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THW小説④ ~Twilight Good-Bye!~

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〜Twilight Good-Bye!〜


ザビが,千葉へ亡命した。
俺達に,何も言わず。
1人で。
この埼玉を,攻特隊を,捨てた。

この衝撃の事実は,俺がボロボロになって,魚屋に連れ帰られた翌朝に,
近江副隊長の口から,攻特隊メンバー全員に伝えられた。

「ほんとですか,副隊長・・・!!」
「うそ・・・!なんで・・隊長が・・・!?」
「隊長は,何を考えているんだ・・・」

ざわめくメンバー達。
混乱する場内。
そりゃ,そうだろう。
よりによって,隊長の亡命となっては・・・

「静かに!!」
副隊長の一喝が入る。
「いいですか,もう隊長は・・・ザビーネは,敵です。千葉国民なんです。それを肝に銘じて,皆さんは,私たちは,この戦争を勝ち抜いていかねばなりません。この動揺は,敵国からしたら,願ってもないチャンスなんです。」

「そんなこといったって・・・ねぇ・・・」
「もう,誰を信じていいのかわかんないよぅ・・・」
「隊長いないんなら,もう攻特やめようかなぁ・・・」


ひそひそと,少女達は不安げにささやきあう。
まずいな。
この揺らぎは,早々簡単に収まるものじゃない。
いくら副隊長といえど・・・
これは,荷が重すぎる。

「そこで!」
バンッ!
と,副隊長は壇上を叩いた。
「ナンバーズで話し合った結果,新たに隊長を選出しました。」

ざわっ・・・!と,また場内がどよめき立つ。
つ・・・と,一人の男が前に出た。
「Utaさんに,隊長の後任をまかせることになりました。これからは,Utaさんが,攻特隊並びに,傘下のSSW(ストライクワイバーンズ)の隊長となります。」
紹介された,Utaという男が,マイクを持つ。
「・・・皆さん。不安もあるでしょうが・・・ ザビ隊長は,戻ってくると,俺は信じています。ですから,それまで,攻特隊を守りましょう。ご協力,よろしくお願いします!!」
悲痛な声であいさつする,新隊長。
そして,ペコリ,と深々と頭を下げる。

「・・・そうだよ,隊長は,帰ってくるよ」
「そうね,きっとそうだわ。」
「それまで,攻特隊を守らないと・・・!」

ざわざわとする場内。
だが,今度は,どこか,希望の色が混じっていた。

・・・ザビや副隊長とタイプは違うが,この男もなかなかのものだ。
動揺するメンバーを,少なからず収められたのだから。

「では,これで,緊急集会を終了します。皆さん,持ち場に戻ってください。」
副隊長の一言で,皆はざわめきながらも,散り散りになっていく。
だが,俺には,どうしても解せないことがある。
壇上から降りようとしていた副隊長にそっと近づいた。
「副隊長・・・!」
「・・・どうしました,碧風さん?」
あれから,寝ていないのだろう。
ずっとナンバーズの会議が行われていたのだ。
副隊長の顔はやつれ,若干,目の下にもクマが見える。
「ちょっと,お聞きしたいことが・・・」
「なんでしょう?」
「・・・ここじゃ,なんなんで,あちらへ・・・」
そう言って,個室を指す。
「・・・碧風さんからのお誘いなんて,珍しいですね。」
ニコッと,本当にあどけなく笑う。
こうして笑うと,年相応に,かわいく見えるんだけどなぁ・・・
いつもは,10も年下のこの副隊長に,俺の頭はあがらないのだが。
「お疲れでしょう?美味いコーヒー持っていきますよ。少し,休んだらいかがです?」
「・・・そうですね,僕も疲れました。では,お言葉に甘えるとしましょう。」
そう言って,先に個室へと足を向けた。
・・・やっぱり,背中が少し,小さく見える。
「休んでくれ」とは言ったものの,俺がしたい話をして,はたして休めるのだろうか?
そして,副隊長にも時間がないはずだ。
新体制の攻特隊のもと,色々やらなければならないことがあるはず。
俺は,いそいそとコーヒーを入れて,副隊長が消えたドアの先へと向かった。