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【ギルエリ】「目覚めた時に」

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「ギルエリ」    目覚めた時に




「ギル・・・・・・眠いわ・・・・・。」

ベッドに横たわったエリザベータがか細い声で言った。

「今はまだ寝るな・・・・・俺様が話してんだろ?」

ギルベルトは、くぐもった低い声で話している。
よく聞こえない・・・・・・・。

 眠い・・・・・・。
今は朝なのか?
辺りは暗くてよく見えない・・・・。
ああ・・・・どうしてこんなに眠いのだろう・・・?

昨晩は・・・何をしていただろう・・・?
ギルがベッドの横にいるってことは・・・・。
イヴァンの上司のめちゃくちゃな要求を、どうやってかわすか、話あっていたんだっけ・・?
こんなに眠くてだるいのは、ギルが昨晩、離してくれなかったから?


思い出せないくらい、眠い・・・・。

「今だけでいいからよ・・・・・ちょっと話していたいんだ・・・。
眠いんだろうけど・・・・聞いてくれ・・・。」

眠りこんでしまいそうなエリザベータに、ちょっと不満そうなギルベルトの声が届く。

「わかったわよ・・・・・。何を話したいの・・・?」

かまってあげないと、すぐにすねるんだから・・・こいつは・・・。


辺りでざわざわと音がする・・・。
あの音は何?

「ねえ・・・ギル・・・・・。さっきから、ざわざわなにかうるさいの・・・・。
何の音かしら・・?」
「・・ざわざわ・・・・?うん・・・・波の音か・・・・朝市かなんかの音じゃねえの?店開ける準備の人がいっぱい集まってるんだろ?今日は風が強い・・・波音が聞こえんのかもな・・。」
「そう・・・・・・。」

来ていたのは、海辺の街だっただろうか・・・?
ギルと会う時は、いつも海辺のこの辺りの街になることが多いけど・・・・・。

 かちゃかちゃと聞こえる音はなんだろう・・・?眠いし、少し寒いかも・・・。

「ギル・・・・・。寒いんだけど、暖房の温度上げてくれない?」
「ああ・・わかった・・・・。どのへんが寒いんだ?俺様があっためてやるよ・・。」
「何よ・・・・。私、眠いって言ってんでしょ? 相手なんて出来ないわよ・・・。」
「・・・・・・・・・・・俺が・・・話すの聞いてくれるだけでいいから・・・・・・。
 ・・・・で、どのへんが寒い?」
「・・うん・・・・なんか眠くてよくわかんなんいんだけど・・・・。肩とか腕・・・
寒いのかな・・・感覚ないし・・・ねえ、やっぱり温度上げて。」
「ああ・・・わかった。今あったかくしてやるから・・・・。」

ふわりと何かが触れた様な気がした。

 急に肩や腕のあたりがほんわりと暖かくなった。
ますます眠い・・・・・。

「どうだよ・・・?少しはあったけーだろ?だからもうちっと聞いてくれよな・・。」
「・・・・うん・・・・ねえ・・・・今は朝・・・暗くてよく見えないんだけど・・。」
「いや・・まだ夜明け前だな・・・・もう少ししたら陽が昇ってくるだろ。なんだよ、もうすぐ朝ってえのに、そんなに眠いのかよ。」
「・・・だって・・・・。」

(あんたが私を離さないからでしょう?)と思ったけど、・・・・思い出せない・・・・。

昨日・・・・いえ・・おとといとか・・私は何処にいたかしら?

