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こらぼでほすと 遠征1

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「見つかりました。」 というメールが、大明神様の許へ届いたのは、お仕事帰りの車の

中だった。
「アスラン、見つかったってっっ。・・・・よかった。」
 主語とか目的語とかいうものが、大明神様にはないのだが、誰が何を見つけたか、とい

うくらいのことは、なんとなくわかる。
「ふたりとも? 」
「ううん、アレルヤだけ。ロックオンさんは、無理なんだって。」
 マイスター年長組のふたりは、ふたりして右目を怪我で失明状態だった。とにかく、治

療方法は探すと、ラクスとカガリは宣言していたが、存外早く、見つかったらしい。ただ

し、アレルヤにのみ有効ということだ。
「うーん、同じ方法というわけではないんだなあ。」
「そうだね。」
 だが、一人だけでも見つかったというのなら、次も見つけられる可能性は跳ね上がる。

それに、二人同時に年長者が治療に入ったら、あの子猫二匹だけで放置するわけにもいか

なくなるだろう。いや、アレルヤがいないと、ロックオンが二匹の世話をすることになる

のか・・・・と、思い直して、ちょっと同情した。この間、とんでもない騒ぎで、引っ掻

き回されたばかりのところだ。
「なあ、キラ。刹那を、しばらく、うちで預かろうか? 」
 一匹だけなら、どうにかなるかな? と、アスランは、そう提案した。幸い、刹那は、

キラには懐いているし、キラも刹那がお気に入りだ。
「うーん、でも、刹那だけは無理だと思うよ、アスラン。」
「でもな、あの人、自分でなんでもやっちゃうからな。」
 世話好きおかんな性格のロックオンは、自分も療養しているはずなのに、ついつい、子

猫の世話を焼いているような人で、ちっとも療養できていないのが実情だ。子猫の世話で

、ある意味、いいリハビリにはなっているのだろうが、 動きすぎてダウンしていること

も多々あるため、結果的に体力が完全に回復しているとは言い難い。

 とは言うものの、自分たちは、毎晩、仕事があるから、ずっと、別荘に詰めているわけ

にもいかない。

「あ、逆にさ。三人とも、こっちに出てきてもらえばいいんじゃないの? アスラン。」

「うーん、それはなあ。」

 もちろん、そろそろ、こちらで生活しても問題はないのだが、ひとつだけ問題点がある

。医者も指摘していたし、何より奇跡の生還者様の中で、唯一ナチュラルの鷹が、それを

心配していたからだ。

「たぶんなんだけどさ。せつニャンもママも、一回か二回はダウンすると思うぞ。・・・

俺も一回やったからなあ。」

 コーディネーターなら、あまり問題はない。いや、コーディネーターでも体力が落ちて

いれば、引き起こす事態ではある。免疫力が下がっていると、人の多い場所で、いろんな

ウィルスを貰ってしまうのだ。問題は、刹那ではない。おそらく、実質的に、いろいろと

外を走り回るだろうロックオンのほうだ。

「免疫力を上げる治療をしてもらってないからな。」

「してもらえば? 」

「まあ、そうなんだけど。」

 そろそろ免疫力を向上させる投薬治療をしようとしていた矢先に、歌姫様と大明神様が

、とんでもない騒ぎを発生させた。それで、治療の計画が先延ばしになったという事実を

、当人たちだけが忘れていたりする。

「早くしてもらってっっ。」

「・・・おまえが余計なことをしなきゃ、もう終わってたんだけど? 」

「まだ、言うか? だって、はっきりさせたほうがいいじゃない? まあ、それで、ロッ

クオンさんが寝込んだのは予想外だったけどさ。」

「どうして、俺がいない時に、新しいコスプレなんかするかな? 」

「え? そこ? 」

「うん、そこ。・・・・記録と実物っていうのには、マリアナ海溝ほどの差があるんだぞ

? キラ。そこのところを、よく考えてくれ。」

「わかってるよ。きみが出かけてる時には、もうしません。」

 出張から戻ったアスランが、どれほど嘆いたかわからない。この文句だって、何度目か

忘れるほどだ。はふう、と、息を吐いて、キラは返信メールを送る。

『ありがとう、ラクス。詳しいことは、また教えてね。』

 たぶん、別荘のラボのほうで治療するものだと思っていたが、後日、当人が連絡してき

たところによると、プラントに眼の専門の再生治療があるのだという。そこまで行かなけ

れば、治療できないのだと判明して、今度は、アスランが溜息をついた。やっぱり、子猫

二匹をどうにかしなければならない。

 だが、事態は、その当事者の鶴の一声で変化した。

「ティエリア、刹那、おまえたち、アレルヤに付き添ってやってくれ。・・・・治療を受

けている間は、知り合いがいるほうが心強いし、いろいろと頼むのも気が楽だからな。」

 ひとりで付き添いをすれば、アレルヤが治療中、暇だろうし、交代があったほうがいい

、というのがロックオンの意見だ。もちろん、それは正論だったが、黒子猫が、フギィー

と威嚇するように、「やだぁぁぁっっ。」 と、親猫にしがみつく。

「おまえも、ちょうどいい機会だから、俺から離れろ。」

「やだぁぁぁっっっ。」

「あのな、刹那。俺は、どこにも行かない。ここで、のんびり寝暮らして待ってるから、

行って来い。」

「ダメだっっ。あんた、いつも、右側の注意を怠る。俺が居ないと怪我する。」

「・・・俺は、それほどダメ人間かよ?・・・」

「ああ。」

「うわっ、即答しやがった。・・・とりあえず、これは決定だ。ティエリア、刹那とアレ

ルヤのことを頼むな。」

 そろそろ、距離を置くように仕向けたほうがいいかな、と、ロックオンも考えていたら

しい。新しい環境で、アレルヤの付き添いをするということなら、無理はないだろうとい

う判断でもある。それに、自分以外のマイスターが一緒なのだから、寂しいというのも紛

れる。そして、ティエリアは、ロックオンの意見ら頷いたが、条件はつけた。

「わかった。だが、俺がいない間に、ひとつでも傷が増えていたら、軟禁ではなく監禁す

るので、そのつもりで。」

「げっっ。」

「あなたの粗忽さは、刹那が言う通りだ。」

「いや、うっかりするんだって。」

「でも、ロックオン。そんなに急に、刹那を離すのは問題なんじゃないの? 僕は、ひと

りでも大丈夫だよ? ハレルヤだっているんだし。」

「ていうか、余計なおまけはいらねぇーってんだよっっ、じじいっっ。刹那なんか付け足

すんじゃねぇーよ。」

 ハレルヤとしては、できれば、アレルヤとティエリアの二人っきりにさせてやって欲し

いという意見だ。

「けど、ハレルヤ。ティエリアは、おまえが治療中は、一人っきりだぞ? 全然知らない

場所で、一人っていうのも寂しいもんだと思うけどな。」

「おまえは、どうなんだよ? ここで、一人だと干からびるんじゃないのか? おまえ、

世話するのがいないと生き甲斐ないだろ? 」

「たまには、優雅な療養をさせてもらうさ。」

 いや、それだけは絶対にできないだろうが、

と、マイスター三人がツッコミをいれる。何かしら動いているロックオンが、優雅なこと
作品名:こらぼでほすと 遠征1 作家名:篠義