こらぼでほすと すとーかー3
「そういうことは、追い駆けられた初日に言えよ、刹那。・・・・・しばらくは、俺かアレルヤと一緒に外出すること。いいな? 」
ヤバそうな変人に追い駆けられたことについて、ロックオンは、そう命じた。とりあえず、朝のロードワークは、マンションの非常階段の上り下りに限定しておくことにする。正体がバレたということではなさそうだが、クルジスで顔を合わせているユニオンの軍人というのは、かなりまずい。
そして、刹那は、変人の言葉を理解できなかったので、愛の告白なんてものだと思っていないわけで、その報告はしなかったのも問題だったが、今のところ、それを誰も気付いていない。
翌日から、ロードワークは縮小になったものの、やっぱり、朝から飛び出していく刹那に、確認のために、ロックオンが屋上で監視するなんてことになっている。
休みの谷間にデビューというのも、どうか、ということで、マイスター組デビューは、休日明けに決まって、待望していたお客様への連絡も、滞りなく行われた。やれやれ、と、連絡が終わったアスランは、事務室で、お客様の来訪時間や予約状況を、パソコンに打ち込んでいく。その横では、悟浄が補佐につきロックオンが溜息を吐きつつ、経理ソフトを動かしている最中だ。
「ティエリアは大丈夫なんですか? ロックオン。」
「ああ、そっちは問題ないよ。悪かったな? 朝から呼び出しなんかして。」
「いや、あの場合は仕方がないですよ。それより、何か困ったことでも? 」
なんていうか、本日のロックオンは、憂鬱そうで、眉間に皺なんか寄っている。となりに刹那がちょこんと事務椅子に座っているが、何もしている様子ではないが、ロックオンの顔を何度も見上げている。
「刹那が、妙なのに追い駆けられてるんだ。・・・・・ユニオンの軍人でさ。一回、刹那は顔を合わせてるんだけど、マイスターだとバレたんじゃないかと思って。」
「え? ユニオンの軍人? 」
詳細をロックオンが説明すると、なんだか、イヤな予感が、アスランにはある。とりあえず、特徴を刹那に尋ねたら、それは、まさに、キラにへばりついていた強力にストーカーと同じ容姿だったから驚きだ。
「それ、キラについてるストーカーと同一人物みたいですね。」
「え? キラのストーカー? 」
今度は、ロックオンが驚く番だ。
「もしかして、うちを特定しようとして、あの周辺を探してたのかもしれません。・・・・・なんか、気の多いストーカーみたいで、ニコルも追い駆けられたんですよ。」
かなり気をつけて追跡はかわしているが、夜中のことなので、さすがに車で尾行されていたら撒けたかどうかはわからない。キラは、ほとんど外出は、アスランと一緒だし、クルマでしか出かけないから、マンションを特定されるのは難しいはずだが、追い駆けて来たのだとしたら、特定されてしまったかもしれないのだ。
「でも、キラと刹那じゃタイプが完全に違うだろ? こんなのストーカーするかね? 」
となりに座っている刹那の頭をぐしゃぐしゃと掻きまわしてロックオンは苦笑する。キラは、どこかしら人を引きつけるオーラがある。だが、刹那は、どちらかと言えば、人を拒絶しているオーラを出している。
「俺には、あのストーカーの気持ちはわかりません。」
「まあ、そうだけどさ。・・・・ということは、マイスターだってバレたとは限らないってことか。・・・・よかった・・・・そっちのほうが安心する。」
世間をお騒がせしていたマイスターだなんて、ユニオンの軍人にバレたら、それこそ、大騒ぎだ。それも、天下の歌姫様が保護しているなんてのも、かなりまずい話だ。
「安心してもらっては困りますよ、ロックオン。うちの店にとって、あのストーカーは迷惑極まりないんですからね。・・・・・刹那君、おやつをどうぞ。」
どうやら、おやつを作り終えた八戒が、途中から会話に加わった。刹那は、八戒の言葉に、椅子を降りて事務室の奥に歩いていく。
「確かに、どっちにしろ、まずい相手ですよね? 」
マイスターである刹那と、元「白い悪魔」なキラでは、どちらも正体が公表されるのはまずい。
「オーナーに連絡して、あのストーカーをユニオン本部へでも追いやっていただこうかと思ってるんですがね。生憎と、オーナーも、今、プラントなんですよ。」
簡単なのは、ユニオンに圧力をかけさせる手だが、これも表立ってと言うわけには行かない。
「闇打ちできれば簡単なんだけどな。・・・・はーい、ママ。今日は、美人が台無しだぞ? ちゃんと睡眠と取らないと。」
「だーれが、ママですかっっ。鷹さん。」
