運命と絆の物語
そう告げると、スネイプはチラリとソーニャの様子を盗み見た。落ち着いた様子で、まだ調合を続けている。
(やはり……か。我輩の予想が正しければ、明らかにレインズはこの薬を煎じる事が出来るであろう。誰の力も借りずに、だ。
驚くべき才能ではあるがしかし──目立ぬよう、上手く立ち回ってきたと見える。恐らくダンブルドアの入れ知恵だろう。だが、その外見や性格までも全てが意図して演じられている様に見えるのは我輩の考えすぎなのか……?)
スネイプは更に監視を続けた。計画通りに事が進んでいる。思わず口元が緩みそうになるのを堪え、無表情を装った。
(この我輩を欺いてきたことは賞賛に値するが──さて、次は何を見せてくれる……)
スネイプは目を細め、期待と皮肉のこもった表情を浮かべた。
罰則を言い渡された他の生徒達のざわめきに紛れて、ソーニャは誰にも気付かれず(と思い込んでいる)手際よく薬を完成させて小瓶に詰めた。立ち上がり教卓へ向かう。スネイプは少し離れて様子を伺っている。
机の上には、ほぼ全員分の薬が提出されていた。ソーニャは、何とも奇妙な色の小瓶と、おそらくネビルのものと思われる空の小瓶の間に、そそくさと自分の分を押し込んだ。一刻も早く教室を立ち去ろうとしたが、スネイプがすぐさま呼び止めた。
「ミス・レインズ。君は残って全員分の道具を片付けたまえ」
冷たく言い放つと、マントを翻し去って行った。