こらぼでほすと すとーかー1
ようやく、朝晩が涼しくなってきたので、マイスター組も、そろそろ仕事の準備を始め
てもらうことになった。
二匹の我侭子猫がいるから、それらの世話なども考えると、断然、悟浄と八戒のマンシ
ョン近くが住み良いのだが、それには、キラが、「待った」 をかけた。どうせなら、自
分たちのマンションに住んで欲しいと主張した。『吉祥富貴』には、社員寮なるものが存
在している。とはいうものの、マンションを一個丸々と言ったものではなくて、オーナー
が所有している物件に住んでもらうというパターンであるから、場所も間取りもマチマチ
だ。シンたちバイト組なんかだと、ワンルームだし、八戒や虎たちなんかだと、新婚さん
タイプということになる。
「僕が住んでるとこなら、部屋数多いし、全員が住めるじゃない。」
キラが主張するのは、そこのところで、確かに、キラたちが住んでいるマンションは、
かなり広いファミリータイプで、4LDKだ。マイスター組は四人だから、ちょうど、一
部屋ずつ宛がわれる計算になる。ちなみに、キラたちの場合は、ひとつは、共通の寝室、
ふたつは、各人の仕事部屋、ひとつは、倉庫という使い方だ。
「まあ、確かにロックオンさんのこと考えたら、俺か八戒さんが近所のほうがいいだろう
な。」
マイスター組のおかんなロックオンは、家事一切に長けていて、ほとんど、ひとりでや
っている。ただし、問題点は、ただいま免疫力が低いという点だ。インフルエンザでも引
きこもうものなら、二番手のアレルヤだけで、手のかかる二匹の子猫の世話と家事を一手
でやることになってしまう。そうなると手助けが必要だろうと、簡単に予想は出来た。つ
いでに付け足すとセキュリティーの問題もある。顔は知られていないマイスターたちだが
、組織に関与している人間というのは、どこにでもいるし、それなりの情報は裏では流れ
ている。いきなり狙撃されるような過激な攻撃はないだろうが、外部からシャットアウト
が完璧なほうが安全だ。アスランたちの住むマンションは、一部で有名人なキラとアスラ
ンのためにセキュリティーは強化されているし、このマンションは、物件全てが、ラクス
の持ち物だから、何事かあっても、どうにでもできるという利点もある。
「そうですね、アスランくんたちのマンションのほうが、何か起こった時は安全でしょう
ね。それに、うちからだって、そう離れているわけじゃないし、ハイネたちのところも近
いですから。」
何事か起こすのが、外部者とは限らないのが、ミソだ。特に、大明神様、と、名指しに
はしなくても、『吉祥富貴』のメンバーには、よおく理解できている。
「それで、住まいは決定したとして、後は家財道具一式か? 」
「あまり希望はないんじゃないですかね? 使い勝手の問題ぐらいだろうから、業者に一
任ということで。」
と、鷹のご意見に八戒が対応したものの、ちちちちち、と、人差し指を振っている。
「紫の子猫ちゃんは、趣味が五月蝿そうな気がするんだけどね。」
「そうかー? 鷹さん、それ、妄想入ってるだろ? どっちかと言うと、ママニャンのほ
うが五月蝿いだろ? 」
八戒が反論する前に、悟浄が言い返した。趣味が奥深そうに見える紫子猫だが、あれは
、おそらく、アレルヤかロックオンが整えているだけというような気がする。刹那は、確
実にロックオンが一式整えているのは、もう、はっきりと判明しているので、そういうこ
とじゃないのか? と、思うからだ。
「最低限の用意だけしておいて、あとは、任せたらよかろう。子供じゃないんだからな。
・・・・それより、仕事のほうは、どうするつもりだ? 八戒さん。」
別に、家具なんてものは拘らなければ、さほど問題ではない。実質的に、仕事をどうす
るかのほうが、先決だろうと、虎のほうは指摘する。
「ロックオンには、僕のフォローをお願いしたいんですけど、よろしいですか? みなさ
ん。」
経理部長兼夜食担当の八戒にしてみれば、性格的に事務仕事ができそうな人材は有難い
。なんせ、他のスタッフなんて、金銭関係なんて全然、無頓着なのだ。アスランに、たま
に、フォローしてもらっているが、フロアマネージャーの仕事をしているアスランでは、
忙しすぎて、あまり頼めないのが現状だ。
「ロックオンは、チーママってことかい? 八戒さん。」 と、ハイネ。
「だぶるおかんだもんな。」 と、悟浄。
べしべしっと、その言葉に、三蔵が、ハリセンで張り倒し、「茶化してんじゃない。」
と、怒鳴っていたりする。
「あのおかんなら適役だろうよ。けどな、八戒、夜食は、おまえがやれ。」
「三蔵、それ、自分の食の好みだけのことでしょう。洋食も食べつければ、おいしいもの
なんですよ。」
洋食が苦手な三蔵としては、あまり夜食に、こってりしたものが並ぶのは勘弁してもら
いたいらしい。
「ロックオンは、それでいいだろう。アレルヤは、バックヤードに貰いたい。」
こちら、虎のほうも、バックヤードの人員を確保したい。ダコスタだけでは、繁忙期は
回りかねるからだ。バイトたちで、どうにかしているが、やはり、専門が一人欲しいとこ
ろだ。
「人見知り激しそうだからな、アレルヤは。だが、橘様がいらっしゃる時は、表やっても
らうぜ? 虎さん。」
アレルヤというか、その別人格のハレルヤには、すでに顧客がついている。そのお客様
が、デビューは、まだか? と、この間も騒いでいたから、スタッフの記憶にも新しい。
「レアなお客様には、サービス提供させればいい。それで、問題の子猫二匹は、どうする
んだ? 鷹さん。」
「あーー鷹さん、言っておくがティエリアを、自分のサポートとか、いうのはなしだぞ?
