二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
ふうりっち
ふうりっち
novelistID. 16162
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【普独】 To tell the truth 【微腐向】

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

 抱き締められ身動きが取れないドイツとさらに濃厚な口吻けを堪能するように、プロイセンは舌を差し入れ口内を舐め回していく。口内に残る甘味と、絡める唾液の甘さを二重の嗜好と満喫しながら舌を動かせば、この上の無い戦慄が背筋を這い上がっていく。

「ううっ、ん、……うう!」

 口を塞がれていては声も存分に洩らせず、ドイツは耐え難そうに腰をくねらせる。しかし、それは脚の間に割り入る兄へ勃ち上がり始めた性器を擦り付ける事になり、凛々しい眉をひそませた。
 一方、プロイセンは抱き締めているだけでドイツの体温が急激に高まっているのは分かっていた。ただ、すぐに離せないでいるのは、しばらく二人だけの時間を過ごしていないせいだろう。
 仕事に忙しいドイツを気遣い、夜の営みはここ最近ご無沙汰だった。
 最初は他愛も無いじゃれ合いで終わらせるつもりでいたが、ドイツの変化を意識した途端、プロイセンの理性は脆くも崩れ去ろうとしていた。それでも、どうにか自我を押し止め唇を離してやると、ドイツは色めいた嬌声を上げ、喉を震わせる。
 その姿にすこしやり過ぎたかも知れない、そう後悔していても、プロイセンの態度は変わらない。

「なんだ、これくらいで勃っちまったのか?」
「そんなわけ……」
「どうだったよ。俺様からのチョコは!」

 口の端に零れた唾液を手の甲で拭うドイツが、驚愕に双眸を見開いたまま、プロイセンを見つめてきた。

「--チョコ?」
「本命チョコは手作りがステータスなんだろう?」
「まぁ日本ではそうだが、けど今のは……」
「チョコドリンクだけどよ、チョコには違いねえだろが」

 得意満面の笑みを浮かべ、揺るがない自信を見せつける。

「ミルクを温めたのも、チョコを溶かしたのも、ぜんぶ俺! だから、これは俺様の手作りだぜ!」

 そう自画自賛するプロイセンに、ドイツは双眸を閉じると軽く額を抑えた。

「手作りといえば手作りだと言えなくもないが、しかし日本でいう『手作り』とはどこか相違があるように思えなくはないが…」

 ホットミルクに溶かすだけのチョコレートドリンク。
 誰でも作れるようなそれを手作りだ、と言い張る兄の主張にいささか疑念を抱くドイツは、あからさまに眉をしかめてきた。しかし、プロイセンは動じない。

「俺様が手作りといえば、手作りなんだよ! 日本の流儀なんて関係ねえ!」

 滅多に見せることのない、怜悧を纏った挑戦的に真紅の瞳でドイツを見つめれば、ドイツはすぐに視線を反らせた。
 この兄の姿は、戦場に赴いていた頃を彷彿させたのか、それとも慕い、憧れたて兄へ恋心にも似た感情に駆り立てられるのか、ドイツは目元をうっすら赤く染めていた。

「全く貴方という人は……」

 俺様主義を貫く兄を呆れるドイツであったが、再び抱擁をうけ、少し驚いた表情を見せた。

「ぐだぐた言うなよ。今夜はヴァレンティンタークだろ」

 肩を抱き、甘い声音でそっと囁けばドイツが小さく肩を揺らす。プロイセンがゆっくりと掌を動かし、もう一度口吻けをしようと髪を梳くように耳朶からうなじへかけ指先が触れただけで、ビクリと、ドイツの肩が跳ね上がった。
 その様子にプロイセンは静かな笑みをさらに深くし、このあと弟をどう料理するか虎視眈々と策を練っていたが、いつになくドイツの甘い声に意識が戻された。

「そうだったな、兄さん……Ich liebe dich auf ewig」
「ヴェスト、Wie fur ich」

 告白のあと、啄ばむような口吻けを互いに繰り返し、一度だけ深く舌先を絡めてから、ゆっくりと唇を離した。
 今宵はまだ時間がある。続きは後ほど  と、でもいうように。

「つか、今からホワイトデーが愉しみだぜ!」

 残りのチョコドリンクはドイツに預け、先にキッチンを出て行くプロイセンは肩が押しに振り返り、いたずらっぽく笑ってみせた。

「ホワイトデーって…兄さん」
「ん? どうかしたのかヴェスト?」

 何やら徒ならぬ気配を漂わせる弟に、プロイセンは首を傾げた。
 もしかすると、まだ一ヶ月も先の話を話題にしたことで、気が早いと怒られるのかと思っていたが、どうやら違った。

「どうして『ホワイトデー』を知っているだ?」

 ドイツは碧い瞳を細め、プロイセンをねめつけてくる。

「俺は、まだ話していないはずだが」

 いつもよりも怒気を孕んだ静かな、低い声音がそう訊ねてくる。
 その声を聴いただけで、ドイツの怒りの具合が分かるだけに、プロイセンは失言を犯したことにようやく気付いた。

「あ、あぁ、そうだ! 俺様、今から風呂に入ってくるぜ~」

 逃げるが勝ちとばかりに、プロイセンはリビングから逃げ出した。脱兎の如く。

「兄さんッ!」

 後方でドイツが怒声を響かせいるが、プロイセンは振り返らない。
 この一件で弟を怒らせたことにより、今宵のお愉しみは自動消滅なのを悔やみながらもプロイセンは逃げるしかなかった。
 敵前逃亡はかっこ悪いがこの際、仕方無い。

「だって言えるかよ。実は、日本にそそのかされて本命チョコを画策してました~、なんてさ」

 本音をドイツへ告げるのは兄としての矜持が赦さない。それでも、とりあえずは念願の本命チョコは渡せたのだから、良しとする。

「けど、どうやって謝るかな~」

 頭の裏で両手を組み、天井を見上げるれば、怒りに満ちたドイツの貌が浮かんでくる。途端、深い溜息を零し、機嫌を損ねた弟をどうあやそうか、風呂へ向かいながら次なる画策に頭を悩ませるプロイセンであった。


~完~




【語訳】
To tell the truth(語訳)→実は、実のところは、実を言うと--。