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嶺岸 雅貴
嶺岸 雅貴
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バカとテストと召喚獣 ~僕らの非日常日記~

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 番外編【バカとゲームと買い物戦争!】


 ピピピピッ、ピピピピッ。
「ん、ウぅーん。」
頭の上で鳴り響く目覚まし時計の音でボク、『吉井明久』は眠い目をこすりながら目を覚ました。
「よし、予定道理にシッカリ起きられたぞッ!」
そんな独り言を呟きながらボクは、さっきから鳴りっパナシの目覚まし時計の時刻を確かめて止めた。
しかし、その目覚まし時計が指している時刻は6時30分。
平日で学校があるとは言え、ボクが家から通っている学校、『文月学園』まではそんなに時間はかからない。
なのに何故、ボクこと吉井明久がこんなに早起きをしたのかこれから説明しようと思う。
その理由とは………。

今日は3DSの発売日だからだッ!!


ちなみに言うと、今日はこの為に学校を休む予定だ。
普段はボクの姉、『吉井玲』がそんな事は許さないが、幸い姉さんは仕事で6時ピッリに会社へ出かけている。
普段は優しい?姉だから、そんな事をするとボクの良心が痛むが、3DSの為なら仕方が無い。
うん、しょうがない、そう言う事にしておこうッ。
だって、あのDSを3Dで出来るなんて、ゲーマーのボクにとっては夢のような話なのだから。
そんな言い訳を心の中でしながら、近くにあるゲーム屋に向かう準備を進めるボク。
財布の中身を確認し、念の為『変装』をする。
万が一、クラスメイトや、鉄人こと『西村先生』に3DSを買いに並んでいるところを見つかっては命は無いからだ。
『よしッ。』
変装用のキャップ帽とサングラスを掛けて準備はOKッ!
軽く気合を入れてから、いざゲーム屋へ向かう。


 
《ゲーム屋前にて》

「くそッ、もう結構人が並んでるじゃないかッ!」
ボクは家を出てからずっとダッシュして来たのに、店の前には長蛇の列が出来ていた。
時刻は6時45分、3DSの売り出しは7時30分からだから、決して遅くは無い時間帯のハズだ。
ボクは急いで列の最後尾に並ぼうとした。

しかし、その時……。

 ドンッ!!

ボクは急ぎ過ぎて、列に並ぼうしていた人にぶつかってしまった。
「あっ、スミマセンッ!?」
ボクはすぐさま、ぶつかってしまった人に深々と頭を下げる。
「怪我はありませッ………。」
しかし、ボクがぶつかった相手の顔を見たとき頭の中が真っ白になった。

そう、ボクがぶっかってしまった人物は……。

「雄二ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?、何でココにッ!?」
そう、そこにはボクの悪友こと、『坂本雄二』が不機嫌そうな顔をしてボクの顔をマジマジと見ていたのだ。
しかも大声を張り上げてしまった為、一発で雄二に正体を見破られていた。
「それはコッチの台詞だバカッ!、いきなりぶつかって来やがってッ、シバくぞ。」
「いやいやいや!、今はそんな話置いといてッ、雄二も3DSが目当て?、ってか、何でボクとバッタリ出くわしたのに、何で余り驚かないのさッ!」
「あぁ、どうせお前のことだからな、学校サボってでも3DS買いに行くことは大体予想がつく、まぁでもホントに出くわすとは思っていなかったがな。」
くぅ、さすがボクの悪友、ボクの事を良く分析しているッ。
「雄二って無駄に分析力あるよね、その才能をボクにも分けて欲しいよ。」
「そうかぁ?、そんなら俺はお前の鈍感さと、バカさと、器量の悪さには感心してるぜッ、よくそんな人間性で生きて行けるよな、ギネスに載れるレベルだと俺は思うぞ。」
「ハハハ、照れるなぁ……ジャ無いぃぃぃぃッ!?、今さっきスゴクサラッとボクの人間性その物を否定したよねッ!?」
「何だ、気のせいだろ。」
「今度、雄二とは真剣に殺り合う必要がありそうだねッ。」
そんな物騒な会話を最後尾で繰り広げていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おぉ、明久と雄二ではないか!?」
「二人とも、何してる?」

