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ニガモドキライ

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「ほらぁ、だから食べなくても良いでしょ」と言うトゥーンをリンクは睨みつける。その眼光が鬼のようで、慌てて自分よりも小さなオリマーの影に隠れた。

「いいかいトゥーン、好き嫌いばかりしていたら大きくなれないぞ」
「だってさ、オリマー、好き嫌いばかりしていたら大きくなれないよ!」
「わ、わたしがきみらより小さいのはそういう種族だからだ!きみたちと一緒にしないでくれ!」
「だってよリンク!」
「トゥーンに言ってるんだ!」

リンクが拳を振り上げたのを見て、トゥーンはすかさずオリマーを盾にした。あわあわと抵抗するも、子供と言っても勇者でありスマブラメンバーだ、いとも簡単に持ち上げられた。何だかんだで手の早いリンクだったが、宇宙服を装備していないオリマーを殴りつけるのは流石に気が引けたようで、振りおろされた腕をなんとかすんでで止めることができた。

当たらなかったと言っても殴られかけて、オリマーは怖気づいた。年長組ということで、ある程度は皆が気を使ってくれているが、そもそもが一般人。戦闘能力など本来は殆どないのだ。

「わ、わかった。それじゃあ、わたしも食べるから。そうしたら、トゥーンくんも食べてくれるだろう?」

矛先がこっちにこないうちになんとかしなければと、余韻で頭を両手でかばいながら思った。だから打開策としてそう提案した。渋りながらではあるがトゥーンも了解してくれて、オリマーは3人の見守る中、せっかく残したピーマンを食べる羽目になったのだ。

オレンジジュースで流し込みながら全て食べ終えて、口元を抑えながらリンクとトゥーンを見上げる。何か一言いってやりたかったのだが、口の中があまりにも苦くて喋る余裕がない。というよりも、動けない。それを察したのかどうかはわからないが、リンクがトゥーンに「それじゃあトゥーンもちゃんと食べろよ」と腕組みをしながら睨みつけて、座っていたテーブルに再びついた。

「勇者っていうのも大変だな」

二人が戻った後、ファルコンがそうつぶやいた。それに返事する気力はなかったが、ファルコンの言いたいことはなんとなくわかる。体力が少ない時に、好き嫌いなど言っていたら回復が出来ないからなのだろう。
ファルコンが言うには、時の勇者には7年越しの牛乳を飲んで回復していた者がいるというのだから、勇者とは恐ろしい。オレには到底無理だな。なんてつぶやいていた。収入が収入だからか、彼は良い物しか食べないようだ。確かに彼らのようなサバイバル生活は無理そうだ。
わたしも好き嫌いはそんなにない方だったのだが、どうもこちらの食べ物は口に合わない物が多い。今はわたしもそんな生活は無理そうだ。そう思いながら再びジュースの入ったコップに手を伸ばした。
作品名:ニガモドキライ 作家名:やすもの