こらぼでほすと 留守番1
ようやく、親猫の体調が元に戻って、やれやれと、ティエリアたちが安堵していたら、唐突に
、三蔵からの連絡が入った。
「ママ、ちょっと頼みがある。」
おや、これは珍しいとダコスタがびっくりする。別荘ではなくラボのほうへ連絡してきたので
、通信がオープンになっている。
「俺でできることなら。」
「大したことじゃねぇ、留守番だ。それぐらいなら、おまえでもできんだろ?」
「留守番?」
ああ、と、面倒そうな声で三蔵が説明を始めた。一応、そちらの宗教界では最高僧のひとりで
ある三蔵は、今、住んでいる寺以外にも統括しなければならない寺院があり、一年に何度かは、
そちらに顔も出さなければならないのだが、生来からマメではない最高僧様は、それらをぶっ千
切っていた。それも限界に達したらしく、そちらの宗教界のトップから召還命令が出てしまった
らしい。
「サルのメシを作ってやってくれ。後は、適当でいい。おまえんとこのちびどもも連れて来てい
いからな。」
「それ、いつからなんですか?」
「明日からだ。」
「え?」
「さっき、うちのトップから連絡入ってな。即刻、戻らないといろいろとあるらしい。けっっ、
いっそのこと、クビにでもしてくれりゃあいいものを。」
いや、そういうことは言わないほうが・・・・と、ロックオンもコメントできないことを、高
僧様はほざいている。
「そういうことなら、八戒さんは?」
よく考えれば、『吉祥富貴』のママである八戒が傍に住んでいるのだから、そちらに頼むのが
筋ではないだろうか? 悟空のおかんは、自分ではなく八戒だと思うからだ。
「イノブタとエロガッパは生活時間が合わねぇんだ。」
「ええ?」
「だから二番手のおかんに頼んでんだよ。サルの学校を休ませるわけにはいかないからな。」
つまり、夜の仕事をしている八戒たちでは、悟空の生活時間とは合わせづらいということらし
い。確かに、それは納得がいく。
「それに、あんな年中いちゃこらしているのが同居したら、サルが当てられて可哀想だと思わな
いか? ママ。」
「あーまあ・・・・ははははは」
自他共に認められているオシドリ夫夫と同じ屋根の下というのは、悟空も居づらいには違いな
い。
「だから、おまえんとこが一番マシなんだ。とにかく、来いよ。」
「今日から来れるか?」
「ええ、移動させさせてもらえれば。」
「そっちは、虎に連絡しておく。用意して待ってろ。」
「わかりました。」
で、まあ、親猫というのは、とても親切な人なので留守番してくれ、と、言われれば、はいは
いと出向いていこうとする。あんまり、無茶しないほうがいいのに、と、そちらもダコスタには
心配だ。ついでに、子猫たちの反応が、とても怖いとも思う。
それだけで用件は終わったとでも言うように、三蔵は連絡を切る。頼まれたほうも、じゃあ、
ヘリの手配してもらわないと、とか、動き出している。
・・・・なんか唐突に滅茶苦茶なこと言ってないか?・・・・
ダコスタのほうは、慌てて、自分の上司に連絡を入れている。そういう話なら、『吉祥富貴』
のほうの仕事の段取りに問題が発生する。
「勝手に決められては困ります、ロックオン。」
ラボで手伝いをしていたティエリアを捕まえて、事情を説明したら、ものすごい顔で睨まれた
。だが、紫子猫の睨みなんて、親猫には効かない。
「けどよ、ティエリア。三蔵さんも緊急事態なんだし、留守番ぐらいなら、俺でもいいだろ?」
「ですが、俺たちにも都合というのがあるのですが?」
ラボの手伝いは、一日で終わるような単純作業ではない。特にティエリアの担当しているのは
、電算関係だから、今すぐ放棄というわけにはいかない代物だ。
「とりあえず、俺だけ今日から行って、都合がついてから、おまえさんたちは追い駆けて来いよ
。」
俺は暇だからなあーと笑っている親猫に、紫子猫は、延髄蹴りでも食らわせたい気分だ。親猫
は暇なのではない。療養しているのだということを、勝手に忘却しているからだ。日常生活に支
障はない程度には回復しているが、以前と同じようなことはできないと自覚ができない困った親
猫なので、子猫たちが傍にくっついて行動の制限をしている。
「刹那だけは連れて行ってください。俺とアレルヤは、手伝いが終わり次第追い駆けます。」
で、ダメだ、と、三蔵の依頼を突っぱねられないのも問題なのだが、悟空がひとりになること
を知っていて放置できない親猫の気持ちを考えると、ティエリアでも反対できない。
・・・・まあ、いい気晴らしにはなるか・・・・
二ヶ月以上、別荘に押し込められているから、そういう意味では、そういう外出はいいかもし
