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こらぼでほすと すとーかー3

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 マンション周辺に網を張られているとなると、そこへ戻るのはまずい。ということで、キラたちは、家から離れたホテルへ避難することにした。同じ場所に滞在して嗅ぎつけられたら厄介だから、刹那は別の場所ということになって、また悟空が自分の家がいい、と、提案したのだ。まだ土地勘もないのだから、ホテルよりは、一度でも行ったことのある場所がいいだろう、ということだった。

「肝心のオーナーは、プラントだったな。・・・・ちびは大丈夫なのか? 」

 それだけ追い掛け回されたら、神経に堪えるんじやないのか? と、一応、衆生を救うお役目の高僧様は発言する。

「ちびは、気味悪がってるが、まあ、概ね元気だ。親猫のほうが神経質になってるんだ。」

「あーあいつ、そうだろうな。」

「トダカさんに弱音吐いたそうだ。ということで、明日の出勤までゆっくりさせてやってくれ。」

「世話の焼ける親猫だな。」

「まあ、そう言わんでやってくれ。あれでも、まだ若者だ。」

 で、実のところ、三蔵も、それほど年が離れているわけではない。むしろ同年代なのだが、虎は、そうは思っていない口調だ。まあ、それはいい。だいたい、ここでは年齢なんて、あまり重視されていない。トダカだけは、年長者ということで、尊敬されているが、他は似たり寄ったりな扱いになっている。

「他のはどーすんだ? 」

「あいつらは、そのままマンションに帰す。対象外なら、かまわんだろう。」

 それに、ストーカーと顔を合わせていないから、追い駆けられる心配もない。本来は、刹那だけでいいのだが、その刹那が親猫から離れないので、そういうことになってしまう。しょうがない、と、三蔵も、それには頷いた。





 翌朝、いつものように起きたら、保護者役は、まだ寝ていた。まあ、そりゃそうだろう、と、刹那は、くあーと欠伸をして背伸びする。昨日は、キラを抱えて百メーターほど全力疾走して、その後、仕事に出た。たまたま、客が鑑賞したい、なんてことを言ったので、保護者と二人して、客の対面に座って食事しただけだ。

「これで本当に癒されますか? 」

 何にもしないで食事するだけって、どーよ? と、親猫は首を傾げていたが、客は楽しそうにウーロン茶をがぶ飲みして、こちらも食事していたから、あれでよかったらしい。だから、さほど肉体労働でなくて助かったが、やっぱり疲れている。

 こっそりと、部屋から出たら、悟空が台所で働いていた。いい匂いがするので、ふらふらと刹那が近寄って行く。

「おう、刹那。寝られたか? 」

「ああ。」

「ロックオンさんは? 」

「寝てる。」

「そのまま寝かせておいてやれよ。・・・・おまえ、メシと味噌汁って食べられるか?」

「食べられる。」

「納豆は? 」

「知らない。」

「いいや、ダメなら卵かけな。とりあえず、メシ食おう。悪いが、三蔵を起こしてくれ。殴っても叩いてもいい。」

「わかった。」

 悟空から命じられた通り、布団に包まっている三蔵の背中に蹴りを見舞うと、ふぁーと盛大な伸びをして、三蔵は目を覚ました。それから、無意識にもそもそと起き上がり洗面所へ消える。それを見送って、台所へ戻ったら、食卓に、ちょっと正しい日本食なるものが載っていた。

「俺、メシ食ったら学校行ってくる。・・・・・ロックオンさんが起きたら、温めなおして食ってもらってくれ。」

 すでに、悟空はどんぶり鉢で、わしわしとごはんを食べている。納豆の食べ方をレクチャーされて、刹那も同じように、わしわしとごはんを食べ始めたら、三蔵が現れた。

「おう、ちび、おはよーさん。・・・・ロックオンは沈没か? 」

「ああ。」

 そこで、ハリセンでポカンと刹那を早業で殴って、「挨拶。」 と、叱る。礼儀だけは厳しい。

「おはようございます。」

「よし、食え。サル。おまえ、もう時間ねぇーぞ? 」

「わかってるよ。じゃ、いってきまーす。」

 あの短時間で、二杯お代わりして、平らげた悟空は、食器だけ台所へ運ぶと、飛び出していく。それを見送ると、三蔵のほうは、新聞を畳みに広げて、タバコを一服しはじめた。構われるのが苦手な刹那は、話しかけられないほうが都合がいい。わしわしと残りのごはんを食べて、終わると食器を運ぶ。

 さて、ちょっと走ってくるか、と、思ったら、三蔵が、こいこいと手を動かした。

「なんだ? 」

「運動する前に十分休憩しろ。食べて、すぐは、身体に悪い。」

「悟空は、すぐに走った。」 

 悟空は食べて、そのまんま飛ぶように外へ駆け出していた、と、刹那が指摘すると、三蔵はカラカラと笑う。

「あいつは特別製だ。あれと同じことはしねぇーほうがいい。 それから、おまえの保護者は起きるまで放置しておいてやれ。いいな? 」

「わかった。」

 十分と言われても、やることもないから、三蔵の読んでいる新聞についているチラシをひっぱり出して、それを眺めて時間を潰した。