lost heven 02
神の悪戯(lost heven02)
プロローグ
身体を失ってから、もう三年経ち十五になったオレと、弟のアルは久しぶりに東方司令部にやってきたのだった。
報告書を出すのもあるが、大佐が重要なことがあると言ったのでしょうがなく行ってやった。まぁ、こう呼ぶ時は厄介事か、嫌味を言われると決まっているが・・・・この時は違った…嫌味を言われたほうが幸せだったかもしれない。まさか、こんなことになるとは思っていなかった。オレだけじゃなく大佐にもアルにもわからなかっただろう
―エドワード・エルリックは戦場において敵兵により命を落とした―
目次
+プロローグ
+悲通
+人殺
+愛涙
+エピローグ~神戦~
悲通
久しぶりに東方司令部に来た鋼の錬金術師のエドワード・エルリックは、嫌な上司のことを考えると会いに行くのが嫌になった。
「はぁ~」
「溜息ばっかしてると、幸せが逃げちゃうよ?兄さん」
隣にいる鎧こと弟のアルフォンスがエドワードに言った。
「大佐に会うとロクなことねぇし、行きたくないんだよ…」
「とか言ってもう、部屋の前じゃん」
「あら、エドワード君」
二人が部屋の前でとどまっているのを見たホークアイ中尉が、声を掛けてきた。
「中尉、お久しぶりですね。」
「ええ、久しぶりね。それにしてもどうしたの?大佐の部屋の前で」
「兄さんが入りたくないって聞かないんですよ?」
「あら、そういえば大佐も今回の件はエドワード君には伝えたくない…とか言ってたわね。」
「兄さん、たぶん大事なことだし早く入ろうよ」
「ん~」
伝えたくないの一言が、エドが部屋に入るのを拒ませた。
不意に部屋のドアが開いた。
「おや、鋼のこんなところで何をやってるんだね?部屋にはいるんだったら早く入りたまえ」
「(アンタ知ってたな…)」
出てきたのは焔の錬金術師であるロイ・マスタングであった。エドはロイが出てきた瞬間、顔を歪ました。
「兄さん、」
「ん~・・・かってるよ」
「それじゃあ、コーヒーでも用意してきますね。大佐」
「僕も手伝いますよ!」
「ありがとう、アルフォンス君」
「えっ?ちょ・・・アル?」
「大事そうな話なら二人でしてきなよ兄さん。」
「そんなに私と二人が不満かね?」
「ったりめぇだよ・・・嫌味しかいわねぇだろ?」
エドは、ロイの顔を見ようともせずに「第一野郎と二人で何が楽しいんだ」と言った。
「・・・で?なに」
しぶしぶ部屋に入ったエドだが、なかなかに話そうとしないロイに痺れを切らしてエドはイライラしながら言った。
「まことに言いにくいが・・・」
「早く言えよ…」
「今度南方にある国でこちらと戦争を起こそうとしているのを知っているか?」
「しらねぇ。」
「・・・(知らないのかね…)、その国には錬金術とは違う物理学と呼ばれる技術が進歩していて・・・君も昔行っただろう?」
「あぁ、あのへんな爺さんのところか・・・・で?」
「要約するとあそこでつくった爆弾の威力を試そうとしてこの国を潰すそうだ。」
「うわぁ・・・まじで?で、オレになんか関係があるの?」
「・・・そこなんだよ。」
「どうしたんだ?」
「・・・」
「早く言えよ!」
「君が、前線兵として選ばれた・・・」
「・・・は?」
エドは、何を言ってるか分らない・・・といった表情でロイを見据えた。ロイの顔はとても苦しそうにしていて目を伏せている様子は、本当に言いたくなかった…と言ってるようなものだった。
「たい…さ?」
「・・・すまない。言いたくなかったんだ」
「・・・けど!あんたも一緒に行くんだろ?!」
「いや・・・君と私は違う部署だ。」
それは、冷たすぎる現実だった。
「なんで?」
「君は前線兵と言っただろう?」
「ぜ・・・んせん・・・」
「そう、君の得意とする錬成は」
「きんぞ・・・く」
「近距離に強いだろう?それに対し私の炎は遠距離だ。だから、私は君をカバーする役目なのだ。」
「・・・そんな」
「・・・なぜ、君は私を非難しない?」
「おれが断ったらあんたの立場が悪くなるだろ?それに上の人たちは決めたことだし、オレがどうこう言うことじゃない・・・だろ?」
「よかった」
「は?」
「君が私のことを非難するかと思ったし、断るかと思っていたからね。確かにそうなったら・・・私の立場どころか、君が国家錬金術師の資格まで奪われてしまうからね。」
突きつけられた現実に混乱していたが、エドはそれを見せると嫌味を言われると思ったのでもっともらしいことを言って回避したのだが、実際嫌味など言いそうになかったロイを見て、なんで自分にここまで心配するのかと思った。オレも大佐も行くのだったら中尉達も行くに決まっているのだから、女性である中尉の心配をしたほうがよいのに…、と。