れない。
当座の服だけ携えて、ついでに黒子猫も引き連れて、三蔵のところへ出向いたら、どういうわ
けか、キラたちまで来ていた。
「せつなぁぁぁぁぁーーー」
目的は刹那の捕獲であったらしい。なんせ、親猫にひっついてばかりいるから、店のほうへも
出て来ないし、キラが誘っても梃子でも親猫の傍から離れないのだ。
「刹那、おまえ、キラの相手な?」
これといって、刹那に役割があるわけでもないし、引っ掻き回す気満々の大明神様を打ち合わ
せに同席させるのもまずかろうと親猫が指示を出す。
「わかった。」
刹那も、それはわかったのか、キラと表へ出て行った。どうせ、ゲームでもするつもりだろう
。残っているのは、アスランと八戒、悟浄、そして、当事者の腐れ坊主と悟空だ。
「すいませんねぇーロックオン。僕たちが世話をするって言ったんですけど、聞かないんてです
よ、この鬼畜坊主。」
爽やかな笑顔で酷い事をさらっと言って八戒がお茶を差し出す。いえいえ、と、ロックオンは
軽く手を振る。留守番ぐらいならお安い御用です、と、返事をすると、今度は悟浄が、すぱーっ
とタバコの煙を吐き出して、「ほんと、大丈夫なのか? ママニャン。」 と、切り出した。
「ドクターからも日常生活は普通に送っていいと言われてるんで、別に問題はないですよ、悟浄
さん。それに、こっちに出てくる口実になったから。」
たまには、外へ出たいと、ロックオンだって思うのだが、厳しい紫子猫が外出の許可をくれな
い。せっかくだから、刹那たちも普通の生活というのを楽しめばいい、と、思って意見するのだ
が、聞く耳はもたん、と、一刀両断の憂き目に遭っていたのだ。こういう理由なら、ティエリア
も頷かざるを得ないから有難いと付け足した。
「まあ、俺たちも顔を出すようにしますから、あまり根を詰めて家事をしないでくださいね、ロ
ックオン。」
アスランは、この話を聞いて、そのつもりで動いている。キラのお気に入りの黒子猫が、こち
らにいるなら、なんとしてでもキラは黒子猫を構いに来るのは目に見えているからだ。
「ああ、それも嬉しいな。せいぜい、刹那たちを連れ出してやってくれよ、アスラン。あとから
、ティエリアたちも来るから、そっちも頼むな?」
「ええ、そちらは引き受けました。キラが大喜びです。」
、三蔵からの連絡が入った。
「ママ、ちょっと頼みがある。」
おや、これは珍しいとダコスタがびっくりする。別荘ではなくラボのほうへ連絡してきたので
、通信がオープンになっている。
「俺でできることなら。」
「大したことじゃねぇ、留守番だ。それぐらいなら、おまえでもできんだろ?」
「留守番?」
ああ、と、面倒そうな声で三蔵が説明を始めた。一応、そちらの宗教界では最高僧のひとりで
ある三蔵は、今、住んでいる寺以外にも統括しなければならない寺院があり、一年に何度かは、
そちらに顔も出さなければならないのだが、生来からマメではない最高僧様は、それらをぶっ千
切っていた。それも限界に達したらしく、そちらの宗教界のトップから召還命令が出てしまった
らしい。
「サルのメシを作ってやってくれ。後は、適当でいい。おまえんとこのちびどもも連れて来てい
いからな。」
「それ、いつからなんですか?」
「明日からだ。」
「え?」
「さっき、うちのトップから連絡入ってな。即刻、戻らないといろいろとあるらしい。けっっ、
いっそのこと、クビにでもしてくれりゃあいいものを。」
いや、そういうことは言わないほうが・・・・と、ロックオンもコメントできないことを、高
僧様はほざいている。
「そういうことなら、八戒さんは?」
よく考えれば、『吉祥富貴』のママである八戒が傍に住んでいるのだから、そちらに頼むのが
筋ではないだろうか? 悟空のおかんは、自分ではなく八戒だと思うからだ。
「イノブタとエロガッパは生活時間が合わねぇんだ。」
「ええ?」
「だから二番手のおかんに頼んでんだよ。サルの学校を休ませるわけにはいかないからな。」
つまり、夜の仕事をしている八戒たちでは、悟空の生活時間とは合わせづらいということらし
い。確かに、それは納得がいく。
「それに、あんな年中いちゃこらしているのが同居したら、サルが当てられて可哀想だと思わな
いか? ママ。」
「あーまあ・・・・ははははは」
自他共に認められているオシドリ夫夫と同じ屋根の下というのは、悟空も居づらいには違いな
い。
「だから、おまえんとこが一番マシなんだ。とにかく、来いよ。」
「今日から来れるか?」
「ええ、移動させさせてもらえれば。」
