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From Your Valentine

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全力ダッシュをしたがあっけなく後ろから抱しめられて彼の中に捕まってしまった。
どうあってもゴミ箱から拾わせるつもりはないらしい。帝人は深く溜め息を付くと
来年からはきちんと食べてから臨也に会おうと心から誓った。
「………わかりました……僕もチョコは諦めます」
「物わかりのいい子は好きだよ」
「代わりに」
と、帝人は言葉を切った。沈黙が落ちて帝人は臨也に向き直るとぎゅ、っと
その背に腕を回した。そして臨也が帝人の様子を窺おうとした時だ。


「臨也さんを、僕に下さい」


恥かしさを誤魔化すように帝人は臨也の胸に顔を埋めた。相手がどんな
顔をしているのか見てみたいけれどきっと帝人の予想は当っている。
ゆっくりと顔を上げて見えた臨也の頬は赤みを帯びていた。自分で口にしたくせに
今度は帝人までつられて顔に熱が集まってくる。臨也は「……そ、そう…」と、
小さな声で抱しめ返しただけだ。普段は上から目線で物事を言ったり
常に帝人をリードしている臨也だが帝人限定でストレートな発言にはとことん弱い。
だから帝人はわざと勇気を出して大胆な発言をしたくなるのだ。
こんな折原臨也を独占できるのはきっと僕だけなんだ、と。
「今日は逃がしませんよ。いいえ、今日だけじゃありません。
しばらく僕のわがままにも付き合ってもらいますからね。チョコ捨てた罰です」
「帝人君は俺に甘いねえ」
「ええ本当に。最悪です」
「明日学校休んじゃいなよ」
「それは駄目です。学業に支障をきたします」
「泊っていくでしょ」
「聞く理由があるんですか?」
臨也は答えの代わりに帝人の唇に口付けを落とした。深い深い、口付けを。


「それじゃ、思う存分いちゃいちゃしようか」


夜はまだ始まったばかりだ。
作品名:From Your Valentine 作家名:りい