少女兎と獅子皇帝
僕も他の人間と同じように、ただ誘惑されて一時的でも彼女を満たせる何かになれれば良かった。
だけど、もう遅い。僕は彼女を「可哀想」だと思ってしまったから。
最低だと罵ることもできず、彼女に恋することも出来ない。
キミが吐くほどの愛情で満たせてあげればと思うけど、それは僕じゃ叶えられない。
彼女が欲しいのは真田明彦の愛情。
他は全部代用品だ。だからずっと満たされなくて、ずっと空っぽのまま。
せめて僕は、彼女が自分の中が空っぽだと見えないように
どうでもいいようなことで埋め尽くしておこうと思う。
「今日の会議書類だ」
この可哀想な彼女の心を。