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前世なんざ知ったことか!

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「ていうか、モノ作り全般じゃないの?多分、新作のワンピースとか用意してるよ、あっちでも。」
「Gosh! 着ねえぞ?絶対俺は着ないからなっ!!」
「・・・伊達ちゃんの身体にぴったりフィットするように作ってるのに、勿体ない。」
俺様が嘆息すると、隣から苦笑が聞こえた。
「露出が少なくても、身体の線がわかるような服は感心しません。」
片倉さんが困った顔をしていた。
まあそうだろう。所謂イイトコロのお嬢さんが着てるには落ち着かない服だ。
が、伊達ちゃんには思うところがあったらしい。
「なんだよ小十郎、似合わねえとか抜かすんじゃねえだろうな?」
険を含めた声で質された片倉さんは、いやそこまでは・・・と言葉を濁している。
「似合うと思うよ、俺様は。ていうか、伊達ちゃんはもうちょっと女の子らしいカッコしてみてもいいと思うし。」
今日の伊達ちゃんはGパンにTシャツ、あとジャケットというストリートの男の子と変わらない格好だった。
明るい青糸で縫い取られたGパンは恐らく卸したて。
正座することが多い自宅では滅多に履かないらしいから、これは俺様も初めて見る。
「ハッ!クソ食らえだ。」
「えー。勿体ないなー。スタイル悪く無いじゃん?」
「・・・やけに熱心だな、猿飛?」
ちらりと横目で片倉さんがこっちを見た。
が、俺様は意図的に気付かない振りをする。
「だって、似合ってるんだから良いじゃん?」
「この格好だって似合ってるだろうがよ。」
「・・・あー。あのね。邪推かもとは思うけど意識して女の格好避けてる気がするんだよね、俺様。」
「はあ?」
意味が飲み込めないらしい伊達ちゃんに噛んで含めるように言い直す。
「だからぁ、女の子に生まれたんだから、女の子の楽しみ憶えたって・・・」
「猿飛っ!!」
隣から厳しい声が飛んだ。
言い過ぎらしい。片倉さんは相変わらず過保護だ。
「・・・Be quiet 、小十郎。知らねえんだから当然の意見だ。」
伊達ちゃんが静かに失笑していた。
「要はアレだ。オレが、昔を引き摺ってるって言いたいんだろ?」
「うん、まあそんなとこ。」
「答えはYes だが、お前の言う意味ではNo だ。」
「どういうこと?」
男だった昔のこと、ではないらしい。
「オレが女だってコトを嫌がる馬鹿どもはな、昔からオレが女の格好をしてると、嫌味を言って来るんだよ。当然、男の格好をしてても言ってくるけどな。だったらオレのスタイルに合った格好をするのが一番だ。You understand?」
「・・・あー、はい、ごめんなさい失言でした。」
俺様は両手を上げて降参ポーズをした。
伊達ちゃんはクツクツと喉を鳴らして言葉を繋ぐ。
「ガキの頃はな、母子ともども死ねば良かったのに、とか平然と言ってきたぜ?」
「お嬢様・・・。」
片倉さんが苦りきった顔で伊達ちゃんの言い過ぎを咎める。
なるほど、親族との全面戦争が派手だとは思ったが、そういう態度だというなら納得だ。
そう頷きながら得心する俺様に、伊達ちゃんが意趣返しのつもりはないのだろうけれど、結構な一言を落とした。
どこか面白そうに。
「お前はよ、結局なんだかんだ言っても昔の記憶に固執してるよな。乖離しようとだけどよ。」
「・・・・・・ヤバ。」
ボソリと小さく零れた声だったけど、狭い車内では容易に聞き取れただろう。
俺様は誤魔化すように頬を掻いた。
その指摘は衝撃を持って俺様に響いた。
衝撃があった、ということは指摘は正しいということだ。
これは、ヤバイ。
無自覚だったのもヤバイし、固執していること事体もヤバイと思う。
「ま、意見はとりあえず拝聴しておくぜ?馬鹿どもを押さえつけてからそういう楽しみは憶えたっていいしな。」
俺様は滅多に見ない、伊達ちゃんの穏やかな微笑を向けられて苦笑した。
そういう笑顔は俺様には向けないで欲しい。最近親が色めき立つから。

車はひたすらに、高速道路を走っていった。