二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【ギルエリ】「目覚めた時に」

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

医者はあたりのうめき声と、騒ぎに負けじと看護婦に指示をだす。
「何をしてるんです!!早く声をかけて!!絶対に意識を失くさせないで!」

ギルベルトは、震える体を押さえつけてしっかりとエリザベータの手を握り直した。

「エリザ・・・・起きてくれ・・・・・。俺を見てくれ・・・。目を開けてくれ・・!」

閉じられていたエリザベータの瞳が微かに開く。

「そうだ・・・・起きてくれ・・・。起きて・・・俺と話してくれ・・・。」

またゆっくりと閉じられようとする翠の瞳。

  ああ・・・!開けてくれ!!お願いだ・・・・・!!
  俺を見てくれ・・・!!意識を手放さないでくれ・・・・!

「・・エリザベータ・・・・・愛してる・・・・・。だから・・・目を開けてくれ・・・。」

閉じそうになっていた瞳が開いた。
何も見てはいない。
また閉じられる瞳。

「・・お前と話したいんだ・・・。起きてくれ・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「起きて、目を開けてくれ・・・・・。なあ・・・・・。お願いだ・・・・・。」

彼女の手をぎゅっと握りしめる。

「ギル・・・・・・眠いわ・・・・・。」

エリザベータの意識が戻った。
ギルベルトは一瞬、泣きそうになった。
必死であふれそうな涙をこらえる。

「今はまだ寝るな・・・・・俺様が話してんだろ?」







今はまだエリザベータは眠っている。

事故の後の処理はほぼ終わった。
幸い、誰ひとり、死者は出なかった。
何十人という怪我人も、全員手術や処置を終えて、病室で静かに安静にしていた。

ハンガリーの上司は、事件の処理にめまぐるしく当たっていてエリザベータの病室にはいまだ現れなかった。



 ギルベルトは、小さな病室で眠り続けるエリザベータを見つめる。

いつもより少し幼く見える顔は、少女の様だ。

点滴のチューブがつながれた腕はむき出して寒そうだ。
静かにそっと自分の上着をかけてやる。

   目が覚めたら、傷が増えたと嘆くだろうか?
  いや、今さら、こいつはそんな事は気にしないだろう。
  俺が気にしねえんだし・・・・・。
  なあ・・・エリザ・・・・・。お前が怪我するたびに、俺の小鳥の様な心臓は、ひっくりかえるくらいショックを受けるんだぜ・・・・・。もう戦争じゃあるめえし・・・・・。
  驚かせてくれるなよ・・・・・・。


今ごろになって、目から涙があふれてきた。

・・・無事でよかった・・・・・・。

泣き声がしないように、ギルベルトは静かに泣いた。

なぁ・・・エリザ・・・・・・。お前が・・・目覚めたら・・・。さっき言ってた言葉を聞かせてくれよ・・・。
お前は俺が信じないって笑うけど・・・・・。
正直、俺は自信がねえんだ・・・・・。

お前に関しては、俺はいつだって臆病者だ。

目が覚めたら・・・・・・何度でも聞かせてくれ・・・・・・。

俺はこのままいるからよ・・・・。

お前のそばに・・・・。


お前が目覚める、その時に。





「目覚めた時に」終