「なぁ、大佐。」
「なにかね?鋼の」
「こんなときに言うのもなんだけどさー・・・なんでオレばっかり心配すんの?」
「は・・・?」
「だって、オレなんかより女の中尉のほうが傷付きやすいんじゃねぇの?」
ロイは気づいていたのだった、自分の気持ちを。しかしなかなか言い出す気になれなかった二人とも男でありこの思いを伝えては彼が困ると思っていたからである。しかし、まさか心配という形で彼に伝わっていたとは…。不意を突かれた気分だった。
「たぁいぃさぁ~?」
いきなりの上目遣いに思わず顔が赤らむのを感じた。
「・・・鋼の」
「なんだよ?いきなり黙りこんだら・・・」
「この戦いで生き残れたら私に答えてくれないか?」
「なんの?」
「好きだ鋼の、君のことが」
いきなりの告白にエドはいつもの癖で
「はぁ?今言ってやるよ!好きに決まってんだろ」
と、胸の内に秘めていたことを言ってしまった。第一、男に好きだと言われたら困惑するのが普通の反応である、もしくは毛嫌いの言葉をかけて一生近づかないだろう・・・しかし、エドの性格は真っ向に突っ込んでゆくというもので何を言われようが平気なタイプだった。ただし、溜め込んでしまうタイプでも有り、よく精神を壊すことがあったとアルフォンスは言っていた。それほど精神が繊細である彼は子供で軍にいるのは、舐められると思っていたので気を張っていた。きっと、気を張らずにいられるのは心から安心できた時であろう・・・実際東方司令部のメンバーにも最初は気を張ったままであった。しかし、段々に慣れてきて温かさを知ったからであろうか?よく笑うようになった。その中でも私と彼は犬猿の仲ということで有名であったが、私と彼はともに食事をしたり執務室では彼が来る度時間を割いてまで時間を作ったほどだ、錬金術師同士として語り合うことも多かった。そんな時間は多々あったが・・・ロイはこのたくさんの時間の中で彼に対する気持ちが変わったのを心の中で感じた。しかし、エドまでもが自分と同じ気持ちだとは思わなかった。
「・・・鋼の?」
顔を赤く染めてプルプルと震えながらエドは俯いていた。
「~・・・(なんつえばいいんだよ…)」
プロローグ
身体を失ってから、もう三年経ち十五になったオレと、弟のアルは久しぶりに東方司令部にやってきたのだった。
報告書を出すのもあるが、大佐が重要なことがあると言ったのでしょうがなく行ってやった。まぁ、こう呼ぶ時は厄介事か、嫌味を言われると決まっているが・・・・この時は違った…嫌味を言われたほうが幸せだったかもしれない。まさか、こんなことになるとは思っていなかった。オレだけじゃなく大佐にもアルにもわからなかっただろう
―エドワード・エルリックは戦場において敵兵により命を落とした―
目次
+プロローグ
+悲通
+人殺
+愛涙
+エピローグ~神戦~
悲通
久しぶりに東方司令部に来た鋼の錬金術師のエドワード・エルリックは、嫌な上司のことを考えると会いに行くのが嫌になった。
「はぁ~」
「溜息ばっかしてると、幸せが逃げちゃうよ?兄さん」
隣にいる鎧こと弟のアルフォンスがエドワードに言った。
「大佐に会うとロクなことねぇし、行きたくないんだよ…」
「とか言ってもう、部屋の前じゃん」
「あら、エドワード君」
二人が部屋の前でとどまっているのを見たホークアイ中尉が、声を掛けてきた。
「中尉、お久しぶりですね。」
「ええ、久しぶりね。それにしてもどうしたの?大佐の部屋の前で」
「兄さんが入りたくないって聞かないんですよ?」
「あら、そういえば大佐も今回の件はエドワード君には伝えたくない…とか言ってたわね。」
「兄さん、たぶん大事なことだし早く入ろうよ」
「ん~」
伝えたくないの一言が、エドが部屋に入るのを拒ませた。
不意に部屋のドアが開いた。
「おや、鋼のこんなところで何をやってるんだね?部屋にはいるんだったら早く入りたまえ」
「(アンタ知ってたな…)」
出てきたのは焔の錬金術師であるロイ・マスタングであった。エドはロイが出てきた瞬間、顔を歪ました。
「兄さん、」
「ん~・・・かってるよ」
「それじゃあ、コーヒーでも用意してきますね。大佐」
「僕も手伝いますよ!」
「ありがとう、アルフォンス君」
「えっ?ちょ・・・アル?」
「大事そうな話なら二人でしてきなよ兄さん。」
「そんなに私と二人が不満かね?」
「ったりめぇだよ・・・嫌味しかいわねぇだろ?」
エドは、ロイの顔を見ようともせずに「第一野郎と二人で何が楽しいんだ」と言った。