」
公然と狙っているオーラを発散させている鷹のサブなんぞ、どう考えても危なくてつけ
られない。それについては、きっちりと申し渡したほうがいいだろうと、ハイネがツッコ
ミをする。
「刹那は、僕のサブっっ。これは決定ね。」
その隙をつくように、キラが、もう一方の黒子猫を引き取ると宣言する。
「しょうがねぇーな、紫子猫ちゃんは、俺とハイネのサブな。それで、どうだ? 」
悟浄とハイネのサポートなら、さほど弄られる心配はないだろう。御しえるのか、どう
かは判らないが、、そこは親猫にお願いすればいい。
「そんなところでしょうね。八戒さん。」
そろそろ仕事の時間だ。纏めておこうと、アスランが締めの言葉を告げる。まあ、そん
なとこだろう、と、八戒も頷いた。なぜだか、マイスター組管理担当は、八戒になってい
るから、決断も、八戒ということになる。
「ええ、それで結構です。・・・・じゃあ、明日にでも、オーナーのほうへ連絡を入れて
、進めさせてもらいます。」
トダカも同席していたが、何も口は挟むつもりはない様子で、カウンターから、その会
議の様子を眺めていただけだった。
打ち合わせに、八戒と悟浄が、別荘に出向いたら、どういうわけか、ロックオンは、パ
てもらうことになった。
二匹の我侭子猫がいるから、それらの世話なども考えると、断然、悟浄と八戒のマンシ
ョン近くが住み良いのだが、それには、キラが、「待った」 をかけた。どうせなら、自
分たちのマンションに住んで欲しいと主張した。『吉祥富貴』には、社員寮なるものが存
在している。とはいうものの、マンションを一個丸々と言ったものではなくて、オーナー
が所有している物件に住んでもらうというパターンであるから、場所も間取りもマチマチ
だ。シンたちバイト組なんかだと、ワンルームだし、八戒や虎たちなんかだと、新婚さん
タイプということになる。
「僕が住んでるとこなら、部屋数多いし、全員が住めるじゃない。」
キラが主張するのは、そこのところで、確かに、キラたちが住んでいるマンションは、
かなり広いファミリータイプで、4LDKだ。マイスター組は四人だから、ちょうど、一
部屋ずつ宛がわれる計算になる。ちなみに、キラたちの場合は、ひとつは、共通の寝室、
ふたつは、各人の仕事部屋、ひとつは、倉庫という使い方だ。
「まあ、確かにロックオンさんのこと考えたら、俺か八戒さんが近所のほうがいいだろう
な。」
マイスター組のおかんなロックオンは、家事一切に長けていて、ほとんど、ひとりでや
っている。ただし、問題点は、ただいま免疫力が低いという点だ。インフルエンザでも引
きこもうものなら、二番手のアレルヤだけで、手のかかる二匹の子猫の世話と家事を一手
でやることになってしまう。そうなると手助けが必要だろうと、簡単に予想は出来た。つ
いでに付け足すとセキュリティーの問題もある。顔は知られていないマイスターたちだが
、組織に関与している人間というのは、どこにでもいるし、それなりの情報は裏では流れ
ている。いきなり狙撃されるような過激な攻撃はないだろうが、外部からシャットアウト
が完璧なほうが安全だ。アスランたちの住むマンションは、一部で有名人なキラとアスラ
ンのためにセキュリティーは強化されているし、このマンションは、物件全てが、ラクス
の持ち物だから、何事かあっても、どうにでもできるという利点もある。
「そうですね、アスランくんたちのマンションのほうが、何か起こった時は安全でしょう
ね。それに、うちからだって、そう離れているわけじゃないし、ハイネたちのところも近
いですから。」
何事か起こすのが、外部者とは限らないのが、ミソだ。特に、大明神様、と、名指しに
はしなくても、『吉祥富貴』のメンバーには、よおく理解できている。
「それで、住まいは決定したとして、後は家財道具一式か? 」
「あまり希望はないんじゃないですかね? 使い勝手の問題ぐらいだろうから、業者に一
任ということで。」
と、鷹のご意見に八戒が対応したものの、ちちちちち、と、人差し指を振っている。