「そっちは、虎に連絡しておく。用意して待ってろ。」
「わかりました。」
で、まあ、親猫というのは、とても親切な人なので留守番してくれ、と、言われれば、はいは
いと出向いていこうとする。あんまり、無茶しないほうがいいのに、と、そちらもダコスタには
心配だ。ついでに、子猫たちの反応が、とても怖いとも思う。
それだけで用件は終わったとでも言うように、三蔵は連絡を切る。頼まれたほうも、じゃあ、
ヘリの手配してもらわないと、とか、動き出している。
・・・・なんか唐突に滅茶苦茶なこと言ってないか?・・・・
ダコスタのほうは、慌てて、自分の上司に連絡を入れている。そういう話なら、『吉祥富貴』
のほうの仕事の段取りに問題が発生する。
「勝手に決められては困ります、ロックオン。」
ラボで手伝いをしていたティエリアを捕まえて、事情を説明したら、ものすごい顔で睨まれた
。だが、紫子猫の睨みなんて、親猫には効かない。
「けどよ、ティエリア。三蔵さんも緊急事態なんだし、留守番ぐらいなら、俺でもいいだろ?」
「ですが、俺たちにも都合というのがあるのですが?」
ラボの手伝いは、一日で終わるような単純作業ではない。特にティエリアの担当しているのは
、電算関係だから、今すぐ放棄というわけにはいかない代物だ。
「とりあえず、俺だけ今日から行って、都合がついてから、おまえさんたちは追い駆けて来いよ
。」
俺は暇だからなあーと笑っている親猫に、紫子猫は、延髄蹴りでも食らわせたい気分だ。親猫
は暇なのではない。療養しているのだということを、勝手に忘却しているからだ。日常生活に支
障はない程度には回復しているが、以前と同じようなことはできないと自覚ができない困った親
猫なので、子猫たちが傍にくっついて行動の制限をしている。
「刹那だけは連れて行ってください。俺とアレルヤは、手伝いが終わり次第追い駆けます。」
で、ダメだ、と、三蔵の依頼を突っぱねられないのも問題なのだが、悟空がひとりになること
を知っていて放置できない親猫の気持ちを考えると、ティエリアでも反対できない。
・・・・まあ、いい気晴らしにはなるか・・・・
二ヶ月以上、別荘に押し込められているから、そういう意味では、そういう外出はいいかもし
れない。
当座の服だけ携えて、ついでに黒子猫も引き連れて、三蔵のところへ出向いたら、どういうわ
けか、キラたちまで来ていた。
「せつなぁぁぁぁぁーーー」
目的は刹那の捕獲であったらしい。なんせ、親猫にひっついてばかりいるから、店のほうへも
出て来ないし、キラが誘っても梃子でも親猫の傍から離れないのだ。
「刹那、おまえ、キラの相手な?」
これといって、刹那に役割があるわけでもないし、引っ掻き回す気満々の大明神様を打ち合わ
せに同席させるのもまずかろうと親猫が指示を出す。
「わかった。」
刹那も、それはわかったのか、キラと表へ出て行った。どうせ、ゲームでもするつもりだろう
。残っているのは、アスランと八戒、悟浄、そして、当事者の腐れ坊主と悟空だ。
「すいませんねぇーロックオン。僕たちが世話をするって言ったんですけど、聞かないんてです
よ、この鬼畜坊主。」
爽やかな笑顔で酷い事をさらっと言って八戒がお茶を差し出す。いえいえ、と、ロックオンは
軽く手を振る。留守番ぐらいならお安い御用です、と、返事をすると、今度は悟浄が、すぱーっ
とタバコの煙を吐き出して、「ほんと、大丈夫なのか? ママニャン。」 と、切り出した。
「ドクターからも日常生活は普通に送っていいと言われてるんで、別に問題はないですよ、悟浄
さん。それに、こっちに出てくる口実になったから。」
たまには、外へ出たいと、ロックオンだって思うのだが、厳しい紫子猫が外出の許可をくれな
い。せっかくだから、刹那たちも普通の生活というのを楽しめばいい、と、思って意見するのだ
が、聞く耳はもたん、と、一刀両断の憂き目に遭っていたのだ。こういう理由なら、ティエリア
も頷かざるを得ないから有難いと付け足した。
「まあ、俺たちも顔を出すようにしますから、あまり根を詰めて家事をしないでくださいね、ロ
ックオン。」
アスランは、この話を聞いて、そのつもりで動いている。キラのお気に入りの黒子猫が、こち
らにいるなら、なんとしてでもキラは黒子猫を構いに来るのは目に見えているからだ。
「ああ、それも嬉しいな。せいぜい、刹那たちを連れ出してやってくれよ、アスラン。あとから
、ティエリアたちも来るから、そっちも頼むな?」
「ええ、そちらは引き受けました。キラが大喜びです。」
作品名:こらぼでほすと 留守番1 作家名:篠義