THW小説4.5 番外編 ~ insanity ―狂気― ~
―Zabi Side−
「づっ・・・・・・!」
ありえない鈍痛がありえない所からした。
その痛みで目が覚める。
「いってててて・・・・」
俺は・・どうしてたんだっけ??
そして,また,ありえない状況に,一気に覚醒する。
「・・・・・!!!!」
俺は,よく知った男の腕の中に抱かれていた。
その瞬間,全てを思い出す。
「こいつっ・・・・!!!」
男はまだ,眠っている。
そこで,自分の拘束が解かれていることに気が付いた。
手首からは血が出ていて,体中スゴイことになっていたが。
「・・・・!!!」
思いっきり,寝ている男の腹を踏んづけようとして,また,激痛が走る。
「・・・なんて,無茶,しやがる・・・」
こいつは,こんなヤツだったか?
こんなに,手段を選ばないヤツだったか?
それとも,何もかもを壊してまで,この俺が欲しかったのだろうか。
・・・どうも,こいつの行動が腑に落ちない。
言うなれば,「こいつらしくない」。
こいつが,誇りをもっているお茶汲みだったはずだ。
コーヒーに睡眠薬を入れたと言っていた。
そんなことを,してまで・・・?
「あの時」の,男の表情を思い出して,ゾっとする。
神奈川だって,千葉だって,どんな敵とだって戦う時には感じなかった,恐怖。
それを,感じてしまった。
身内があんな狂気に走ったからか?
いや,それだけではない。
あの表情は・・・なにか・・・そう。
見るものすべてを恐怖に陥れるような,何かがあった。
ツン,とつま先で,寝ている男をつついてみる。
死んだように動かない。
・・・死んだか?
思わず,脈を確認する。
トクン トクン トクン
・・・うん。生きてる。
「死んでいてほしい」とすら思ったが,生きていることに少し安堵し,思わず苦笑した。
「なぁ,」
意識がない男に呼びかける。
「お前,そんなに俺のこと,欲しかったの・・・?」
男からの反応は,もちろんない。
自由となった今では,自分の雷撃で,こいつを黒焦げにすることは簡単だ。
しかし,やっぱりそれをしても,スッキリしないように思う。
「・・・・なぁ。」
再度,話しかけてみる。
「・・・ほんとに,あれ,お前だったのか・・・?」
男は,無表情で横になったままだ。
考えても,ラチがあかない。
うーんっ!!!と一つ,大きく伸びをした。
辺りにあったタオルやらなんやらで,ちゃちゃっと身支度をする。
思ったより,ショックは少なかった。
まぁ,減るもんじゃないし。
本部に帰ろう。
近江,心配してるだろうし。
「とりあえず,これ,貸しな」
俺は,重い扉をぎぎっと開け,男に向かってつぶやいた。
朝日が,わずかに室内に差し込む。
「俺,忘れねぇから。お前も覚えとけよ?」
意味深な台詞を,言ってみる。
ああ,聞いちゃいねえか。
そして,ニヤンと笑って,扉を閉めた。
PC直IN 2011.02.11
建国記念日になんてもん書いたんだ俺wwwwww