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愛にはいろいろな形があると申します、はい

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窓から見える薄く白んだ空に、今は何時だろうとぼんやり頭の片隅で考える。
枕元にあるであろう時計を求めて布団から這い出た俺の腕は、しかし何者かによって動きを封じられた。

…何者か、なんて馬鹿らしいことを言うのはよそう。
今この場で俺の腕を止められるのは、そう、隣で寝ている「恋人」のみだ。

「…おはよ…もう朝?」
「わり、起こしちまったか。まだ4時だからもう少し寝てろよ」
「え、そんな早くから起きる予定あったの?今日」
「ねえよ。たまたま目ぇ覚めただけ」
「ならもう少し一緒に寝てよう」
ふにゃりと笑った男は掴んだ腕を引いて、自分と俺の身体を密着させる。
昨日激しく「愛し合った」故に互いに生まれたままの姿で寝こけていたので、生温い素肌と素肌がくっついてちょっと妙な気分だ。

「眠い…」
「だから寝ろって」
「でも一度起きちゃったからいまさら寝れないー…」
「……悪い」
「謝らなくてもいいよ」
その代わり俺の相手してね、と微笑みかけられてしまえば断るわけにも行かない。

「相手って…何、話の相手しろってか?」
「んー…それもいいんだけどねえ…ギルちゃん腰平気?」
「あ?ああ、うん、ヤった日の翌朝にしては調子いーわ」
「ヤったって…身も蓋もない言い方やめてよね」
「じゃあなんて言やいいんだよ。互いに身一つで愛を確かめ合った翌日、とかか」
「はは、それこそ冗談じゃない」

確かめ合うような愛なんて俺たちの間にはないんだから、そんな言い方できるはずもない。
わかっていてあえてそう言ったのは――まあ、一種の腹の探り合いみたいなもんで。

「うんまあ言い方はともかく…平気なら、さ」
寝起きの生理現象収束にお付き合い願えないかしら、と茶目っ気たっぷりに言われて思わず吹き出した。
「っは、普通あれだけしたら勃つもんも勃たねえよ!すげえなお前」
「そういいながらギルちゃんだって、ね。ごまかしても駄目よ?」
「え、嘘」
「うん嘘」
ふざけんな、と笑いながら相手の胸に顔を埋めた。うえ、胸毛が頬に当たって気持ち悪い。

「残念ながら万年発情期のお前と違って、俺はそんなに精力有り余ってないんですう」
「えー」
「ほれ、一人で寂しくトイレ行って来い」
かすかに身を引いてひらひらと手を振ったら、むう、と頬を膨らませた男はいきなりにこりと笑ってキスをしてきた。

「じゃあしょうがないから、今日一日お兄さんと遊んでくれることを条件に許してあげよう」
「何だそれ…いまさらじゃね?」
「え?何、もしかしてはじめからそのつもりで昨日うちに来たの?」
「当たり前だろ、いつもお前んち泊まった翌日は家から出して貰えねえんだから」
「わあうれしい」

じゃあトイレ行く!ともぞもぞ布団から出て行く男に合わせて気だるい身体を起こした。
「…んじゃ、どうせ俺も目ぇ覚めちまったし、朝飯作ってやるよ」
「わ!じゃあ、もしかしてお兄さんご飯できるまで寝てられる?」
「結局寝るんじゃねえか!」
「だーってギルちゃんが隣にいないんだったら寝るしかないじゃない」

二度目の目覚めのあとはおはようのキスとかが欲しいな。
そう言ってウィンク寄越した男には、寝覚めのデコピンくれてやろうと思う。





「恋愛ゴッコ」の最中だろうが、俺と奴の間柄は変わらない。
恋人同士の甘い空気なんてものは、結局俺たちには不似合いだったわけで。
いくらキスしようが、セックスしようが、戯れに愛を語ろうが、俺と奴とはどこまでも平行線の友達のまま。


そんなだから、きっと。
俺がこの勝負に負けることはないだろう。


――でも、もし。

仮に奴からこのゲームを終わらせるような発言が出てきたとしたら、そんときは絆されてやってもいいかもしれないとか思うあたり。
もしかしたら、そう、まさかとは思うけど、










愛にはいろいろな形があると申します、はい。

(…いやいや、冗談じゃねえよ)