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一日一ミハエルチャレンジ

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2/11 シュミエリアド



ミハエルは「電話帳」、「価値」、「妹」を自由に組み合わせてお話を作りましょう
http://shindanmaker.com/49811 ということで^^





奥の部屋で電話のコール音がした、と思ったらそれはすぐに止み、代わりに足音、そして、

「エーリッヒ、電話入ってる」

開けられた扉からミハエルの顔がのぞく。

「はい? 誰からでしょう?」

にやりと意味ありげに面白がる視線がミハエルから、何故かエーリッヒのすぐ隣にいたシュミットに向けられた。

「お」

もったいぶってミハエルがひと文字分だけ口を開く。

「お?」

「ん」

「ん…?」

何かのゲームだろうか。
エーリッヒが首を傾げたところで、また、にやり。

「な の こ から!」

女の子からだよーと今度は繋げて言い直し、へへ、とそれは嬉しそうに。

「…………なんでわたしを見るんです」

片方の眉だけを上げて尋ねるシュミットに、

「あれ、反応なし?」

「どうせ妹か何かでしょう、こんなところに連絡を入れてくる異性など」

「あ、正解」

それみたことか、そんな手にひっかかるものかとシュミットが勝ち誇った笑みを浮かべかけた。
エーリッヒは二人に苦笑しながらコードレスの受話器を受け取り、声が入るのを憚ってか少し離れたとこらに移動して、保留から通話ボタンを押して話し始めようとした。
そのとき、

「あ、妹って言ってもね、」

「なんです?」

「君の、ね。シュミット」

「は?」

「だから、妹。君の。エーリッヒの電話の相手」

「……!」

途端に腰を上げてエーリッヒの手元から受話器を奪い取る。

「わ、素早い!」

感心したミハエルの言葉に反応することもなく、シュミットが受話器を放り投げた。
運良くソファの上に着地したそれの通話はすでに切れている。

「ちょっと、シュミット! 僕にかかってきた電話ですよ!」

「うるさい、うちの妹なんぞと話す必要はない!」

なんのかんのと言い争っている二人(というか主にあわてふためくシュミット)を見てか、ミハエルはいたくご満悦だ。
落ち着き払ったひとが焦るのって見てて面白いよね、という呟きは、おそらく二人には聞こえていない。
そこへ、またコール音。
たまたま一番近くにいたアドルフが受話器を拾う。
二言三言言葉をかわして、受話器から耳を外した。

「ミハエル、貴方に電話です」

「僕に? 誰から?」

「手紙をありがとう、だそうですよ」

アドルフが笑って受話器を渡すと、ミハエルの顔がぱっと明るくなる。
受け取っていそいそと移動したのは、静かなところでゆっくり話したいからだろう。
いつのまにか問答を終えて戻ってきたシュミットが怪訝そうな顔をした。

「…………誰からだ?」

「ミハエルのことを大切に思ってる相手、かな?」

あえて勿体つけた言い方をすると、

「……………まさかお前の妹、か?」

仕返しのつもりでもないだろうが、そんなシュミットの言葉にアドルフが盛大に吹き出した。

「そんなわけあるか!」