もちろん、事務室にいる者は、その話に参加する。鷹が、傍にやってきて、さらに、イザークとディアッカも集まってきた。
「あれは、ニコルが、どうにかしたんじゃないのか? アスラン。」
「それが、ニコルも演奏で、今はイギリスなんだよ。」
「ふーん、つまり、ニコルの縁は切れたわけか。ほんと、面倒だよな。」
「さらに、刹那にまでちょっかいかけるって、どういうことなんだ? 」
イザークとしては、キラは仕方がない、と、納得できるらしい。
「可愛い細身の男の子が目標ってことなら納得はできるな。」
冷静に判断して、キラと刹那の共通項を考えると、ディアッカの意見が正しいような気がする。ニコルも、どちらかといえば、見た目だけは可愛い系だ。
「可愛い? ディアッカ、刹那は可愛い系じゃないと思うぜ。どっちかというと、野良猫だ。」
「ロックオン、それ、贔屓目にしすぎです。野良猫ってことは、やっぱり見た目には可愛い系に該当してますよ。」
内面まで理解しているロックオンにしたら、可愛いとは口が裂けても言わないだろう、と、八戒は思う。なんせ、毎日、きしゃあーーっっと、鷹に威嚇攻撃なんか食らわせているのだから。
「ニコルだって見た目だけだからさ。あれ、ナンパしたんだから、やっぱり、そういうことだろ? 」
刹那がいなくなったので、タバコをすぱすぱと吸いだした悟浄が、それを指摘する。あくまで、見た目ということなら、可愛い系には該当するのだ。
「てことはだな、俺の紫子猫ちゃんもヤバいってことじゃないか? なあ、ロックオン、俺、紫子猫ちゃんの護衛しようか? 」
おまえが、そもそも危ないだろうがっっ、と、その場の全員が指摘して鷹の減らず口は塞いだ。
「キラは、どうしてるんだ? アスラン。」
「一応、毎日、待機されていないほうの出入り口から出て、すぐにクルマで帰ってます。帰りも、同じ道は通らないように気をつけていますよ。」
「うちのも、そうしたほうがいいのかな。」
「けど、ロックオンは、まだ地の利がないだろ? 四人バラバラに、みんなのクルマで帰るっていうのは、どうだ? 」
対象者が一人なら、誰かのところへ便乗できるのだが、四人となると一気に、同じクルマというわけにはいかない。それなら、わざと、そういうふうにしてはどうか、と、悟浄は提案したが、それだって毎日となると、迷惑だとロックオンは反論する。
ヤバそうな変人に追い駆けられたことについて、ロックオンは、そう命じた。とりあえず、朝のロードワークは、マンションの非常階段の上り下りに限定しておくことにする。正体がバレたということではなさそうだが、クルジスで顔を合わせているユニオンの軍人というのは、かなりまずい。
そして、刹那は、変人の言葉を理解できなかったので、愛の告白なんてものだと思っていないわけで、その報告はしなかったのも問題だったが、今のところ、それを誰も気付いていない。
翌日から、ロードワークは縮小になったものの、やっぱり、朝から飛び出していく刹那に、確認のために、ロックオンが屋上で監視するなんてことになっている。
休みの谷間にデビューというのも、どうか、ということで、マイスター組デビューは、休日明けに決まって、待望していたお客様への連絡も、滞りなく行われた。やれやれ、と、連絡が終わったアスランは、事務室で、お客様の来訪時間や予約状況を、パソコンに打ち込んでいく。その横では、悟浄が補佐につきロックオンが溜息を吐きつつ、経理ソフトを動かしている最中だ。
「ティエリアは大丈夫なんですか? ロックオン。」
「ああ、そっちは問題ないよ。悪かったな? 朝から呼び出しなんかして。」
「いや、あの場合は仕方がないですよ。それより、何か困ったことでも? 」
なんていうか、本日のロックオンは、憂鬱そうで、眉間に皺なんか寄っている。となりに刹那がちょこんと事務椅子に座っているが、何もしている様子ではないが、ロックオンの顔を何度も見上げている。
「刹那が、妙なのに追い駆けられてるんだ。・・・・・ユニオンの軍人でさ。一回、刹那は顔を合わせてるんだけど、マイスターだとバレたんじゃないかと思って。」
「え? ユニオンの軍人? 」
詳細をロックオンが説明すると、なんだか、イヤな予感が、アスランにはある。とりあえず、特徴を刹那に尋ねたら、それは、まさに、キラにへばりついていた強力にストーカーと同じ容姿だったから驚きだ。
「それ、キラについてるストーカーと同一人物みたいですね。」
「え? キラのストーカー? 」
今度は、ロックオンが驚く番だ。
