こらぼでほすと 遠征2
「まあ、そうです。」
もうちょっと練習するか? と、ふたりして射撃を楽しんでいたら、銃を下ろした瞬間
に、背後から肩を叩かれた。
「何してらっしゃるんでしょうね? この方たちは・・・・」
ものすごーく爽やかに、でも冷気満天の笑顔で微笑んでいる八戒と、それを背後から眺
めて、馬鹿笑いしている悟浄と、キラとアスランがいた。
「八戒、脅かすな。」
プロテクターを外しつつ、三蔵は、嫌そうに睨んで、タバコを手にしている。
「あなたが、夏気払いにマグナムを撃つのは、構いませんよ。でも、ロックオンにまでさ
せることはないでしょう? この人、療養中ですよ。」
「ああ、いや、八戒さん。これは、俺が頼んでさせてもらってただけです。」
「はーいはーい、僕もやるぅぅぅっっ。」
八戒が、三蔵に詰め寄りそうなので、慌てて、ロックオンが仲裁に入る。しかし、だ。
その空気すら無視する大明神様が、ご機嫌で手を挙げている。
「おまえはダメだ。だいたい、銃は投げるもんじゃねぇーって、何度言ったらわかるんだ
っっ。」
「だって、当たらないんだから、投げたほうが早いもん。」
キラは、滅多矢鱈と射撃が下手だ。MSに乗れば、オールレンジ攻撃で、すぱすぱと敵
を百発百中な砲撃で沈められるくせに、なぜか、実弾の射撃だと当たらない。当たらない
から、いつも臍を曲げて、最後に、その銃を標的にぶち当てて終わるという、恐ろしく使
用方法が間違った攻撃に転じるのだ。
「投げる? 」
「はいはい、ロックオン。キラくんのことは気にしないでください。・・・・ところで、
悟空と刹那くんは? 」
「ゲーセンまで遊びに行きました。・・・・晩御飯の段取りを頼まれたんですが、八戒さ
んと打ち合わせしてからのほうがいいかと思って、待ってました。」
「ええ、僕とアスランも、そう思って、合流してから足りないものは買出しに行くつもり
でした。じゃあ、上で、その打ち合わせをしましょう。」
さあさあ、戻りますよ、と、八戒が、ロックオンを連れ出す。料理担当ではない三蔵と
悟浄とキラが取り残されるのだが、キラにやらせるつもりのない三蔵は、そそくさと片付
け始める。
夕食は、そうめんと天ぷらという、いたってシンプルなものになった。箸を使えない面
々に関しては、フォークで食べてもらうということになったが、さほど、問題はなかった
。そうめんは、出汁のほうに投入するものが多彩に用意されているので、それで飽きると
いうこともないし、天ぷらのほうも、野菜がたくさん食べられるので、栄養の点からも、
年少組には良い。
「こっちのビールは、どうだ? 」
「うーん、味が薄いかなあ。」
「おまえ、それ、黒ビールと比べてるだろ? 」
「どっちかっていうと、イギリスのエールに近いかな。」
「今度、青島のゴールドを、ごちそうするよ。ありゃ、なかなかいい。」
悟浄とロックオンは、のんびりと天ぷらをアテにしてビールを飲んでいるし、三蔵のほ
うも、悟空を構いつつ、焼酎をオンザロックで飲んでいる。
「ねぇ、ロックオンさん。いつ倒れるの? 」
こういう爆弾発言は、大明神様だ。ただいま、『吉祥富貴』で行われている「ロックオ
ン三度目のダウンはいつ? トトカルチョ」は、それなりに盛り上がっている。
「え? いつって・・・倒れる予定はないんだけどな。・・あ、おまえ、そこっ。ボロボ
ロ零すなっっ。」
かきあげをあぐあぐとフォークで食べているキラは、ぼろぼろと零している。その声に
、横のアスランが、あーあーと零しているのを受け止めた。
「あのさー、ここで倒れるのだけはやめてくれよな? そんなことになったら、俺、ティ
エリアのネチネチ攻撃食らうからさ。」
こちら、そうめんをラーメン鉢に山盛りにして、そこへ天ぷらだの薬味だのを、これま
た山盛り乗っけて出汁をかけて食べている悟空が注意する。
「けどよ。大本命だぜ? なんせ、ここ、クーラーがないとこばっかなんだからさ。」
「気をつけてれば問題ないですよ。とりあえず、日中は外出は控えてくださいね、ロック
オン。」
「はあ、まあ、そうですけど。」
「えーーーーっ、せっかくなんだから、どっか行こうよっっ。遊園地とか遊園地とか遊園
地とかっっ。さんぞーさんもっっ。」
「てめぇーらだけで行けっっ。俺まで巻き込むなっっ。」
遊園地って・・・と、大人組は苦笑する。この炎天下に、そんなところへ出かけたら、
三蔵だって、ダウンするかもしれない。三蔵は、一応、ロックオンと刹那と同じ、普通の
人間のカテゴリーに属している。
「おまえな、別荘で、あんだけMS乗り回してて、まだ、耐Gのある遊戯に乗りたいか?
あんなもん、MSに比べたら、ちゃんちゃらおかしいだろ? キラ。」
「でも、悟浄さん、単純で楽しいよ? 」
「キラくん、それは秋にでもお願いします。できたら、水族館とか、そういう涼しい場所
ではダメなんですか? 」
MS乗りのキラたちには、あの遊戯すら単純で楽しい玩具だというのは、わかる。なん
せ、本物は、あんな上下運動ではなく、360度に回転したりするのだ。ただ、今回は勘
弁願いたいと、八戒も思う。
「うん、それでもいいけど。ねぇ、刹那、水族館でもいい? 」
「ロックオンが行けるところならいい。」
「げっっ、俺? お子様たちは、お子様たちで行けよ、刹那。」
「ダメだ。あんたの管理は、俺の責任だ。」
「いいんじゃねぇーの? ロックオン。おまえも、たまには癒されるとこへ行って来いよ
。ここに居たって、腐れ坊主にこき使われるだけだぞ。」
「そうだ。硝煙の匂いをさせているよりマシだ。」
ギロッっと刹那が、ロックオンを睨む。さすが純粋培養テロリスト、と、悟浄と三蔵が
頬を歪めた。数発の実弾では、大して匂いもないだろうと、そのまま、晩御飯の作成を手
伝っていたロックオンだが、微かな匂いも見逃さなかったらしい。
「あ、匂うか? 」
「いや、臭くはないがわかった。」
「ちょっと軽い練習をさせてもらってただけだよ。ほら、エビ食べな。」
「だから目を離せないんだ。」
「・・・・はいはい・・・明日は付き合うよ。」
「頑固な子供を持つと苦労するなあー、ママニャン。」
かかかかか・・・と、大笑いして、悟浄がビールを煽る。水族館なら冷房が効いている
から問題はないだろうと、八戒もほっとする。
食事が終わってから、手持ちの花火をして、それから肝試しとしいうことになった。広
いとはいえ、本堂を一周するぐらいでは面白みはない。地下の練習場の一番奥に、りんご
を置いて、それを取ってくるということになった。明かりを消して真っ暗にすると、かな
り雰囲気はある。そこを蝋燭一本で、ひとりずつ降りていくこととなった。脇部屋に待機
した子供組は、大人組の合図を待っている。
ちょっくら行って来るぜ、と、悟浄が、先に、その暗闇を移動する。暗視力のあるもの
作品名:こらぼでほすと 遠征2 作家名:篠義