「・・・ねえ・・・ギル・・・・・。」
「・・うん?なんだ?」
「・・・なによ・・・・話したいって言ったのはあんたの方でしょ?何を言いたいの?」
「うーん・・・・・・それがなあ・・・・。」
「・・・・なに・・?」
「お前の顔見てたら、忘れちまった!」
「何よそれ!もう・・・こっちが眠いってのに・・・。」
「ケセセ・・・・・・怒るなよ・・・元気じゃねえかよ。」
「だから、眠いんだってば・・・・。話しないなら寝かせてよ・・・・。もう、どうせ今度のイヴァンの家の会議で、何かしらの数字を示さなくちゃならないんでしょ?対策なんて、尽きちゃったし・・・もう、うちもいっぱいいっぱいで・・・。」
「ああ・・・そうだな・・・・。俺んちも、もうこれ以上は無理だ・・・・。出来ないなら素直に出来ないって言やあいいのによ・・・・。あの馬鹿上司どもは・・・・おべっか使いたがるからな・・・。」
「・・・・上司っていっつもあんな風だったかしら・・・。以前は、もっと気概のある人が居たのに・・・。」
「こう、先の希望がないとな・・・・・。国民だって限界なんだ・・・・。何か明るい材料でも出てこねえと誰もついてこないのにな・・・・。それでも、ノルマだけはひでえからな・・・。」
「・・・・・・私んちね・・・・・。一時期、景気が良かったでしょ・・・・。そしたら、余計なノルマがどんどんひどくなって・・・・。もう今誰も真面目に仕事したいなんて思わなくなってるの・・・・・・みんな・・・・疲れてて・・・・。」
「ああ・・・・俺の家もそうだな・・・・・。真面目にやってても、全部もっていかれるし、いい思いをしてるのは、おべっか使いの連中ばっかりだ・・・・。無理した結果があの大気汚染だ・・・・・。実際に行ってみたけど、あんなところで暮らさなくちゃいけねえなんてな・・・・。何かもうおかしいのを通りすぎて・・・・狂ってるのさ・・・。」
「・・・・・あんたが、咳してないのも久しぶりよね・・・・・。ねえ・・・・もう体は大丈夫なの・・・・?」
「ん?俺はなんでもないぜ・・・・。多少・・・・・呼吸が苦しい時もあるけどよ・・・。
一時期みてえな事はねえよ・・・・。」
「・・・そう・・・・よかった・・・・。」

ギルベルトがそっとエリザベータの頬にキスをする。

彼のキスには珍しく、壊れものを扱うようにそっとだった。
その優しさに、ふうっと意識が飛びそうになる。


(こういうキスってすごく久しぶり・・・・。ずっと前・・子供の時とか・・・・こんな感じだったかな・・・。)

まだ、彼がドイツ騎士団で、私が誰の支配も受けてない時・・・・・・。
ああ・・・ずっとずっと昔ね・・・・。


「ありがとうな・・・心配してくれてよ・・・。」

ギルベルトがエリザベータの肩に毛布をかけた。

「・・・うふふ・・・・なによ・・・・やけに優しいのね・・・・。」
「俺様はいつでも優しいぜ。」
「・・・・うそばっかり・・・・。」
「・・・・心外だぜ!俺様の小鳥のような繊細な心が傷つくぜ!」
「そうね・・・・・。昔と比べたら・・・・少しは優しくなったのかな・・・。」
「・・・俺・・・昔、そんなに優しくなかったか?」
「・・・そうよ・・・昔っから・・騎士団の時も・・・オーストリアさんと戦争した時とか・・・・。信じられないくらい凶暴で悪質だったじゃない・・・・。ルートちゃんが生まれたころだってそうよ・・。
もう野蛮で、卑怯で、乱暴で・・・・・手に負えないって感じで。」
「ひでえな・・・・・・・。お前には・・・俺・・・お前だけには優しくしてたつもりだぜ?」
「・・・・ふふ・・・・そう思ってるの?」
「ああ・・・笑うなよ! 俺は俺なりに、あの時でもお前に気を使ってたんだぜ・・・。
 わかんねえとか・・・・・・傷つくぜ・・・?」
「なによ・・・・泣かないでよ?わかってるわよ・・・・ねえ・・・・・」
「・・・・・・・」
「嫉妬してたんでしょ?」
「それを今、言うか!」