こらぼでほすと 留守番2
情報戦なら任しとけ、の、ハイネが、それについて説明する。やっぱり、MSの損害についてはペナルティを受けている。ただし、これから、組織される新しい連合の組織への移動で、そちらが、まだ活動していないから、実質的には謹慎ということだ。
「謹慎って、普通、軍内部で大人しくしてるもんじゃないんですか?」
「だから、そこなんだよ。左遷はされているけど、組織が、まだ、できてないから移動場所もないわけ。で、ぶらぶらしてるというとこだよな。・・・なあ、鷹さん、今ならやってもいいんじゃないか? アスランが本気モードなら瞬殺だぞ?」
背後で、キラのおこぼれをぱくってきたらしい鷹は、それを食べつつ笑っている、今なら、キラではなくて、アスランか゛タネ割れしてバーサーカーモードになるだろう。
「消し炭になっちまうだろうな。まあ、それでもいいんだろうけどさ。そこは、虎さんやトダカさんとも要相談だな。一応、足がつかないようにはしないとな。」
叩き潰すなんて、訳も造作もない。ただ、それに関わったのがバレるとまずいから、そこだけは慎重にならざるを得ないのだ。ここにいる面々の素性がバレるようなヘマは絶対にできない。なんせ、先の大戦の有名人ばかりなのだから。特に、キラはマズイ。どこの陣営でも欲しがるだろう逸材だ。
「というかだな、鷹さん。それより、せつニャンがまずくないか? 確か、『運命の恋人』なんだろ? 」
「あ、そういやそうだ。今、寺なんだよな。」
別荘に篭っているのなら探されても安心していられるが、寺にいるとなれば、ちょっとまずい。以前の時も、あそこで見つけられたから、今回も、あちらへ、変態は足を伸ばすだろう予想は、すぐにたつ。
「ちょっとまずいな。おサルちゃんがいる時はいいけど、ママニャンとせつニャンだけだと、あれは撃退するのが難しいだろうな。」
刹那は、接近戦でナイフによる攻撃が得意だが、相手も軍人だから、易々と退けられる相手ではない。それに、ロックオンは利き目が見えないし、筋力なんかは回復していないから、狙い撃つなんて芸当も不可能だ。
「となると、やっぱり、俺らが、サル預かるか? 八戒。」
「ですが、悟浄、さすがに、あのお寺を無人にしておくわけにはいかないですよ? 」
一番手っ取り早いのは、悟空を悟浄たちのところへ住まわせて、マイスター組には、直ちに別荘に戻ってもらうということだが、さすがに、何日も寺を無人にするのは用心が悪い。盗まれるものなんて、あるとは思えないが、一応、仏像とか装飾品は、それなりに価値のあるものだから、それらを持ち出されては困る。
「なら、俺が、しばらく居候? 」
ハイネが名乗りを挙げてくれるが、ハイネでも撃退できるかどうかが微妙だ。それなら、俺が、と、鷹が手を挙げるが、別の意味で論外だ。
「アレルヤたちを呼び出したほうが早くないか? 」
そういうことなら、超兵様パワーが有効かも、と、ハイネが言うと、「もう、二、三日はかかると思いますよ? 」 と、ダコスタがラボの状況を鑑みて返事した。
「うちのに護衛させるかい? 」
「いや、親衛隊さんたちは、ダメです。素性がバレたら国際問題ですから。」
トダカが自分の親衛隊を借り出そうと提案するが、それも危険だ。地球連合に参加していないオーヴの現役軍人様たちが、ユニオンの軍人相手に暴れたとわかったら、本気の国際紛争になる。
「つまり、俺と八戒が、スウィートホームを、しばし離れて、サルんとこへ居候すりゃ万事収まるってことか? 」
やれやれ、と、悟浄が苦笑して、八戒の肩をポンポン叩く。悟空が学校へ行っている時間帯は、悟浄たちが居座る形になって、一応、変態の誘拐には対応できるし、このふたりなら、あの変態のどんな攻撃にも、びくともしないだけの技量もあるのだ。いざとなったら、八戒が気功波で、ふっ飛ばせば解消する。
「どうせ、ママの昼寝監視に、みんなで適当に顔を出すってことにはなってんだから、それでいいんじゃないか? 明日は、俺が行くつもりだったしな。久しぶりに、銃を携帯しとこうかな。」
あの回復が遅いことを理解しない頑固者の監視に、適度に顔を出すことにはなっているので、その時間のローテーションを、ちゃんと組めば、何人かは、そこにいることになる。
「フラガさん、撃ち殺すはナシですよ? それなら、俺がやりますからね。」
キラの相手が終わったらしく、アスランも顔を出した。ものすごーく本気だ。確実に、殺るつもりだから怖い。
「おいおい、アスラン。キラの目の前ではやめとけよ。」
「くくくくく・・・・ハイネ、俺は、そんなヘマはやらない。・・・俺たちも、顔は出しますよ、八戒さん。だから毎日、あちらにいらっしゃらなくてもいいですからね、 悟浄さん。スウィートホームへ戻ってください。」
「はは、そりゃ有難いな、アスラン。」
「バカなこと言ってないで、ローテーションの時間割をしてください。悟浄。」
あの変態を、とりあえず撃退する。そういうことなら、寺はいい場所でもある。あの内に入ってしまったら、周囲からの目は届かないからだ。黒子猫を拉致られないように、警護するというよりは、やりたい放題、あの変態に鉄槌をお見舞いしてやるという目的のほうが勝っている辺りが、『吉祥富貴』らしいといえばらしいかもしれない、と、トダカは苦笑している。
作品名:こらぼでほすと 留守番2 作家名:篠義