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年始

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 最高級にかちこちに固まってしまった閃の肩を正守が抱く。姿勢が崩れて、上半身の体重を正守に預けるが、正守はそれを受け止めて尚びくともしない。どころか、クス、と閃を笑う。
「初めてじゃあるまいし」
「そうですけど……今年に入ってからは初めてですし」
「そか、じゃあ姫始めだな」
「ひめ……?」
 聞き慣れない単語を聞き返すが答えは得られず、かわりに背中に手を回され引き寄せられて唇を奪われる。
 が、キスは触れただけすぐに放して、正守は閃に問いかけた。
「戻らないって言ったってことは、こういうことなんだよな?」
「……わかってるなら聞かないでください」
「はは、悪かった」
 そしてまたキス。今度は歯列を割って舌が口腔内に入り込んでくる。閃の舌を絡め取ると、閃の呼吸が止まるような勢いで責めたてられる。閃自身が恥ずかしくなるほどに、容易く体温が上がっていく。
「……ぅ」
 舌先を噛まれて体が竦む。痛みとも刺激ともつかないもので歯まれたところがじんじんと脈打つ。
 正守は唇を離してそのまま閃の首筋にキスをして、強く吸った。
「あっ……」
 吸われたところはきっと跡になって残るだろう。普段はこんなこと、意図的になんて滅多にしないのに。
「もっと、体中にマーキングできたらいいのにな」
「ななっ、何言ってるんですか」
「誰が見ても俺のものだってわかるようにしたいじゃない?」
 独占欲を剥き出しにした正守の言葉に息がつまる。そして息を止めたまま閃は祈るように心の中で呟く。
 ――世界が、二人以外いなくなってしまえばいいのに。
 ぎゅっと瞼を閉じて、また瞳を開くと同時に口をも開く。
「俺だって――」
「ん?」
「今のまま時間が止まって欲しい、です」
「……嬉しいね」
 そう告げた正守の声もまた、何かを祈るかのように聞こえた。けれど聞き返すことはできない。聞き返したら、何かが壊れてしまいそうで。
 正守がまた首筋に顔を埋め、濡れた舌で閃を煽る。
 閃は口をつぐみ、正守に与えられる快感にただ酔った。
                                   <終>
作品名:年始 作家名:y_kamei