「・・・で?なに」
しぶしぶ部屋に入ったエドだが、なかなかに話そうとしないロイに痺れを切らしてエドはイライラしながら言った。
「まことに言いにくいが・・・」
「早く言えよ…」
「今度南方にある国でこちらと戦争を起こそうとしているのを知っているか?」
「しらねぇ。」
「・・・(知らないのかね…)、その国には錬金術とは違う物理学と呼ばれる技術が進歩していて・・・君も昔行っただろう?」
「あぁ、あのへんな爺さんのところか・・・・で?」
「要約するとあそこでつくった爆弾の威力を試そうとしてこの国を潰すそうだ。」
「うわぁ・・・まじで?で、オレになんか関係があるの?」
「・・・そこなんだよ。」
「どうしたんだ?」
「・・・」
「早く言えよ!」
「君が、前線兵として選ばれた・・・」
「・・・は?」
エドは、何を言ってるか分らない・・・といった表情でロイを見据えた。ロイの顔はとても苦しそうにしていて目を伏せている様子は、本当に言いたくなかった…と言ってるようなものだった。
「たい…さ?」
「・・・すまない。言いたくなかったんだ」
「・・・けど!あんたも一緒に行くんだろ?!」
「いや・・・君と私は違う部署だ。」
それは、冷たすぎる現実だった。
「なんで?」
「君は前線兵と言っただろう?」
「ぜ・・・んせん・・・」
「そう、君の得意とする錬成は」
「きんぞ・・・く」
「近距離に強いだろう?それに対し私の炎は遠距離だ。だから、私は君をカバーする役目なのだ。」
「・・・そんな」
「・・・なぜ、君は私を非難しない?」
「おれが断ったらあんたの立場が悪くなるだろ?それに上の人たちは決めたことだし、オレがどうこう言うことじゃない・・・だろ?」
「よかった」
「は?」
「君が私のことを非難するかと思ったし、断るかと思っていたからね。確かにそうなったら・・・私の立場どころか、君が国家錬金術師の資格まで奪われてしまうからね。」
突きつけられた現実に混乱していたが、エドはそれを見せると嫌味を言われると思ったのでもっともらしいことを言って回避したのだが、実際嫌味など言いそうになかったロイを見て、なんで自分にここまで心配するのかと思った。オレも大佐も行くのだったら中尉達も行くに決まっているのだから、女性である中尉の心配をしたほうがよいのに…、と。
「なぁ、大佐。」
「なにかね?鋼の」
「こんなときに言うのもなんだけどさー・・・なんでオレばっかり心配すんの?」
「は・・・?」
「だって、オレなんかより女の中尉のほうが傷付きやすいんじゃねぇの?」
ロイは気づいていたのだった、自分の気持ちを。しかしなかなか言い出す気になれなかった二人とも男でありこの思いを伝えては彼が困ると思っていたからである。しかし、まさか心配という形で彼に伝わっていたとは…。不意を突かれた気分だった。
「たぁいぃさぁ~?」
いきなりの上目遣いに思わず顔が赤らむのを感じた。
「・・・鋼の」
「なんだよ?いきなり黙りこんだら・・・」
「この戦いで生き残れたら私に答えてくれないか?」
「なんの?」
「好きだ鋼の、君のことが」
いきなりの告白にエドはいつもの癖で
「はぁ?今言ってやるよ!好きに決まってんだろ」
と、胸の内に秘めていたことを言ってしまった。第一、男に好きだと言われたら困惑するのが普通の反応である、もしくは毛嫌いの言葉をかけて一生近づかないだろう・・・しかし、エドの性格は真っ向に突っ込んでゆくというもので何を言われようが平気なタイプだった。ただし、溜め込んでしまうタイプでも有り、よく精神を壊すことがあったとアルフォンスは言っていた。それほど精神が繊細である彼は子供で軍にいるのは、舐められると思っていたので気を張っていた。きっと、気を張らずにいられるのは心から安心できた時であろう・・・実際東方司令部のメンバーにも最初は気を張ったままであった。しかし、段々に慣れてきて温かさを知ったからであろうか?よく笑うようになった。その中でも私と彼は犬猿の仲ということで有名であったが、私と彼はともに食事をしたり執務室では彼が来る度時間を割いてまで時間を作ったほどだ、錬金術師同士として語り合うことも多かった。そんな時間は多々あったが・・・ロイはこのたくさんの時間の中で彼に対する気持ちが変わったのを心の中で感じた。しかし、エドまでもが自分と同じ気持ちだとは思わなかった。
「・・・鋼の?」
顔を赤く染めてプルプルと震えながらエドは俯いていた。
「~・・・(なんつえばいいんだよ…)」
作品名:lost heven 02 作家名:空音