑顔に乾杯」
「もう、ガミさんってば」
「照れた顔も可愛いねぇ」
 茶化されだが言葉は素直に受け止めようと堀田は口元に小さく笑みを浮かべる。
 石神の指先が堀田のアルコールだけではなく赤く染まっている頬に触れようとした時、携帯電話の着信メロディが鳴る。
 いいところに邪魔が入った、と舌打ちしながら思わず画面を見ると「送り届けた」と言う丹波からのメールだった。
 随分と早いな、と思いながら添付された写真を見て噴き出す。
「見てこれ」
 堀田に差し出そうとすると「俺のところにも来ていますね」と、堀田は笑いながら携帯電話を見ている。
 何故か、堺の部屋のソファーでふんぞり返って座っている丹波の写真が添付されていた。撮影したのは堺だろう。
 妙に素直に従ったものだと二人は感心しながら笑い合った。
作品名:glamorous striker 作家名:すずき さや