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こらぼでほすと 留守番3

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翌日、午後から現れたアイシャと、マッハで学校から戻って来た悟空と共に、刹那は、外出した。
「絶対に余計なことはするな。」 という文句を眉間の皺を深くして親猫に言ったが、相手は朗らかに手を振っていたりする。どうせ、夜には戻ってくるのだから、そこまで心配しなくてもいい、と、悟空が取り成した。



 さて、風呂のカビ取りをして、ついでに、本堂の廊下でも拭こうか、と、本日の掃除プランを、ロックオンが実行していたら、そこへ八戒と悟浄が顔を覗かせた。
「おいおい、ママニャン。誰が、そんな大掃除をしろって言ったよ? んなことは、サルにやらせとけ。」
「いらっしゃい、悟浄さん、八戒さん。」
 もう、ちょっとで、ここは終わりますんで、どうぞ、居間のほうへ、とか、親猫は勧める。あれぐらいなら、いい運動だろう、と、八戒が悟浄を伴って、家のほうへ入った。とりあえず、コーヒーでも入れましょうか? と、その準備をしようとして台所へ入って、びっくりした。いつもは煩雑に、いろんなものが無造作に置かれている台所が、きっちりと整頓されて、さらに、レンジまわりや水周りまで磨かれていたからだ。
 わずか二日ばかりで、ここまでやられているとなると、相当、動いている。
「悟浄、連行して来てください。働きすぎです。」
「やっぱりな。・・・・てか、せつニャンが見当たらねぇのは、どういうことだ? 」
「悟空と遊びに行ったんですかね? 」
 食器棚から、カリタの道具を出して、薬缶に火をかける。ここの家のものは、コーヒーの香りを楽しむなんていう高尚な趣味はないから、その道具は八戒が持ち込んだものだ。コーヒー豆は、挽いたものを冷凍庫に保管している。それも、八戒が、悟浄に美味しいコーヒーを点てるために、用意したもので、いわば、沙・猪家の私物だったりする。
 ポタポタとカリタからサーバーへコーヒーが落ちる頃に、ようやく、悟浄とロックオンが戻って来た。ちゃんと本堂前の廊下だけは拭き上げてきたそうだ。
「本当に昼寝監視要員が必要なようですね? ロックオン。」
 爽やかな声で、八戒は喋っているのだが、背後から、「大人しくしてられないのか? 」 という文字が浮かび上がっていたりする。
「ちゃんと、昼飯の後で小一時間、寝てましたよ。八戒さん。刹那が厳しいもんで。」
「その割りに、ここ、すごく片付いているんですが? 」
「ああ、昨日、時間があったから適当に片付けたんです。」
「で、その煩いせつニャンは?」
「アイシャさんと悟空と買い物に。・・・今日は、アイシャさんが料理をしてくれることになったので、その荷物持ちです。」
 なるほど、ちゃんと監視要員は手配されているらしい。虎が、ラボに詰めているから、アイシャが派遣されている。
「あんまり働かなくてもいいんだぜ? ママニャン。・・・留守番なんてのは、のんびりやりゃいいんだからさ。」
 そういうことか、と、悟浄は、タバコに火を点ける。すかさず、灰皿を八戒が差し出しているのが、絶妙なタイミングだ。
「久しぶりに、身体を動かせるのは新鮮で、つい。」
 ここんとこ、ティエリアが、さらに厳しい生活管理をしているので、碌に運動もさせてもらえなかった。せいぜい、庭の散歩とかラボの使い走りぐらいだから、そういう意味でストレスになっていたのだ、と、ロックオンは苦笑している。根っからの庶民派貧乏性は働かないのが、ストレスになる。
「まあ、無理しない程度でお願いします。」
 ちょうど人数分のコーヒーがサーバーに溜まったので、カップへ移して卓袱台に移動した。ちゃんと話しておかなければならない事柄だから、落ち着ける場所でやることにした。

「え? あれが? 」
「はい、あれです。」
 もう、誰もが名前すら言いたくないので、呼称が『あれ』になっているが、先日の変態軍人のことだ。
「なんせ、せつニャンは、奴さんの『運命の恋人』だろ? やっぱ探すだろうと思うんだ。で、あんたらが、別荘に潜んでいるならよかったんだが、前回も、ここで発見されてるからな。」
「刹那を別荘に帰したほうが無難ですね。」
「おいおい、ママニャン。せつニャンが、それを承知するわきゃねぇーって。それなら、あんたも帰ってもらわないとな。」
「いや、俺は・・・・ここの留守番を頼まれているし・・・・悟空を一人にしてやるのも可哀想ですよ。」
 三蔵が、ロックオンに留守番を頼んだのは、悟空を一人にしないためだ。それが重要第一事項であって、後は、微々たる理由である。何があるのかわからないが、悟空のことを心配していたのは、ロックオンにもわかった。だから、悟空を一人で残すわけにはいかない。
 八戒も、そこいらの三蔵の心情は理解しているから、それについては、ロックオンの申し出は有難いのだが、狙われている刹那については、そうもいかない。
「ですが、昼間はあなたと刹那君だけですからね。撃退は難しいでしょう。」
「一応、俺らとかキラたちが、なるべく顔は出すけど、それもタイムラグはあるからな。」
 深夜までお仕事の悟浄たちは起床時間が遅い。どうしても、午後近い時間になる。悟空が学校へ出てから、誰かが顔を出すまでの時間に、空白時間ができるのだ。
「アレルヤたちが、そのうち合流します。そうなったら、大丈夫なんじゃ・・・」
「それが、アレルヤ君たちの仕事が、まだ三日くらいかかるらしいんです。『あれ』は行動も素早いだろうから、今日にでも現れるような気がします。」
 『あれ』の来襲は強烈だった。あの時は三蔵とハレルヤが撃退してくれた。その後も、悟空が、ぶん投げてしまったから、無事に、刹那の貞操は守られた。
・・・・俺、今、ものすごく役立たずだからなあ・・・・
 ごくりと淹れてもらったコーヒーを飲んで、ロックオンも考え込む。刹那を守りたいのだが、現役軍人を叩きのめせるか、と、いえば、それはできない。誰かに守ってもらうしかないというのは、ある意味、恥ずかしいのだが、そんなちっぽけなプライドで、刹那に危害を加えられるわけにもいかない。
「別に、適材適所だぜ? ママニャン。・・・あんたが全部を賄う必要はない。『吉祥富貴』のスタッフは、いろんな役割を分担できるからな。」
「ああ、そうでした。」
 こちら側の人間になったロックオンと、まだ、あちら側にいる刹那たちとでは、『吉祥富貴』との関わり合い方が違う。『吉祥富貴』に所属しないと、そこが、よくわからない。MS乗りだけではない。八戒たちのように、そちらのことは、てんでわからないスタッフもいるのだ。バラバラの特性を持ったメンバーが、ひとつに纏まっているので、適材適所というのが基本だ。
「そういう荒事には荒事担当が対応します。たぶん、そろそろ、ハイネが来ると思いますよ。」
「あいつ、今日から居候とか言ってたぞ? ママニャン。」
「え? いいんですかね? 勝手に人が増えて。」
「それは構いませんよ。ここは、オールセルフサービスなんですからね。」
「ハイネなら、ちょうどいいだろ? それと、俺らも、適当に、こっちに泊まるつもりしてるからな。」
作品名:こらぼでほすと 留守番3 作家名:篠義