二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

夢を見た

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「…………」

 キッチンから香ばしいパンの匂いも流れるようになって、包丁や水を使う音が止んだ。
 ああ、支度が済んだのかと、遠い出来事を見聞きするような気持ちで受け止める。ふっと、幻の彼女も微笑んだ。
 ジョーを起こしに行くのだろう、フランソワーズが、自分のいるリビングを通って、エプロンを外しながら二階へ向かおうとしている。
 が、廊下へ出て行く直前、急にこちらを振り返って、

「ねえ、どうかした? どこか具合でも悪いの?」

と訊いてきた。
 尋ねる大きな瞳が、気遣わしげな光をたたえている。まずった、と悔やんでも後の祭り。
 この娘は、超視覚や透視能力など使わずとも、人の心の機微を的確に見抜くのだ(但し約一名の例外有り)。なのに、その前であまりに無防備過ぎた。まったく、自分としたことが。
「大丈夫?」と、そのまま寄って来て額に手を当てそうな妹分に対し、心の中で舌打ちしつつ、懸命に笑顔を作ってみた。
 そんな表情が全く似合わないことくらい、百も承知ではあるけれど。

「気にするな。……ちょっと、夢見が悪かっただけだ」

 そう。
 最高に幸せな夢を見た朝は、最低の悪夢を見た後と同じくらい辛いと、改めて知った。
 ただ、それだけのこと。
作品名:夢を見た 作家名:藤村珂南