パッと反射的に振り返るとソコには『木下秀吉』とムッツリーにこと『土屋康太』が二人並んで立っていた。
「えぇ、秀吉にムッツリーにまでッ!?、ってか二人ってそんなにゲームしたっけ?」
「ワシは流行の波に乗るためにじゃな。」
「俺は…、撮った写真を3Dで残すため…。」
「ムッツリーにはあくまでもソコなんだね…。」
ソッチ方面に異常な探究心を持つムッツリーに、軽く突っ込みを入れた所でフッと思った。
最初は、まさかこんなにFクラスのメンバーがゲーム屋に集まるとは思っていなかったので、ボクは今更ながらビックリした。
「その内、美波や姫路さんとかも来たりして、ってそんな筈無いよねッ、ハハハッ。」
その時、何となく普段から良くハズされる手首や肘の間接と、胃がギシッと痛んだような気がした。

「えぇッ!?、アレっ!?、何でアキや坂本達がいるのッ!?」
「アッ…!?、明久くんッ、何でココにッ!」

今この時、ゲーム屋にいつものFクラスメンバーが揃った瞬間だった。
現在時刻は6時53分。
ボクが店に着いてから8分の間に起こった出来事だった。



その後、皆で暇つぶしに喋る事にした。
「それにしても…、ココまで綺麗に揃うと、何かアキがテストで400点台を取る位に不気味よね。」
「そうですね、ココまで綺麗に揃うと、明久くんがゲームを捨てて、急に猛勉強に励みだす位に不気味ですね。」
「美波はともかく、姫路さんまで…、所で何で二人共3DSなんかを買いに来たの?」
「あら、物を買うのに理由が必要なの?、まぁアタシは葉月に、どうしてもッて頼まれて来たんだけどね。」
「私は…、その…、料理のバリエーションを増やそうと思って…。」
「アッハッハー、そうなんだー、料理のバリエーションねーッ。」
ボクは姫路さんからトンデモ発言が聞こえたような気がしたが、あえてソコは心の中にしまう事にした。
それにしても3DSを使って姫路さんはどんな料理と言う名の科学殺人兵器を作ろうとしていたのだろう?
考えるだけでも恐ろしい…。
しかし、そんなやり取りをしばらくの間していると、ついにその時がやって来た。


『7時30分になりましたー、それではー、3DSの売出しを始めマースッ。』

店の中から、店員らしきオジサンがメガホンを使い大声で列に呼びかける。
みんな並んだだけあって、うれしさでテンションが少し上がってきた。
店の店員さんが列に並んでいる人に3DSを手渡していく。

「いよいよ……、3Dで盗撮っ……じゃなくて、3Dで写真が撮れる。」
「ムッツリーに!、本音がダダ漏れだよッ!?」
「ムッツリーに……、お主はやはりソレ目的なのじゃな…。」
「ブンッ、ブンッ、ブンッ!」
「今更、首を横に振って否定しても無意味だぞムッツリーニ。」

そんな無駄話をしている間に順番はボク達に回ってきた。
しかし……。

『それでは、ラスト一台です、。』

その瞬間その場が凍りついた。
理由は歴然ッ、ボク達は6人、でも残りの3DSは1つのみ……と、なると選択肢は1つ…。

「逝けっ、雄二ッ!」
「土に還れッ、明久ッ!」
この一瞬だけで、ボクと雄二のクロスカウンターが綺麗に決まる。
「フッ…、やはりボクと同じ結論に辿り着いたようだな、雄二」
「ったりめーだッ!」
ボクと雄二の間に殺気が充満する。