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こらぼでほすと 遠征2

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「何? この灼熱地獄? 」

 涼しい部屋に逃げ込んで、ロックオンは、そこから境内を見渡して、ふへぇーと息を吐

いた。訓練で、耐熱というのもあることはあるのだが、それより酷くないか? と、思う

ぐらいに暑かった。

「ここの夏って、こんなもんなんだよ。」

 とりあえず、水分補給だ、と、悟空が麦茶を運んできて、やっぱりなあーと苦笑してい

る。

「え? でも、別荘は、こんなことはないぞ? 」

「あそこは、緑が多いだろ? ここいらは、緑が少ないから余計に暑いんだよな。」

 そういうもんなんだろうか、と、ロックオンは渡された麦茶を、ごくごくと飲み干した

。となりの刹那が、うんうんと頷いているところをみると、そういうもんらしい。

「刹那は、なんともないのかよ? 」

「湿度が暑苦しいが、問題はない。」

 こちら、生まれは砂漠地域。ついでに、冷房? それは何? 食べられるの? 的に生

活を送っていた刹那にしてみれば、暑さというのは、さほど辛くない。むしろ、困るのは

寒いほうだ。

「なるほど・・・これほどとは知らなかった。なあ、悟空。三蔵さんは? 」

 ここの主人に挨拶もせずに寛いでいるのは、礼儀に反するだろうと、ロックオンは思っ

たのだが、生憎というか、好都合というか、「今、さんぞーさ。檀家へお経をあげに行っ

てるんだ。」 と、いうことだった。

「とりあえず、ロックオンは、夕方まで、ここから出るな。」

「うん、そのほうが安全だよな。・・・なあ、刹那。夕方まで時間あるし、ゲーセンでも

行かないか? 」

「ああ。」

「じゃあ、俺、刹那とちょっと出かけるからさ。トイレは、あっちにあるし、家のほうの

冷蔵庫に冷たいものは入ってるから。」

「わかった。晩飯の仕度しておいたほうがいいか? 悟空。」

「うん、適当にやっといて。後で、八戒たちも来るから。」

 悟空にしてみれば、ロックオンが料理することに、何の問題点もない。どうせ、大人数

になるのだから、後から来る八戒だけでは大変だろうとも考えて、そう返事した。

「八戒さん? キラとアスランが来るって言ってなかったか? 」

「うん、そっちも来る。ついでに、八戒と悟浄も来るんだ。料理は、そっちと打ち合わせ

てしてよ。」

 そういうことなら、合流してからメニューの打ち合わせをしたほうがいいだろうと、ロ

ックオンも頷いた。それだけの人数になってくると、分担して料理を作成することになる

からだ。

 じゃあ、と、刹那を連れた悟空が寺の門から出ようとしたら、表から、墨染めの判りや

すい坊主姿の三蔵が、ミニバイクで戻ってきた。

「おう、よく来たな、小僧。・・・・ゲーセンか? 悟空。」

「うん。」

「こづかいあるのか? ほら、これ持ってけ。」

 懐から出したのは、おそらく、今、檀家で貰ってきただろうお礼のポチ袋だ。そこから

、札を一枚出して、悟空に渡す。無駄遣いすんじゃねぇーぞっっ、と、言いつつ送り出し

て、本堂へ立ち入る。そこから、脇部屋に顔を出したら、ロックオンが座っていた。

「生きてるか? ロックオン。」

「お世話になります、三蔵さん。・・・・それは、仕事着ですか? 」

 異文化交流みたいなものだから、三蔵の衣装がどういうものなのか、ロックオンには、

イマイチ、ピンと来ないので質問した。

「おう、これが仕事着の普段着仕様だ。檀家は、これだな。・・・あの、ほれ、おまえら

のところじゃ、牧師とか神父とかが黒いの着てるだろ? あれと一緒だ。」

「あーなるほど。」

「そうそう、おまえ、鷹に射撃訓練申し込んでたろ? やりたいなら、うちでもできるけ

ど、やるか? 」

 スルスルと、その墨染めの衣装を脱いで、甚平に素早く着替えつつ、三蔵が尋ねる。鷹

から昨晩、聞いたところによると、ティエリアが許可しなかったので、却下になったと聞

いている。ちょうど、ガキ共もいないことだし、地下のほうが涼しいだろうと誘ったのだ



「ここで? 」

「本堂の地下にな、練習場があるんだ。マグナムとコルトぐらいしか、うちにはないが、

コルトなら反動は少ないから、どうにかなんだろ。」

 三蔵が、普段、使用するのは、マグナムだが、怪我をしてマグナムで練習できない時な

んかは、反動の少ないコルトを使っている。そちらを貸してやろうと言うことらしい。

・・・・なんで、寺に射撃の練習場があるかな?・・・・

 寺というのは、キリスト教からすると、教会のことだ。懺悔室があるのはわかるが、対

極になりそうなものがあるのか、かなり疑問だ。まあ、何を言っても、三蔵も『吉祥富貴

』のスタッフではあるのだから、ただの僧侶というものではないんだろう。

「お願いします。」

「なら、来い。こっちだ。」

 スタスタと、本堂の仏様を奉っている段の裏側へ案内して、そこにある扉から、地下へ

と案内した。冷房なんてものはないが、地下は、温度が一定で、地上ほどの暑さはない。

「さすがに距離はないんだが、その代わり標的が小さい。」

 練習場にしては、射程距離が5メートル程度というのだから、それは頷ける。それに、

全部、セルフサービスというのも、クラシックだ。コルトと弾丸を渡されて、標的は、5

メーター先のコンクリートに、三蔵がガムテで、その紙を止めるだけという、いたってシ

ンプルなものだ。こんな感じだ、と、プロテクターをして、三蔵が手本代わりに、マグナ

ムを、どかどかと全弾打ち込む。確認のために、近寄ると、きっちりと中心に命中してい

るのが、ただの僧侶ではないことの証明にもなっていた。

 やってみな、と、新たな標的を、三蔵に顎で示されて、ロックオンもコルトを手にする

。利き目でない左で照準を決めるのが、かなり難しい。とりあえず、撃ってみたものの、

撃てても、ほとんど外しているという体たらくには、自嘲するしかない。

「なるほどな。肩の筋肉も落ちてるから、反動でブレるんだな。」

「・・・そうか・・・・そこも問題か・・・・」

「利き目なんてものは慣れだから、練習次第だと思うぞ。・・だいたい、俺は感覚で照準

を定めてる。」

「え? 」

「ライフルで撃つなら、きっちりと目標を捉える必要があるだろうが、動きまくって撃つ

となると、ある意味、感覚のほうが大事だ。」

「いや、まあ、そうですが・・・・」

 それは、多人数と銃撃戦というか接近戦をやっているという経験からの言葉だ。この人

も謎の多い人だよな、と、思って、それから、自分が狙撃専門だと、三蔵が言ったことに

気付いた。

「三蔵さん、なぜ、俺がライフルだってわかるんですか? 」

「癖がある。それだけ照準に拘るってことは、ワンチャンスオンリーということだ。・・

・・MS乗りの前は、スナイパーでもやってたか? ロックオン。」

「それがわかるってことは、あなたも、いろいろと経験があるって、バラしてるようなも

んですよ? 」

「はははは・・・・俺は、ずっと坊主だが、まあ、いろいろと経験はしてるさ。おまえだ

って、人のことは言えないんだろ? 」
作品名:こらぼでほすと 遠征2 作家名:篠義