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愛にはいろいろな形があると申します、はい

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一人身の夜には誰かの温もりが恋しくなるもので。


一夜の付き合い、と割り切って考えるなら、相手は星の数ほどいた。
女に限らなければさらにその数は増す。男が好きというほどでもないが、相手のことを好きになれれば男女を問う必要はないと思っているから。
まあそういいながら男と寝たことは未だかつてないので、俺がそんな思考を持っているということはおそらく誰も知らない。

でも、そんな付き合いじゃ嫌だった。

誰か一人でいい。
何気ない自分の呼び出しに応じてくれて、寂しい夜を埋めてくれる相手がただ一人。
言うなれば恋人が欲しかったのだろう。互いの求める相手が互いであるという関係に憧れていた。

だからと言って、恋人を作るなんて真似はできないのだけれど。

国である自分の時間は、人のそれとは違うから。
一人の人間を愛してもいつかは相手を失うときが来る。
たとえ自分の立場を隠して、恋人という関係になれたとしても。それを隠し通すこともできなければ、永遠に繋ぎとめておくこともできない。

だから孤独だった。
一人でいればそれでいいのだと強がって見せながら、本当は誰よりも人の温かみを求めていたのだ。

今まで誰にも吐露したことのない自分の思い。
別に隠していたわけではない。ただ、話すような相手がいなかっただけ。


――だからこそ、誰かに話してしまいたいという思いが常にあったのだけれど。




酒による程よい高調感に任せてそんなことをつらつらと語った俺を、しかし奴は笑ったりはしなかった。
口元に静かな笑みを浮かべながら、時折優雅な仕草でグラスを口元に運ぶ。
奴も酔っていたに違いないのにそんな素振りは少しも見せないで。
俺が語り疲れて、新たなビールで喉を潤そうとウェイターを呼び止めようとしたところで静かに言ったのだ。


『だったら、ギルベルト。一つ俺とゲームをしてみない?』


普段プロイセンで通っている俺を、奴がギルベルトと呼んだのはそのときが初めてだった。





ゲームの内容は至極簡単だ。

奴と俺とで、偽りの「恋人同士」を演じること。
何気ない挨拶のハグやキスはもちろんのこと、甘い恋人同士の語らいをしたり、時には同じベッドでアダルティな夜を過ごしたり。
孤独感を埋めてくれるのは、全部全部作り物の愛。ただその掛け合いを、スキンシップを、楽しむためだけに行うゲーム。

ただし、あくまで二人でいる時のみ。
公的な場ではただの友人だ。軽口叩いてふざけ合ったりすることはあっても、愛を語るような真似はしないわけ。

まあ要するに一種の擬似恋愛シュミレーション、より簡潔に言えば恋人ゴッコ、だ。


そして、ゲームというからには――

当然勝ち負けがあるわけで。

『相手のことを好きになっちゃったら、その時点でゲームは終了だ』

好きになったら負け。なんともありきたりなルールだ。
でも、だからこそ、実際やってみたら面白いのかもしれないと思った。
何より自分が孤独を感じることがなくなる。相手は人じゃなく国だから、途中で失うこともないわけで。
それに奴のことは嫌いじゃない。




だから勝負に乗ってやったのだ。
そう、ほんの軽い気持ちで。