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【米英】雪の結晶

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「そういえば、そんなことがあったんだぞ……」
 現実に戻ると、俺は一人ごちていた。君のせいで余計なことを思い出しちゃったんだぞ、と目の前のいびつなスノーマンに文句を云ってみるけれど、当然、返事なんてない。
「まったく、朝から回想に浸るなんて、イギリスじゃあるまいし、有り得ないよ」
 その真っ白な額を、指先で軽く小突く。それでも笑っているしまりのない顔を見て、にやけてるときのイギリスみたいだぞ、と思って笑った。
 ――そうだ、会議が終わったら、彼をうちに呼ぼう。雪が降ってるからスノーマンでも作ろうよ、と云って誘ったらどんな答えが返ってくるだろう。またガキだとか云って馬鹿にするかな。忙しいから行かない、とかいう返事にはいっさい耳を貸さないんだぞ!
 決意をすると、俺はスノーマンを背に再び歩き出した。
 
 ねえ、イギリス。今はもう、同じ土にはなれないけれど。
 俺は俺という国として、いつまでも在り続けよう。この国の民と共に。
 ……君と並んで、生きていこう。



(了)