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ながさせつや
ながさせつや
novelistID. 1944
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どうかかごから出さないで

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もっと愛されたい。愛されてる実感が欲しい。
 愛されること。恋して恋されて、想いが通じた次のこと。
 触れ回ることを許された肌、重ねることを許された唇、瞳に映った自分を見るのはほんの少しの高揚感を伴って心地が良かった。その瞬間、お前の世界にたった一人、オレだけが存在しているという事実が、とても、心地良かったのだ。

 愛したい、愛されたい、世界でただ一人だと捧げたい、世界でただ一人にして欲しい、特別扱いしたい、特別扱いされたい、一緒にいたい、ずっと、もっと、触れていたい、触れられていたい、抱きしめたい、抱きしめられたその力強さで窒息して、息ができなくなっても構わないから。

「束縛されたいよ、もっと、お前にさ」
 ベッドに浅く腰掛けた男の、膝に頭を乗せて、つぶやく。向かい合っていた視線を、避けるように。
 ―――束縛されたいよ。
 なんだかとても、滑らかに転がり出た願望だった。もっと構えよって、もっと触れよって、もっと一緒にいたいって、小さなことだろ?
「束縛?」
「束縛、とか、わがまま、とか……」
「わがまま……」
「これしてーとかあれしてーとかさぁ、ねぇの? お前がそういうの言うのって、歌ってとか、ギター弾いてみろとか、そういうの以外に聞いたことねぇもん」
 例えばタクトがヨウスケに言うみたいに、例えばヒロがユゥジに言うみたいに。甘やかしたい。わがままを許してみたり、ごめんって言ってみたり、もっと、この男の内側が知りたい。見たい。触れたい、心を鷲掴みするみたいに。
「……なぁ、って」
 顔を上げて、問う。見下ろす男の顔色はひとつも変わることなく、そしてこちらを見据えている。
「ミーは、それでオール満足だから……考えたことがナッシング状態、だね」
「ひとつも?」
「ワンもツーもスリーもないよ、ヒジリがそこにいて、シンギング、それからミュージックしてくれれば、それだけで」
 眼鏡のレンズの透明な壁一枚、その向こう、瞳がゆらゆら揺れてオレだけ見てる。今、お前の世界にはオレだけなのに、どうしてお前はオレに心を許さない。
「ヒジリにはあるのかい?」
 甘くかすれるみたいな声。どろどろに慈しまれてる、耳からそれが分かる。だけど、それは与えられるだけ。