「もしかして、うちを特定しようとして、あの周辺を探してたのかもしれません。・・・・・なんか、気の多いストーカーみたいで、ニコルも追い駆けられたんですよ。」
かなり気をつけて追跡はかわしているが、夜中のことなので、さすがに車で尾行されていたら撒けたかどうかはわからない。キラは、ほとんど外出は、アスランと一緒だし、クルマでしか出かけないから、マンションを特定されるのは難しいはずだが、追い駆けて来たのだとしたら、特定されてしまったかもしれないのだ。
「でも、キラと刹那じゃタイプが完全に違うだろ? こんなのストーカーするかね? 」
となりに座っている刹那の頭をぐしゃぐしゃと掻きまわしてロックオンは苦笑する。キラは、どこかしら人を引きつけるオーラがある。だが、刹那は、どちらかと言えば、人を拒絶しているオーラを出している。
「俺には、あのストーカーの気持ちはわかりません。」
「まあ、そうだけどさ。・・・・ということは、マイスターだってバレたとは限らないってことか。・・・・よかった・・・・そっちのほうが安心する。」
世間をお騒がせしていたマイスターだなんて、ユニオンの軍人にバレたら、それこそ、大騒ぎだ。それも、天下の歌姫様が保護しているなんてのも、かなりまずい話だ。
「安心してもらっては困りますよ、ロックオン。うちの店にとって、あのストーカーは迷惑極まりないんですからね。・・・・・刹那君、おやつをどうぞ。」
どうやら、おやつを作り終えた八戒が、途中から会話に加わった。刹那は、八戒の言葉に、椅子を降りて事務室の奥に歩いていく。
「確かに、どっちにしろ、まずい相手ですよね? 」
マイスターである刹那と、元「白い悪魔」なキラでは、どちらも正体が公表されるのはまずい。
「オーナーに連絡して、あのストーカーをユニオン本部へでも追いやっていただこうかと思ってるんですがね。生憎と、オーナーも、今、プラントなんですよ。」
簡単なのは、ユニオンに圧力をかけさせる手だが、これも表立ってと言うわけには行かない。
「闇打ちできれば簡単なんだけどな。・・・・はーい、ママ。今日は、美人が台無しだぞ? ちゃんと睡眠と取らないと。」
「だーれが、ママですかっっ。鷹さん。」
もちろん、事務室にいる者は、その話に参加する。鷹が、傍にやってきて、さらに、イザークとディアッカも集まってきた。
「あれは、ニコルが、どうにかしたんじゃないのか? アスラン。」
「それが、ニコルも演奏で、今はイギリスなんだよ。」
「ふーん、つまり、ニコルの縁は切れたわけか。ほんと、面倒だよな。」
「さらに、刹那にまでちょっかいかけるって、どういうことなんだ? 」
イザークとしては、キラは仕方がない、と、納得できるらしい。
「可愛い細身の男の子が目標ってことなら納得はできるな。」
冷静に判断して、キラと刹那の共通項を考えると、ディアッカの意見が正しいような気がする。ニコルも、どちらかといえば、見た目だけは可愛い系だ。
「可愛い? ディアッカ、刹那は可愛い系じゃないと思うぜ。どっちかというと、野良猫だ。」
「ロックオン、それ、贔屓目にしすぎです。野良猫ってことは、やっぱり見た目には可愛い系に該当してますよ。」
内面まで理解しているロックオンにしたら、可愛いとは口が裂けても言わないだろう、と、八戒は思う。なんせ、毎日、きしゃあーーっっと、鷹に威嚇攻撃なんか食らわせているのだから。
「ニコルだって見た目だけだからさ。あれ、ナンパしたんだから、やっぱり、そういうことだろ? 」
刹那がいなくなったので、タバコをすぱすぱと吸いだした悟浄が、それを指摘する。あくまで、見た目ということなら、可愛い系には該当するのだ。
「てことはだな、俺の紫子猫ちゃんもヤバいってことじゃないか? なあ、ロックオン、俺、紫子猫ちゃんの護衛しようか? 」
おまえが、そもそも危ないだろうがっっ、と、その場の全員が指摘して鷹の減らず口は塞いだ。
「キラは、どうしてるんだ? アスラン。」
「一応、毎日、待機されていないほうの出入り口から出て、すぐにクルマで帰ってます。帰りも、同じ道は通らないように気をつけていますよ。」
「うちのも、そうしたほうがいいのかな。」
「けど、ロックオンは、まだ地の利がないだろ? 四人バラバラに、みんなのクルマで帰るっていうのは、どうだ? 」
対象者が一人なら、誰かのところへ便乗できるのだが、四人となると一気に、同じクルマというわけにはいかない。それなら、わざと、そういうふうにしてはどうか、と、悟浄は提案したが、それだって毎日となると、迷惑だとロックオンは反論する。
作品名:こらぼでほすと すとーかー3 作家名:篠義