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霊狩りとモノノ怪

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「形とはそのモノノ怪の形。――真とは事の有様、理とは心の有様。
 もののけ形を為すのは、人の因果と縁(えにし)
 よって、皆々様の真と理、お聞かせ願いたく候……」


「まずは、形。これは」

「大蜘蛛だ」
薬売りは手に蜘蛛の糸を持ってそう言った。
退魔の剣がカチンと鳴った。
「あなたが一番、真に近いようですね。」
すっと指を伸ばして薬売りはそう言った。
そこには誰もいない。
「いますわ、弱い霊です。」
真砂子はそう言った。
退魔の剣の鈴がりんっとなった。
その瞬間、全員が別の場所に飛ばされたような感覚に陥った。

『愛しています』
『愛している』
2人の男女がそう抱きあった。
『許さぬ!認めぬぞ、女よ去れ!』
老人がそう杖をドンと鳴らした。
『そんな!』
男のほうが講義しようとしたが、老人は殴りつけて黙らせ
女を追い出してしまった。
『×××、すまない。』
男のほうはそうして命を絶った。

『××様、××様はどちらに?どうして私を一人にするのです・・。』
女の悲痛の叫びが聞こえる。
『いっそ、この蜘蛛のように私を捕らえてくだされば・・・。
 蜘蛛、あなたはずっと一緒に居てくれるのね・・。』
女はそう手のひらサイズの蜘蛛を撫でた。

『あら?蜘蛛・・!』
女はそう悲鳴を上げそうになったがすぐに平静に戻り
『水に溺れそうなのね・・・。』
怯えながらも蜘蛛を池から出してあげた。
『蜘蛛って気持ち悪いと思ったけどそうでもないのね・・。』

『女!貴様のせいでわしの孫は・・・死ね!』
老人はそう刀を女に振るった。
『うっ・・・。』
女はそうして倒れた。
『なんだこの蜘蛛は!気味の悪い。』
老人は蜘蛛を斬ろうとしたが蜘蛛はするりと避けた。
『お逃げ・・蜘蛛。お行きなさい・・・。××様、私は不幸ではありませんでし
 た・・。』
『汚らわしい口で孫の名を口にする出ない!』
老人はそうして女に止めをさした・・・。

「今の・・・!?」
麻衣がそう驚いた。
薬売り以外は全員困惑している。
退魔の剣がカチンと鳴った。
「形と真は分かった。後は理。」
薬売りはそう上を見上げた。
「あぁ、もう分かり、ますね。」
全員が薬売りが見た方向を見た。
禍々しい妖気を発しながら男性の霊が降りてきていた。
「結界張ったんじゃなかったの!?」
ぼーさんが薬売りを見た。
「私の結界はモノノ怪の為のモノ。それにあちらから来て頂けて
 私としては好都合。」
《美知子・・・美知子・・どこいる・・・すまない・・すまない・・。》
「長年、居るうちに妖気にあてられたか・・。」
リンはそう札を構えた。
がすぐに札が燃え出した。
「妖気が強すぎる。」
ナルは眉を潜めた。
「どうする気だ、薬売りさん。」
ぼーさんは印を結びながら聞いた。
「私の専門分野、ではありませんよ。しかし、私たちが何かしなくても・・ほら。」
薬売りはそう弱い霊がいるという場所を指差した。
「少し、手助けしてさしあげましょう。」
薬売りはそう何か香のうようなものを炊き出した。
《峰安様・・・私はここに・・・。》
ふわりと女の霊が男の霊に寄って行った。
《真智子・・すまない・・すまない・・。》
男の霊は涙を流しだした。
《私は峰安様に出会えて幸せでした・・ありがとうございました・・。》
《・・・・・そうだったのか・・・。》
男の霊はふっと成仏した。
《ありがとう薬売り様・・どうか・・蜘蛛を・・止めて・・・。》
女の霊もそうふっと成仏した。
「ほら、あの2人が会えばそれで終わり、なんですよ。」
薬売りはそうふっと笑った。
「これで俺たちの役目は終了なわけだ。」
ぼーさんは何のために来たんだかとため息をついた。
「屋敷内のあちこちに男の霊に引き寄せられた霊たちが居ますから、
 それを、片付けてからにお帰りになられては?」
薬売りはそう笑った。
「その方の言うとおり、強くはありませんが霊が点在していますわ。」
真砂子はそう言い切った。
次の瞬間天秤が右に傾いた。
「近い・・・来るぞ!」
薬売りはそう言った。
全員が右を見る。
札が焼ききれだして大蜘蛛の姿が映る。
しかも、少しずつ部屋に入ろうとしている。
「入ってくるぞ!」
ぼーさんはそう言った。
「私の技量にも限界があります。あとは、理が必要です。」
薬売りは札を投げながらそう言った。
「・・・・屋敷に伝わる怪談に蜘蛛の怪談があります。」
従業員はそう切り出した。
「言ってはいけないと言っただろう!」
楠木が慌てて怒鳴っている。
「死にたくありません!蜘蛛の怪談は、この屋敷の主人を狙う話なんです!」
メイドもそう泣きながら叫んだ。
「蜘蛛が恋をしていた女性をここの主人が殺して以来、蜘蛛はここの主人を
 殺しに来ると言う話なんです。蜘蛛は涙を流しながら主人の命を狙う!」
従業員の男がそう怯えながら叫んだ。
「大蜘蛛は老人への恨み辛みからモノノ怪に化した、それが理。」
カチンと退魔の剣が鳴った。
「形と真と理の三つによって、剣を」
剣が空中に浮いている。
薬売りは上に手を構えて
「解き、放つ!」
横にばしっと下ろした。
《解き放つ》
退魔の剣がそうしゃべった。
その瞬間、薬売りの肌は黒みがかって格好も変っていた。
《ギャオウアアアア》
大蜘蛛が襲い掛かってきた。
「破っ!」
薬売りが退魔の剣で応戦する。
「殺しちゃわなきゃいけないの!他に方法があるんじゃ・・。」
大蜘蛛の心に心を痛めて麻衣はそう薬売りに言った。
「人の世にあるモノノ怪は、斬らねばならぬ。」
薬売りはそう言いきって大蜘蛛に切りかかった。
《ギャワオオオアアアア》
絶命を発してモノノ怪は破裂するように消えた。
天井からぱらぱらと神のようないろんな色の欠片が振ってきている。
薬売りはもうもとの格好に戻っており天秤も箱に戻っていた。
剣も鞘に収まっている。
「蜘蛛はあの女の人をずっと愛して・・・。」
麻衣はすっと涙を流した。
「恋が叶うはずもないのに、哀しき・・、モノノ怪だ。」
「哀しき・・モノノ怪・・。」
麻衣はそう復唱した。
「私はこれにて、失礼する。」
薬売りはそう立ち去ろうとしたがナルが
「貴方は何者なんです?」
そうもう一度聞いた。
「ただの、薬売り・・ですよ。」
薬売りはそう立ち去った。


麻衣たちはその後幽霊の除霊に骨を折った・・・。


作品名:霊狩りとモノノ怪 作家名:まぁ秘密