lost heven 01
「そうだ、紅い珠を私が蒼い珠を君が持っている事にしようか。」
「なんでだよ?アンクに返さなきゃ駄目じゃないか?」
「彼女が君に託したものだろう?だったらエドが持っていたほうがアンクさんのためだろう?」
「そうか・・・。でも、なんでオレが紅であんたが蒼じゃないんだ?」
「それはね、鋼の・・・いやエドワード」
大佐は一回間をおいてから、言った。
「君がいつまでも私の事を思えるように私がいつも君の事を思えるように・・・だよ?」
きざっぽく言う大佐は、優しく微笑んだ。
「女を落とすときに使う言葉?」
「なんだね?その言い草は」
「だってロイっぽくないし・・・。」
「・・・。エドワードこの珠用のブレスレッドでも作ろうか?」
「オレは首輪のほうがカッコいいと思うんだけどな・・・」
「軍の狗みたく私に尻尾でも振るのかい?」
「オレはネコのほうが気に会ってるけどなぁ~」
「首輪をつけたら私のものだよ。」
「ん~あんたが一生愛してくれるならいいかな?」
「お互いに愛し続けよう?」
「あ~、あんたは首輪駄目!指輪かブレスレッドにして!」
「?」
「だって・・・それじゃあ、あんたも」
さっき大佐がやったみたいに間を空けて言った。
「軍の狗(誰かの所有物)になっちまうから。」
「ふふ・・・」
「何笑ってんだよ!」
「指輪ならいいのかね?」
「うん!だから、互いに作ろうぜ!オレはあんたの指輪を」
「私は君の首輪を」
二人は幸せに溢れていた。
プロローグ
「拝啓―神さま。ごめんなさい、あなたの存在を認めない自分でごめんなさい。だけどオレはこの事件で学びました。神さまはホントに居る事を、あなたはこんなオレの願いさえかなえてしまう事を。
オレは今とても幸せです。大切な人とともに軍で働いています。弟たちの事も蟠りは無くなりました。だから、最後に一つだけお願いがあります。オレとロイのあいだに枷を作らないでください。戦争が起きたってロイと一緒に居たいんです。ただそれだけです。
敬具 エドワード・エルリック
追伸:ルクさん。あなたの街はいずれ戦火に見舞われます。だけど逃げて逃げて・・・逃げて・・・ください。すべてが終わるその前に―
「神様なんていない・・・それを信じるということは真理さえも覆すことになるよ?鋼の錬金術師。そうか・・・戦争…ね。」
考えておくよ。
―そうして、私はペンを置いた。
次章予告 プロローグ~戦争へ~
「な・・・に?」
その通知はオレとアルが、東方司令部に帰ってすぐに出された。それはあまりにも絶望的な通知・・・軍に所属していればわかるはずだが、あまりにも重い・・・
「戦…争?」
わかりあえた、愛し合えた。どれほど嬉しかったか、なのに。
あぁ神さえもオレ達を認めてくれないのか…
「鋼の錬金術師は前線に!焔のは、前線をカバーだ!」
「ロ…イ」
金の髪に似合わぬ赤をかぶった姿の少年は小さくその名を呼んだ。瞬間後ろからやってきたナイフに気づかず反応に遅れてしまった。
「あ・・・」
「失うことの辛さは君が一番わかっているだろう?」
軍の大佐、ロイ・マスタングは愛した人の死亡通知を見てつぶやいた。
―エドワード・エルリックは戦場において敵兵により命を落とした―
「ロイ…、ごめんな?オレはあんたともういられねぇ。」
次巻:神の悪戯(lost heven02)
作品名:lost heven 01 作家名:空音