ぐらにる 眠り姫7
「どこが浮気だ? どこがっっ。ティエリアと再会の抱擁をしてたぐらいで勘違いするなよ、お子ちゃま。」
「うるさい。」
きーきーと怒っている刹那に、とても幸せだと思った。嫉妬するぐらいに、自分を想っているのだと、刹那は態度で表しているからだ。これから先のことを考えたら、そう幸せだとも思っていられないが、今だけでも、そう感じていたかった。
また、武力介入が始まるだろう。そこに個人的な憎悪というものはない。戦争を根絶するために、絶対的な恐怖として君臨するという目的がある。自分の家族のように無関係な人間も巻き込んでしまう。だから、それに対する償いはするつもりだ。殺したいという憎悪を向けられる覚悟はできている。マイスターとなることを受け入れた時に、それは覚悟した。ただ、まだ、自分は若くて、復讐する相手を目の前にして、それらを投げ捨てた。そうではない。自分は憎悪を向けられるべき人間だ。今度からは、もっと冷静でいなければ、と、思う。
それまで、少しの時間でいいから、この穏かな時間が欲しい。仲間と笑い合って騒ぐ時間は、とても良い思い出になるだろう。