「紫の子猫ちゃんは、趣味が五月蝿そうな気がするんだけどね。」
「そうかー? 鷹さん、それ、妄想入ってるだろ? どっちかと言うと、ママニャンのほ
うが五月蝿いだろ? 」
八戒が反論する前に、悟浄が言い返した。趣味が奥深そうに見える紫子猫だが、あれは
、おそらく、アレルヤかロックオンが整えているだけというような気がする。刹那は、確
実にロックオンが一式整えているのは、もう、はっきりと判明しているので、そういうこ
とじゃないのか? と、思うからだ。
「最低限の用意だけしておいて、あとは、任せたらよかろう。子供じゃないんだからな。
・・・・それより、仕事のほうは、どうするつもりだ? 八戒さん。」
別に、家具なんてものは拘らなければ、さほど問題ではない。実質的に、仕事をどうす
るかのほうが、先決だろうと、虎のほうは指摘する。
「ロックオンには、僕のフォローをお願いしたいんですけど、よろしいですか? みなさ
ん。」
経理部長兼夜食担当の八戒にしてみれば、性格的に事務仕事ができそうな人材は有難い
。なんせ、他のスタッフなんて、金銭関係なんて全然、無頓着なのだ。アスランに、たま
に、フォローしてもらっているが、フロアマネージャーの仕事をしているアスランでは、
忙しすぎて、あまり頼めないのが現状だ。
「ロックオンは、チーママってことかい? 八戒さん。」 と、ハイネ。
「だぶるおかんだもんな。」 と、悟浄。
べしべしっと、その言葉に、三蔵が、ハリセンで張り倒し、「茶化してんじゃない。」
と、怒鳴っていたりする。
「あのおかんなら適役だろうよ。けどな、八戒、夜食は、おまえがやれ。」
「三蔵、それ、自分の食の好みだけのことでしょう。洋食も食べつければ、おいしいもの
なんですよ。」
洋食が苦手な三蔵としては、あまり夜食に、こってりしたものが並ぶのは勘弁してもら
いたいらしい。
「ロックオンは、それでいいだろう。アレルヤは、バックヤードに貰いたい。」
こちら、虎のほうも、バックヤードの人員を確保したい。ダコスタだけでは、繁忙期は
回りかねるからだ。バイトたちで、どうにかしているが、やはり、専門が一人欲しいとこ
ろだ。
「人見知り激しそうだからな、アレルヤは。だが、橘様がいらっしゃる時は、表やっても
らうぜ? 虎さん。」
アレルヤというか、その別人格のハレルヤには、すでに顧客がついている。そのお客様
が、デビューは、まだか? と、この間も騒いでいたから、スタッフの記憶にも新しい。
「レアなお客様には、サービス提供させればいい。それで、問題の子猫二匹は、どうする
んだ? 鷹さん。」
「あーー鷹さん、言っておくがティエリアを、自分のサポートとか、いうのはなしだぞ?
」
公然と狙っているオーラを発散させている鷹のサブなんぞ、どう考えても危なくてつけ
られない。それについては、きっちりと申し渡したほうがいいだろうと、ハイネがツッコ
ミをする。
「刹那は、僕のサブっっ。これは決定ね。」
その隙をつくように、キラが、もう一方の黒子猫を引き取ると宣言する。
「しょうがねぇーな、紫子猫ちゃんは、俺とハイネのサブな。それで、どうだ? 」
悟浄とハイネのサポートなら、さほど弄られる心配はないだろう。御しえるのか、どう
かは判らないが、、そこは親猫にお願いすればいい。
「そんなところでしょうね。八戒さん。」
そろそろ仕事の時間だ。纏めておこうと、アスランが締めの言葉を告げる。まあ、そん
なとこだろう、と、八戒も頷いた。なぜだか、マイスター組管理担当は、八戒になってい
るから、決断も、八戒ということになる。
「ええ、それで結構です。・・・・じゃあ、明日にでも、オーナーのほうへ連絡を入れて
、進めさせてもらいます。」
トダカも同席していたが、何も口は挟むつもりはない様子で、カウンターから、その会
議の様子を眺めていただけだった。
打ち合わせに、八戒と悟浄が、別荘に出向いたら、どういうわけか、ロックオンは、パ
作品名:こらぼでほすと すとーかー1 作家名:篠義