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ふたり兄弟【前編】

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昔々あるところに、仲のよい兄弟がいました。
お兄さんの名前はハインリヒ。
弟の名前はルートヴィッヒといいました。
ある日の事。
たった一人の親である父親のゲオルグが、小さい二人を残して旅に出てしまいました。
それに困った二人兄弟。
どうやって生活しようかと色々悩みました。
まず、収入がなければ生活もままなりません。
収入…とすれば仕事です。
二人で街まで出て仕事をしようと考えました。
さて、就職先はどこがいいだろうかと二人が考えていると、外からドアを叩く音が聞こえました。
誰だろう?
ルートヴィッヒが扉を開けると、そこにはゲオルグの腐れ縁であるマルクスが立っていました。
「よう、聖人にハインリヒ!」
あいつにお前たちの事頼まれたんだけど、どうする?俺と一緒に猟師をしないか?
まさに渡りに船。
ルートヴィッヒとハインリヒは二つ返事で頷きました。

マルクスと暮らしてから十数年たちました。
その頃にはすっかりと猟師としての腕は一流と言えるほどになっていました。
「ほら、あそこの飛んでる鳥を撃ってみろ。」
と言われれば、百発百中で仕留め、
「あの鹿が次の獲物だ」
と言われれば、間違いなく一発で捕らえる事ができました。
その姿を見てマルクスは、最終試験として二人を旅に出すことにしました。

旅立つ当日の朝。
「お前たちに、ゲオルグから預かったのがあるんだ。」
そう言ったマルクスは、二人に一振りの短剣を渡しました。
「これはな、ゲオルグ曰く、もし二人が離れることがあれば、これを地面か木にでも刺しておくと、万が一どちらかに何か起きれば何かが起きた側の刀身が錆びるらしいんだ。」
それに頷く二人に、マルクスは頷いて、ドアを開けてやりました。
「さぁ、行ってこい!世界は広くて楽しいぞー!」
こうして二人は旅に出たのでした。

数日後、二人は食べ物に困っていました。
何故だかなかなか獲物が見つからないのです。
仕方ない。何でもいいから次に現れた生き物を撃とう。
そう二人が決心した時、パッとウサギが現れました。
咄嗟にルートヴィッヒが銃を向ければ、ウサギは泣きながら言いました。
「私を殺さないでください!見逃してくれたら、私の子供をあげましょう!」
二人はそれに頷けば、ウサギは二羽のウサギを二人に渡しました。
次に狐が現れました。
ハインリヒが咄嗟に銃を向ければ、狐は言いました。
「私を見逃していただければ、私の子供をあげましょう!」
また二人が頷けば、狐は二匹の狐を置いていきました。
その次は狼が現れました。
二人が銃を向ければ、狼が言いました。
「私の子供をあげる代わりに、私を見逃してください!」
二人が頷けば、狼は二頭の狼を二人にあげました。
そのあと、熊とライオンに出会いましたが、すべて同じ事が起きました。
気付けば、二人の回りには、二羽のウサギに二匹の狐、二頭の狼に二頭の熊と二頭のライオンがいました。
これらの獣達はとても役に立ちました。
ちょっとヘタレ気味なウサギ達は木の実や山菜などを集めてくれました。
ツンデレな狐と防衛本能が強い狐は、小さくすばしっこい鳥などの獲物を集め、普備な銀狼とどこか優雅な狼は元気なヒーローっぽいライオンと薔薇を鬣に付けたおしゃれなライオンと一緒に四頭で大きな獲物を集めてくれ、情熱的な熊とちょっぴり影の薄い白熊は魚や新鮮な蜂蜜を集めてくれました。
楽しく旅を続けていた二人と獣達は、別れ道にたどり着きました。
どうしようか。
二人は悩みましたが、ハインリヒが提案を出しました。
「俺が右にいこう。ルートヴィッヒ、お前は左に行ってくれないか。」
ルートヴィッヒは頷き、言いました。
「それならこの中心にたっている木に、父さんから貰った短剣を突き立てよう。そうしたら、いつか戻ってきて、どちらかが何かあったときに、片方が錆びているに違いない。」
ハインリヒはそれに頷き、二人で木に短剣を刺しました。
さて、次は。
二人はクルリと振り向き、獣達をみて言いました。
「お前達は、どちらに付いていきたい?」
ヘタレ気味なウサギ達は、弟、名前はフェリシアーノといいました。
彼がハインリヒに。
兄、名前はロヴィーノといいました。
彼がルートヴィッヒにつきました。
狐達は、防衛本能の強い狐、名前はバッシュといいました。
彼がハインリヒに。
ツンデレな狐、名前はアーサーといいました。
彼がルートヴィッヒにつきました。
狼達は、優雅な狼、名前はローデリヒといいました。
彼がハインリヒに。
普備な銀狼、名前はギルベルトといいました。
彼がルートヴィッヒにつきました。
熊達は、ちょっぴり影の薄い白熊、名前はマシューといいました。
彼がハインリヒに。
情熱的な熊、名前はアントーニョといいました。
彼がルートヴィッヒにつきました。
最後にライオン達は、元気なヒーローっぽいライオン、名前はアルフレッドといいました。
彼がハインリヒに。
薔薇を鬣に付けたライオン、名前はフランシスといいました。
彼がルートヴィッヒにつきました。

「「じゃあ、またいつか。」」
こうして二人は別々の道を歩いていきました。

弟のルートヴィッヒは、小さな国につきました。
城下町にいくと、国中が黒一色で喪に伏していました。
何があったんだ?
ルートヴィッヒが不思議に思って街の人に話を聞けば、彼は言いました。
「あそこに険しい山が見えるでしょう?そこには7つの首持つ凶悪な竜がすんでいて、年に一度この国にいる美しく清い娘を一人差し出さないといけないのです。断れば国中を荒らし回り暴れてしまうので、断ることもできません。それで、今年の生け贄にこの国の一人娘、ツーツィア姫が選ばれてしまって…。明日が引き渡す日なのです。」
「どうして、竜を倒さないんだ?」
「それはもう!大勢の騎士や勇敢な若者達が立ち向かいましたが、あえなく全員返り討ちにされてしまいました。王様は、竜を討ち取った者に娘を妻として与え、この国を与えるとまでおふれをだしているのに…」
ふぅ、と街の人は悲しそうに頭を一振りしてルートヴィッヒから離れました。
ルートヴィッヒは考えました。
このままではあまりにも姫やこの国が可哀想です。
よし、何とか出来るかもしれない。
ルートヴィッヒは決心して竜の棲む山へ向かいました。

ルートヴィッヒ達が登っていると山の上に、小さな教会がありました。
その教会に入っていくと、なみなみとビールが注がれたジョッキが三つ、祭壇の上に置かれていました。
山登りで少し疲れた体に、ビールは最高です。
何よりもビールとヴルストとジャガイモをこよなく愛するルートヴィッヒは、横に書いてあるメモをみずにうっかり呑みきってしまいました。
それに慌てた獣達。
もし毒だったらとアワアワしていると、狐が漸くメモに気づきました。
「おい、ちょっとこれ見ろよ!」
全員で覗きこめば、そこにはこう書いてありました。
「このジョッキを飲み干す者は、この世でもっとも強い男になり、教会裏にある剣を抜き扱い事が出来るだろう。」
「…よかったじゃない。」
ライオンは言いました。
「よくねぇーよ!もっと警戒しろよ!」
狐が言いました。
「…すまない。」
ドイツは頭をかきながら反省しました。
作品名:ふたり兄弟【前編】 作家名:馬酔木駄馬